葬儀費用の分割払い|方法ごとの違いと契約前の確認点

葬儀社の分割・信販会社のローン・カードの分割。規制も手数料も別物

葬儀費用をすぐに用意できない場合、分割で支払う方法があります。ただし「分割払い」と呼ばれるものには、葬儀社との直接の取り決め、信販会社の個別クレジット(葬儀ローン)、クレジットカードの分割払いという性質の異なる三つが含まれます。手数料の負担も、途中で問題が起きたときの対応も変わるため、契約前に仕組みを確認してください。あわせて、公的給付や預貯金の仮払い制度で不足額を減らせないかを検討することが先です。

三つの方法の違い

葬儀社との直接の分割 は、葬儀社が支払時期の猶予や分割に応じるものです。信販会社が入らないため手数料が生じないことが多い一方、対応するかどうかは葬儀社次第で、応じてもらえるとは限りません。取り決めた内容は必ず書面に残してください。

葬儀ローン(個別クレジット) は、信販会社が葬儀社に代金を立て替え、契約者が信販会社に分割で返済する仕組みです。割賦販売法の規制が及び、申込時には支払能力の調査が行われます。分割手数料が加算されるため、総支払額は元の代金より増えます。

クレジットカードの分割払い・リボ払い は、カード会社の与信枠の範囲で利用するものです。利用限度額を超える金額は決済できず、葬儀費用の全額をカードで支払えないこともあります。詳しくは葬儀費用はクレジットカードで払えるかを参照してください。

手数料の総額を確認する

分割にすると、手数料や利息の分だけ支払総額が増えます。契約前に確認したいのは、次の三点です。

  • 実質年率
  • 支払回数と毎月の支払額
  • 手数料を含めた支払総額

「毎月◯円から」という表示だけで判断すると、回数が多い分だけ総額が膨らんでいることに気づきにくくなります。総額と、元の代金との差額を必ず確認してください。

割賦販売法35条の3の3は、個別クレジット契約について、信販会社に支払可能見込額を超える契約を締結してはならない義務を課しています。返済能力を超える契約は、そもそも成立しない仕組みになっています。

分割にする前に、不足額を減らせないか

分割を検討する前に、実質的な負担額を確定させてください。次の順序で差し引いていくと、必要な資金がはっきりします。

まず、香典の総額です。香典は喪主に対する贈与と解されており、実務上は葬儀費用に充てられます。考え方は香典は誰のものかにまとめました。

次に、公的給付です。国民健康保険や後期高齢者医療の加入者であれば葬祭費、健康保険の被保険者であれば埋葬料が支給されます。金額と申請先は葬祭費と埋葬料の違いを参照してください。

さらに、故人の預貯金が凍結されている場合は、民法909条の2の仮払い制度が使えます。金融機関ごとに150万円を上限として、遺産分割を待たずに払戻しを受けられます。詳しくは預貯金の仮払い制度にまとめています。

これらを差し引いてなお不足する分について、分割を検討するという順序が現実的です。支払えない場合の選択肢は葬儀費用が払えないときにまとめました。

誰が契約者になるかを決めておく

分割契約は、通常、葬儀を申し込んだ人の名義で結びます。契約者は、その後の支払義務を負う立場です。

家族の間で「費用は皆で分担する」と話していても、信販会社やカード会社に対して責任を負うのは契約者本人です。この切り分けは喪主に葬儀費用の支払い義務はあるかで扱っています。

相続財産から精算する予定がある場合は、立て替えた金額と支出内容の記録を残しておいてください。後の遺産分割や求償の場面で、資料の有無が結論を左右します。

取り決めは必ず書面にする

葬儀社との直接の分割に応じてもらえた場合、その内容を書面にしておくことが大切です。

書面に残すべき項目は、次のとおりです。

  • 対象となる債務の総額
  • 支払回数と、各回の金額・支払期日
  • 手数料や遅延損害金の有無と利率
  • 支払いが遅れた場合の取扱い(期限の利益の喪失条項の有無)
  • 支払方法(振込先など)

とくに確認したいのが、支払いが1回遅れた場合に残額を一括で請求されるかどうかです。この条項があると、一度の遅れで全額の請求を受けることになります。あらかじめ確認し、無理のない支払額に設定してください。

口頭の取り決めでは、後から「そんな約束はしていない」となるおそれがあります。書面が難しければ、メールで内容を確認して返信をもらうだけでも記録になります。記録の残し方は葬儀トラブルの証拠の残し方にまとめました。

また、分割の取り決めをすると、債務を認めたことになり、時効との関係で更新事由になり得ます。時効の考え方は葬儀費用の未払いに時効はあるかを参照してください。請求内容そのものに争いがある場合は、分割に応じる前に内訳を確認しておいてください。

まとめ

葬儀費用の分割には、葬儀社との直接の取り決め、信販会社の葬儀ローン、クレジットカードの分割払いという三つの方法があり、手数料の有無や規制の適用が異なります。契約前に、実質年率と支払総額を必ず確認してください。

その前に、香典・公的給付・預貯金の仮払いで不足額を減らせないかを検討することが先です。契約者を誰にするか、相続財産からどう精算するかを含めて判断に迷う場合は、弁護士に整理を依頼してください。