人が亡くなったら最初にする手続き|時系列でやることを整理

当日に決めるのは搬送先だけです。それ以外は、まだ急がなくて大丈夫です

人が亡くなったら最初にする手続き|時系列でやることを整理

何から手をつければいいのか分からない。そういう状態でこのページを開いたのだと思います。

先にお伝えします。亡くなった直後にすることは、実は多くありません。

当日から翌日までに必要なのは、次の3つだけです。

  1. 死亡診断書を受け取る
  2. 搬送先を決める
  3. 死亡届と火葬許可申請を出す

それ以外は、早いものでも7日から14日の期限があります。急いで契約を決める必要があるのは葬儀社だけ。しかもそれも、搬送と葬儀を分けて考えられます。

やることを、期限とともに整理していきます。

人が亡くなったら最初にする手続きの全体像。判断が分かれる点を一枚で示す
人が亡くなったら最初にする手続きの全体像。判断が分かれる点を一枚で示す(作図: 弁護士による葬儀ガード)

当日にすること

死亡診断書を受け取る

病院で亡くなった場合は、担当医が交付します。

自宅や外出先で亡くなり、医師が異状を認めた場合は、警察へ届け出ることになります。検視を経て死体検案書が交付されます。この場合、交付まで数日かかることがあります。

受け取ったら、必ずコピーを取ってください。

死亡診断書は、生命保険の請求や各種の手続きで後から何度も必要になります。役所に提出すると手元に残りません。

再交付には手数料と時間がかかります。5枚以上コピーしておけば、まず足ります。

根拠となる条文 — 死亡診断書と検案

診療中の患者が受診後24時間以内に亡くなったときは、医師は改めて診察しなくても死亡診断書を交付できます(医師法20条ただし書)。

医師は、死体を検案して異状があると認めたときは、24時間以内に所轄警察署に届け出なければなりません(医師法21条)。

火葬は、死亡または死産後24時間を経過した後でなければ行えません(墓地、埋葬等に関する法律3条)。

搬送先を決める

病院の霊安室に長く置くことはできません。自宅か、葬儀社の安置施設へ移すことになります。

ここで大切なことがあります。搬送の依頼と、葬儀の契約は別です。

病院で紹介された会社に搬送だけを頼み、葬儀社は改めて選べます。断りにくいと感じたら、次のように伝えてください。

「親族と相談してから決めます。搬送だけお願いできますか」

火葬は死亡後24時間を経過しないと行えません。ですから、この日は葬儀社と日程の相談まで進めば十分です。

その場で契約書に署名する必要はありません。署名した人が、支払義務を負う立場になります。誰が署名するかも、慌てて決めないでください。

7日以内にすること

死亡届の提出です。死亡の事実を知った日から7日以内に提出します。

死亡診断書は、右半分が診断書、左半分が死亡届という一体の用紙になっています。左側に記入して提出します。

同時に火葬許可申請を行います。火葬には市町村長の許可が必要で、許可されると火葬許可証が交付されます。

火葬場は、この許可証を受理した後でなければ火葬を行えません。つまり、死亡届を出さないと葬儀の日程が組めません。

実際には、死亡の翌日か翌々日には提出することになります。葬儀社が代行することが多い手続きです。

根拠となる条文 — 死亡届と火葬許可

死亡の届出は、届出義務者が死亡の事実を知った日から7日以内にしなければなりません(戸籍法86条1項)。国外で死亡があったときは、その事実を知った日から3か月以内です。

届出義務者は、第一に同居の親族、第二にその他の同居者、第三に家主・地主または家屋もしくは土地の管理人と定められています。ただし、この順序にかかわらず届け出ることができます(同法87条1項)。同居していない親族、後見人、保佐人、補助人、任意後見人、任意後見受任者も届け出ることができます(同条2項)。

提出先は、死亡者の本籍地または届出人の所在地(同法25条1項)のほか、死亡地でも受け付けられます(同法88条1項)。

火葬には市町村長の許可が必要で(墓地、埋葬等に関する法律5条1項)、許可されると火葬許可証が交付されます(同法8条)。火葬場は許可証を受理した後でなければ火葬を行えません(同法14条3項)。

火葬が済むと、火葬済の証明印が押された許可証が返されます。これが納骨のときに必要です。骨壺の箱に入っていることが多いので、当日に確認してください。

10日・14日以内にすること

期限が短い順に並べると、次のようになります。

手続き期限窓口
年金受給権者死亡届(厚生年金)10日以内年金事務所
年金受給権者死亡届(国民年金)14日以内市区町村
世帯主変更届14日以内市区町村
健康保険・介護保険の資格喪失届14日以内市区町村または勤務先

年金は、停止しないまま振り込まれ続けると、後から返還を求められます。早めに手続きしてください。

亡くなった月の分まで受け取れる制度(未支給年金)があります。窓口で一緒に確認してください。

世帯主変更届は、届け出ないと過料の対象になり得ます。ただし、残った世帯員が一人だけの場合など、届出が不要なケースもあります。窓口で確認してください。

根拠となる条文 — 年金と世帯主変更の届出

受給権者が亡くなったとき、戸籍法上の死亡届出義務者は10日以内に厚生労働大臣へ届け出なければなりません(厚生年金保険法98条4項)。国民年金については、同法105条4項にもとづく届出を14日以内に行います(同法施行規則24条1項)。

世帯または世帯主に変更があった者は、変更があった日から14日以内に市町村長へ届け出なければなりません(住民基本台帳法25条)。正当な理由なく届け出ない場合、5万円以下の過料の対象になります(同法52条2項)。

マイナンバーの情報連携により、死亡届の情報が届く場合があります。ただし、届出そのものが省略できるとは限りません。窓口で確認してください。

図で整理: 3か月・4か月・10か月の期限
図で整理: 3か月・4か月・10か月の期限(作図: 弁護士による葬儀ガード)

3か月・4か月・10か月の期限

葬儀が終わった後に控える、期限の長い手続きです。

手続き期限起算点
相続放棄・限定承認3か月自分が相続人になったことを知った時
準確定申告4か月相続の開始を知った日の翌日から
相続税の申告・納付10か月相続の開始を知った日の翌日から

このうち、相続放棄の3か月が最も重要です。

故人に借金がありそうな場合、この期間内に判断しなければなりません。財産の調査に時間がかかるときは、家庭裁判所に請求して期間を延ばせることがあります。

根拠となる条文 — 相続放棄と申告の期限

相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、相続について単純承認、限定承認または放棄をしなければなりません(民法915条1項)。家庭裁判所は、この期間を伸長することができます。

相続人が相続財産の全部または一部を処分したときは、単純承認をしたものとみなされます(同法921条1号)。

準確定申告は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月を経過した日の前日までに行います(所得税法125条1項)。

相続税の申告は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内です(相続税法27条1項)。

請求しないともらえないお金

期限のある給付があります。申請しなければ1円も出ません。

給付対象金額の目安時効
葬祭費国民健康保険・後期高齢者医療自治体による。東京23区は7万円2年
埋葬料健康保険(協会けんぽ等)5万円2年
葬祭料労災(業務上・通勤による死亡)315,000円+給付基礎日額30日分2年
未支給年金年金受給者亡くなった月の分まで5年
高額療養費医療費が高額だった場合自己負担限度額を超えた分2年

高額療養費は、未請求のまま残っていることがあります。亡くなる直前に入院していた場合は、忘れずに確認してください。

生命保険の死亡保険金も請求が必要です。受取人が指定されていれば、遺産分割を待たずに請求できます。相続放棄をしても受け取れます。

根拠となる条文 — 葬祭費・埋葬料

葬祭費は、国民健康保険法58条1項と、高齢者の医療の確保に関する法律86条にもとづく給付です。金額は保険者の条例または規約で定められます。

埋葬料は健康保険法100条にもとづき、生計を維持されていた方で埋葬を行う方に支給されます。

保険給付を受ける権利は、行使できる時から2年で時効消滅します(健康保険法193条、国民健康保険法110条)。

書類は多めに取っておく

これらの手続きでは、戸籍と住民票が繰り返し必要になります。

窓口に何度も足を運ぶことにならないよう、最初にまとめて取っておいてください。

戸籍に死亡の記載が反映されるまで、1週間から2週間かかることがあります。相続手続きで戸籍謄本が必要な場合は、時間を見込んでおいてください。

法定相続情報一覧図という制度もあります。法務局で作ってもらえば、戸籍の束の代わりに1枚で足りるようになります。金融機関を何行も回る場合は、これを使うと手間が減ります。

まとめ

亡くなった直後の手続きについて、覚えておくことは3つです。

  1. 当日は搬送先だけ。葬儀社の本契約は急がなくてよい
  2. 7日以内に死亡届。火葬許可は同時に申請する
  3. 3か月の期限に注意。故人の預金の使い方が、相続放棄に影響する

期限を一覧にして、順に片づけていけば大丈夫です。慌てて不利な契約を結ぶ場面は避けられます。

葬儀の見積書に疑問があるとき、故人の借金が心配なとき。どちらも、支払う前に相談してください。順番を変えるだけで結果が変わることがあります。

人が亡くなったら最初にする手続き — 支払う前・動く前に確認しておきたい項目
人が亡くなったら最初にする手続き — 支払う前・動く前に確認しておきたい項目(作図: 弁護士による葬儀ガード)