人が亡くなったら最初にする手続き|時系列でやることを整理
24時間・7日・14日。最初の二週間に期限が集中する
人が亡くなった直後にすることは、実は多くありません。当日から翌日までに必要なのは、死亡診断書を受け取る、搬送先を決める、死亡届と火葬許可申請を出すの三つです。それ以外の手続きは、早いものでも死亡から7日から14日の期限があります。急いで契約を決める必要があるのは葬儀社だけで、しかもそれも搬送と葬儀を分けて考えられます。ここでは、やることを時系列に沿って期限とともに整理します。
当日にすること
まず死亡診断書を受け取ります。病院で亡くなった場合は担当医が交付します。診療中の患者が受診後24時間以内に亡くなったときは、医師が改めて診察しなくても死亡診断書を交付できます(医師法20条ただし書)。
自宅や外出先で亡くなり、医師が検案して異状があると認めた場合には、24時間以内に所轄警察署へ届け出る義務があり(医師法21条)、警察の検視を経て死体検案書が交付されます。この場合は交付まで数日かかることがあります。
次に、ご遺体の搬送先を決めます。病院の霊安室に長く置くことはできないため、自宅か葬儀社の安置施設へ移すことになります。ここで注意したいのは、搬送の依頼と葬儀の契約は別だということです。病院で紹介された会社に搬送だけを頼み、葬儀社は改めて選ぶことができます。断り方は病院で紹介された葬儀社の断り方|今すぐ確認すべき手順を参照してください。
なお、火葬は死亡または死産後24時間を経過した後でなければ行えません(墓地、埋葬等に関する法律3条)。この日は葬儀社と日程の相談まで進めば十分です。
7日以内にすること
死亡届の提出です。届出義務者が死亡の事実を知った日から7日以内(国外での死亡は、その事実を知った日から3か月以内)に提出しなければなりません(戸籍法86条1項)。死亡診断書または死体検案書を添付します。実務上は、右半分が死亡診断書、左半分が死亡届という一体の用紙になっており、左側に記入して提出します。
届出義務者は、第一が同居の親族、第二がその他の同居者、第三が家主・地主または家屋もしくは土地の管理人と定められていますが、この順序にかかわらず届け出ることができます(戸籍法87条1項)。同居していない親族、後見人、保佐人、補助人、任意後見人、任意後見受任者も届け出ることができます(同条2項)。
提出先は、死亡者の本籍地または届出人の所在地(戸籍法25条1項)のほか、死亡地でも受け付けられます(同法88条1項)。実際には葬儀社が代行することが多い手続きです。詳細は死亡届は7日以内|提出先・書き方・必要書類にまとめています。
同時に火葬許可申請を行います。火葬を行うには市町村長の許可が必要で(墓地、埋葬等に関する法律5条1項)、許可されると火葬許可証が交付されます(同法8条)。火葬場はこの許可証を受理した後でなければ火葬を行えません(同法14条3項)。
10日・14日以内にすること
期限が短い順に並べると、次のようになります。
- 年金受給権者死亡届(厚生年金)は10日以内。 受給権者が亡くなったとき、戸籍法上の死亡届出義務者は10日以内に厚生労働大臣へ届け出なければなりません(厚生年金保険法98条4項)。
- 年金受給権者死亡届(国民年金)は14日以内。 国民年金法105条4項に基づく届出で、同法施行規則24条1項が14日以内と定めています。
- 世帯主変更届は14日以内。 世帯または世帯主に変更があった人は、変更があった日から14日以内に市町村長へ届け出ます(住民基本台帳法25条)。正当な理由なく届け出ない場合、5万円以下の過料の対象になります(同法52条2項)。ただし残った世帯員が一人だけの場合など、届出が不要なケースもあります。
- 健康保険と介護保険の資格喪失届。 市区町村や勤務先に提出します。
いずれもマイナンバーの情報連携により死亡届の情報が届く場合がありますが、届出そのものが省略できるとは限りません。窓口で確認してください。年金の停止と未支給年金の請求は年金の受給停止手続き|期限と未支給年金の請求で扱っています。
3か月・4か月・10か月の期限
葬儀が終わった後に控える、期限の長い手続きです。
- 相続放棄・限定承認は3か月以内。 自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に判断します(民法915条1項)。家庭裁判所に請求して期間を伸長できる場合があります。
- 準確定申告は4か月以内。 亡くなった人のその年の所得税について、相続人は相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月を経過した日の前日までに申告します(所得税法125条1項)。
- 相続税の申告は10か月以内。 相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内です(相続税法27条1項)。
注意したいのは、3か月の期限より前に相続財産を処分すると、単純承認したものとみなされる場合があることです(民法921条1号)。葬儀費用を故人の預金から支払う場合は、この点に影響しうるため慎重な判断が必要です。詳しくは相続放棄をしても葬儀費用は払えるか|判断の分かれ目を参照してください。
期限のある給付の請求
請求しなければ受け取れない給付があります。時効はいずれも2年です。
国民健康保険・後期高齢者医療の加入者が亡くなった場合、葬祭を行った人に葬祭費が支給されます(国民健康保険法58条1項。金額は市区町村の条例による)。健康保険の被保険者であれば、生計を維持されていた人に埋葬料が支給されます(健康保険法100条1項)。保険給付を受ける権利は、行使できる時から2年で時効消滅します(健康保険法193条、国民健康保険法110条)。
医療費が高額だった場合は、高額療養費が未請求のまま残っていることがあります。詳しくは葬祭費の申請方法と支給額|国民健康保険・後期高齢者医療と高額療養費は死亡後も申請できる|相続人が受け取る手続きをご覧ください。
まとめ
亡くなった当日に決めるべきは搬送先だけで、葬儀社の本契約は急ぐ必要がありません。7日以内に死亡届と火葬許可申請、10日または14日以内に年金の死亡届と世帯主変更、その後3か月・4か月・10か月の期限が続きます。葬儀後の手続きの全体像は葬儀後の手続き一覧|期限つきのものを優先順に整理にまとめました。期限を一覧にして順に片付けていけば、慌てて不利な契約を結ぶ場面は避けられます。
