火葬許可証を紛失したときの再発行|納骨前に確認すること
再交付できます。まず骨壺の箱の中を見てください。そこにあることが多いのです
納骨の直前に、墓地から「許可証をお持ちください」と言われた。探しても見当たらない。
そういうご相談は珍しくありません。再交付を受けられますので、まず落ち着いてください。
そして、探す前にひとつだけ試してほしいことがあります。骨壺を納めた箱の中を見てください。
火葬場から返された許可証は、そこに入れられていることが多いのです。「紛失した」と思っていた方の多くが、ここで見つかります。
そもそも、どういう書類なのか
死亡届を提出すると、火葬許可証が交付されます。
火葬が済むと、火葬場の管理者が火葬を行った旨を記載し、押印して返します。
これが実務上「埋葬許可証」と呼ばれるものです。名前は違いますが、同じ一枚の書面です。
| いつ | 書類の状態 | 呼び方 |
|---|---|---|
| 死亡届の受理時 | 交付される | 火葬許可証 |
| 火葬後 | 火葬済の証印が押される | 埋葬許可証と呼ばれることが多い |
| 納骨時 | 墓地・納骨堂へ提出する | 同じもの |
墓地の管理者は、この許可証を受理した後でなければ、埋葬や焼骨の埋蔵をさせてはなりません。
つまり、許可証がなければ納骨ができません。
案内文によって名称が違っていても、手元にある火葬済の印が押された紙のことだと理解して差し支えありません。
根拠となる条文 — 許可証と納骨の関係
埋葬、改葬または火葬を行おうとする者は、市町村長の許可を受けなければなりません(墓地、埋葬等に関する法律5条1項)。
市町村長が許可を与えるときは、埋葬許可証、改葬許可証または火葬許可証を交付しなければなりません(同法8条)。
墓地の管理者は、埋葬許可証、改葬許可証または火葬許可証を受理した後でなければ、埋葬または焼骨の埋蔵をさせてはなりません(同法14条1項)。納骨堂の管理者についても同様の定めがあります(同条2項)。
まず、どこを探すか
紛失したと思う前に、次の場所を確認してください。
- 骨壺を納めた桐箱の中
- 遺骨と一緒に渡された袋の中
- 骨壺の布カバーの内側
- 葬儀社から渡された書類一式の中
多くの場合、火葬場から返された許可証は、骨壺の箱の中に入れられています。
葬儀の当日は慌ただしく、遺族が中を確認しないまま自宅に置かれます。そのため、数か月後に「なくした」と思われるのです。
箱を開けるのに抵抗があるかもしれませんが、確認して差し支えありません。布カバーを外し、蓋を開けてみてください。
葬儀社に問い合わせるのも有効です。当日どのように渡したかの記録が残っていることがあります。
再交付の手続き
見当たらない場合は、火葬許可を出した市区町村の窓口で再交付を申請します。
死亡届を提出した自治体が基本です。ほかの役所では扱えません。
必要になるものは、おおむね次のとおりです。
申請できるのは、通常、死亡届の届出人や、祭祀を主宰する立場の方など、正当な利害関係を持つ方に限られます。
窓口に行く前に、必要書類と申請できる人の範囲を電話で確認しておくと確実です。手数料がかかる自治体もあります。
火葬から年数が経っている場合
自治体によっては、火葬から一定の年数が経過していると、市区町村の記録では確認できないことがあります。
その場合、次の二段階になります。
- 火葬を行った火葬場に連絡し、火葬証明書の交付を受ける
- その証明書を持って、市区町村で再交付を申請する
火葬場が民営の場合も、記録は残っています。まず電話で問い合わせてください。
保存期間は施設によって違います。かなり前の火葬でも、記録が残っていることがあります。
納骨までに準備するもの
納骨の際には、許可証以外にも書類が必要です。墓地や納骨堂によって違いますが、一般的には次のとおりです。
| 書類 | 補足 |
|---|---|
| 埋葬許可証(火葬済の証印があるもの) | いちばん重要 |
| 墓地使用許可証、永代使用権の証書 | 墓地の契約書類 |
| 墓地使用者の本人確認書類 | 顔写真付きが確実 |
| 印鑑 | 施設による |
寺院墓地の場合は、これに加えて宗派や戒名に関する確認が入ることがあります。
納骨の時期に、法律上の期限はありません。
四十九日や一周忌に合わせることが多いのですが、決まりではありません。書類がそろってから行っても問題ありません。
日程が迫っているなら、墓地の管理者に事情を伝えてください。書類の準備中であることが分かれば、日程を調整してもらえることがあります。
分骨する場合
遺骨を複数の場所に納める場合は、その数に応じた証明書が必要になります。
タイミングによって、手続きが変わります。
| いつ分骨するか | 証明書を出すのは |
|---|---|
| 火葬の際 | 火葬場の管理者 |
| すでに埋蔵されている焼骨を分ける | 墓地の管理者 |
火葬の当日に分骨を予定しているなら、その場で申し出るのが最も簡単です。後からだと、手続きが増えます。
分骨する予定があるなら、骨壺の数も事前に伝えておいてください。当日に用意がないと、間に合いません。
根拠となる条文 — 分骨の証明書
墓地または納骨堂の管理者は、他の墓地または納骨堂に焼骨の一部を分骨しようとする者から請求があったときは、焼骨の埋蔵または収蔵の事実を証する書類を交付しなければなりません(墓地、埋葬等に関する法律施行規則5条1項)。
火葬場の管理者は、火葬した焼骨の一部を分骨しようとする者から請求があったときは、火葬の事実を証する書類を交付しなければなりません(同条2項)。
墓地または納骨堂の管理者は、これらの書類の提出を受けた後でなければ、焼骨を埋蔵または収蔵させてはなりません(同条3項)。
改葬する場合は、別の許可証
すでに納骨した遺骨を別の墓地へ移す場合。これは「改葬」にあたり、火葬許可証ではなく改葬許可証が必要です。
許可を出すのは、現在遺骨が埋蔵されている場所の市町村長です。移す先の市町村ではありません。
改葬では、次の2つが必要になるのが一般的です。
- 現在の墓地の管理者が発行する埋蔵証明書
- 移転先の受入証明書
手続きの順序を誤ると二度手間になります。両方の管理者に確認してから進めてください。
墓じまいを伴う場合は、現在の墓地の使用契約の解約や、墓石の撤去費用も生じます。事前に見積りを取っておいてください。
寺院墓地からの改葬では、離檀に関する話し合いが必要になることがあります。事前に相談しておくと、話が進みやすくなります。
納骨までに決めておくこと
許可証の話とあわせて、納骨までに決めておきたいことを整理しておきます。書類の準備と並行して進めてください。
どこに納めるか。先祖代々の墓、新しく建てる墓、納骨堂、樹木葬、散骨。それぞれ必要な手続きと費用が違います。
誰が墓を引き継ぐか。お墓や仏壇を引き継ぐ人を、祭祀承継者といいます。通常の相続財産とは切り離され、相続分による分割の対象になりません。
いつ行うか。四十九日や一周忌に合わせることが多いのですが、法律上の期限はありません。書類と気持ちの準備が整ってからで構いません。
根拠となる条文 — 祭祀承継者
系譜、祭具および墳墓の所有権は、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継します(民法897条1項)。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継します。
慣習が明らかでないときは、これらを承継すべき者は家庭裁判所が定めます(同条2項)。
これらの財産は相続財産とは区別して扱われるため、法定相続分による分割の対象になりません。
祭祀承継者を誰にするかで意見が分かれることがあります。話し合いがまとまらないときは、家庭裁判所の手続きを利用できます。
遺骨を自宅に置いておくことはできるか
納骨せず、自宅で保管する方が増えています。手元供養と呼ばれます。
自宅で保管すること自体は、差し支えありません。法律が納骨を義務づけているわけではないからです。
ただし、次の点は押さえておいてください。
| 確認する点 | 内容 |
|---|---|
| 許可証の保管 | 後で納骨するときに必要になります |
| 保管場所 | 湿気の少ない場所を選んでください |
| 家族の合意 | 後の代に引き継ぐ人がいるかを考えておく |
| 分骨する場合 | 証明書が別に必要になります |
許可証を捨てないでください。自宅に置いている間は使いませんが、いつか納骨するときに必要になります。
骨壺の箱に入れたままにせず、他の重要書類とまとめて保管してください。そして、保管場所を家族に伝えておいてください。
自宅の敷地に埋めることは、認められていません。焼骨の埋蔵は、墓地として許可された区域でしか行えません。庭に埋めることはできませんので、注意してください。
海洋散骨については、節度をもって行われる限り差し支えないという見解が示されています。ただし、実施する場所や方法に配慮が必要です。業者に依頼する場合は、方法と費用を事前に確認してください。
まとめ
火葬許可証の紛失について、覚えておくことは3つです。
- まず箱の中を見る。そこにあることが多いのです
- 再交付できる。申請先は、火葬許可を出した市区町村です
- 年数が経っていると二段階。火葬場の証明書が先に必要になることがあります
納骨の日程が決まっている場合は、余裕をもって手続きを始めてください。書類がそろってから納骨しても、何の問題もありません。
分骨や改葬を考えているときは、必要な証明書が変わります。関係する管理者に、先に確認しておいてください。
