分骨証明書のもらい方|分骨に必要な書類と手順
火葬当日に申し出るのがいちばん簡単です。納骨後だと、頼む先が変わります
遺骨を複数の場所に分けて納めたい。実家の墓と、自分の近くの納骨堂に。あるいは、一部を手元に置いておきたい。
そういう場合、それぞれの納骨先に提出する証明書が必要になります。分骨証明書です。
大切なのはタイミングです。火葬の当日に分けるのか、納骨した後に分けるのか。これによって、証明書を出す人が変わります。
そして、手間がいちばん少ないのは火葬の当日です。分骨の可能性があるなら、早めに伝えておいてください。
なぜ証明書が必要なのか
墓地の管理者は、許可証を受理した後でなければ、埋葬や焼骨の埋蔵をさせてはなりません。
納骨には、その遺骨がどのような経緯のものかを示す書類が必要になる、ということです。
通常の納骨では、火葬済の証印がある埋葬許可証を提出します。
しかし、遺骨を分けた場合。埋葬許可証は1通しかありません。
そこで、分けた遺骨について交付されるのが分骨証明書です。
| 遺骨 | 提出する書類 |
|---|---|
| 本体(大部分) | 埋葬許可証(火葬済の証印があるもの) |
| 分けた遺骨 | 分骨証明書 |
証明書がないと、納骨先で受け入れてもらえないことがあります。
手元に置いておくだけであれば、法律上の手続きは求められません。ただし、将来的に納骨する可能性があるなら、取得しておくほうが安全です。
後から取ろうとすると、手続きが煩雑になります。
根拠となる条文 — 分骨の証明書
墓地または納骨堂の管理者は、他の墓地または納骨堂に焼骨の一部を分骨しようとする者から請求があったときは、焼骨の埋蔵または収蔵の事実を証する書類を交付しなければなりません(墓地、埋葬等に関する法律施行規則5条1項)。
火葬場の管理者は、火葬した焼骨の一部を分骨しようとする者から請求があったときは、火葬の事実を証する書類を交付しなければなりません(同条2項)。
墓地または納骨堂の管理者は、これらの書類の提出を受けた後でなければ、焼骨を埋蔵または収蔵させてはなりません(同条3項)。
墓地の管理者は、埋葬許可証、改葬許可証または火葬許可証を受理した後でなければ、埋葬または焼骨の埋蔵をさせてはなりません(同法14条1項)。
火葬当日に分ける場合
火葬の際に分骨することが決まっているなら、火葬場の管理者に申し出ます。
実務上は、葬儀社を通じて事前に伝えておくのが一般的です。
手順は次のとおりです。
- 事前に、分骨する数と納骨先を葬儀社に伝える
- 分骨用の骨壺を、必要な数だけ用意する(葬儀社が手配することが多い)
- 収骨の際に、分けて納める
- 火葬場の管理者から、必要な数の分骨証明書を受け取る
証明書の交付には、手数料がかかることがあります。金額は火葬場によって違いますので、事前に確認してください。
分骨用の骨壺の代金も、別途かかります。見積書に含まれているかを確認しておいてください。
当日に申し出ないと、後から火葬場に依頼することになり、手続きが煩雑になります。
納骨後に分ける場合
すでにお墓に納めた遺骨を分ける場合は、その墓地の管理者に申し出ます。
手順は次のようになります。
- 墓地の管理者に、分骨したい旨と納骨先を伝える
- 石材店に依頼して、カロート(納骨室)を開ける
- 遺骨を取り出し、分骨用の骨壺に移す
- 墓地の管理者から、分骨証明書の交付を受ける
石材店への作業費用が別途かかります。数万円になることが一般的です。
また、寺院墓地の場合は、事前に住職へ相談しておくと手続きがスムーズです。読経をお願いすることもあります。
日程の調整も必要です。石材店と墓地の管理者、寺院の三者の都合を合わせることになります。余裕をもって進めてください。
分骨と改葬は違います
混同されやすいところです。整理しておきましょう。
| 分骨 | 改葬 | |
|---|---|---|
| 何をするか | 遺骨の一部を分ける | 遺骨をすべて別の場所へ移す |
| 必要な書類 | 分骨証明書 | 改葬許可証 |
| 誰が出すか | 火葬場または墓地の管理者 | 市区町村長 |
一部を分けるだけなら分骨、全部を移すなら改葬と整理してください。
改葬の許可を出すのは、現在遺骨が埋蔵されている場所の市区町村長です。移す先の市区町村ではありません。
改葬では、次の2つが必要になるのが一般的です。
- 現在の墓地の管理者が発行する埋蔵証明書
- 移転先の受入証明書
手続きの順序を誤ると二度手間になります。両方の管理者に確認してから進めてください。
納骨先の確認を、先に行ってください
分骨を決める前に、納骨先が受け入れてくれるかを確認しておく必要があります。
| 納骨先 | 確認すること |
|---|---|
| 寺院墓地 | 宗派や戒名の要件があることがあります |
| 納骨堂 | 分骨の受け入れ可否と、必要書類 |
| 樹木葬・合祀墓 | 一度納めると取り出せない形式があります |
| 手元供養 | 法律上の手続きは不要。将来の納骨を考えるなら証明書を |
とくに注意していただきたいのが、合祀です。
一度他の方の遺骨と一緒に納めると、取り出せなくなります。後から「やはり分けたい」と思っても、できません。
将来の予定を含めて検討してください。迷っているなら、まず個別に納められる形式を選んでおくほうが、選択肢が残ります。
寺院墓地では、戒名の要否とあわせて考える必要があります。その宗派の戒名がないと受け入れられないことがあります。
手元供養を考えている場合
遺骨の一部を、自宅に置いておく。手元供養と呼ばれます。
自宅で保管すること自体は、差し支えありません。法律が納骨を義務づけているわけではないからです。
小さな骨壺やペンダントに納める方法もあります。
ただし、次の点は押さえておいてください。
- 分骨証明書は、取得しておくほうが安全(将来納骨する可能性があるため)
- 保管場所は、湿気の少ないところを選ぶ
- 後の代に引き継ぐ人がいるかを考えておく
自宅の敷地に埋めることは、認められていません。焼骨の埋蔵は、墓地として許可された区域でしか行えません。庭に埋めることはできませんので、注意してください。
証明書を紛失した場合
分骨証明書を紛失した場合は、交付した火葬場または墓地の管理者に再交付を依頼します。
記録が保管されていれば、再発行を受けられます。まず電話で問い合わせてください。
なお、埋葬許可証を紛失した場合は、これとは手続きが異なります。火葬許可を出した市区町村で再交付を申請する流れになります。
納骨の直前に慌てないよう、証明書は骨壺の箱と一緒に保管しておくとよいでしょう。
そして、保管場所を家族に伝えておいてください。喪主だけが知っている状態だと、後で探すことになります。
家族で決めておきたいこと
分骨は、家族の間で意見が分かれやすいところです。決める前に、話し合っておいてください。
よく問題になるのは、次の3点です。
分けること自体への抵抗。「遺骨を分けるのは忍びない」と感じる方がいます。宗派によって考え方も違います。
どこに、いくつ分けるか。兄弟がそれぞれ手元に置きたいと言い出すと、分ける数が増えます。骨壺の代金と証明書の手数料も、その分かかります。
将来、誰が管理するか。手元供養は、置いている人が亡くなった後どうするかを決めておかないと、次の代が困ります。
お墓や仏壇を引き継ぐ人を、祭祀承継者といいます。通常の相続財産とは切り離され、相続分による分割の対象になりません。
根拠となる条文 — 祭祀承継者
系譜、祭具および墳墓の所有権は、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継します(民法897条1項)。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継します。
慣習が明らかでないときは、これらを承継すべき者は家庭裁判所が定めます(同条2項)。
これらの財産は相続財産とは区別して扱われるため、法定相続分による分割の対象になりません。
話し合いがまとまらないときは、家庭裁判所の手続きを利用できます。ただし、そこまで進む前に、まず互いの考えを聞くところから始めてください。
分骨は、遠方に住む家族がそれぞれ手を合わせられるようにするための方法でもあります。目的を共有できれば、話は進みやすくなります。
費用の目安
分骨にかかる費用を、場面ごとに整理しておきます。
火葬当日に分ける場合
| 費目 | 目安 |
|---|---|
| 分骨用の骨壺 | 数千円から(大きさによる) |
| 分骨証明書の手数料 | 無料から数千円 |
納骨後に分ける場合
| 費目 | 目安 |
|---|---|
| 石材店の作業費(カロートの開閉) | 数万円 |
| 分骨用の骨壺 | 数千円から |
| 分骨証明書の手数料 | 無料から数千円 |
| 読経のお布施(依頼する場合) | 数万円 |
金額の差が示すとおり、火葬当日に分けるほうが圧倒的に安く済みます。
納骨後に分けると、作業費が加わります。そのうえ日程の調整も必要になり、手間もかかります。
分骨するかどうか決めかねている場合でも、火葬の段階で分けておくという判断はあり得ます。分けた遺骨は、納骨せずに手元に置いておくこともできるからです。
逆に、後から「やはり一緒にしたい」と思ったときは、同じ墓に納めることができます。こちらのほうが、選択肢は残ります。
まとめ
分骨証明書について、覚えておくことは3つです。
- タイミングで交付者が変わる。火葬当日なら火葬場、納骨後なら墓地の管理者
- 火葬当日がいちばん簡単。分骨の可能性があるなら、早めに伝える
- 納骨先を先に確認する。受け入れ条件と、合祀の可否
手元に置くだけなら手続きは不要ですが、将来納骨する可能性があるなら証明書を取得しておいてください。
納骨先の受け入れ条件を先に確認し、必要な数の証明書をそろえてから進めると、後戻りがありません。
