危篤と言われたらやること|連絡と準備の優先順位

今すべきことは3つだけです。葬儀社を決めるのは、この段階ではありません

危篤と言われたらやること|連絡と準備の優先順位

危篤の連絡を受けた。頭が真っ白になっていると思います。

今すべきことは、多くありません。3つだけです。

  1. 病院や施設へ向かう
  2. 近い親族に連絡する
  3. 現金と身分証を持っていく

葬儀社を決めたり、費用の相談をしたりするのは、その後で構いません。

むしろ、落ち着いて判断できないまま契約を決めてしまうと、後から見積書の内容に納得できないという事態につながります。

やるべきことと、後回しでよいことを分けてお伝えします。

危篤と言われたらやることの全体像。判断が分かれる点を一枚で示す
危篤と言われたらやることの全体像。判断が分かれる点を一枚で示す(作図: 弁護士による葬儀ガード)

最初にすること

到着までの間にできることは限られています。次の順序で動いてください。

順序すること
1病院・施設から、面会の可否と場所を確認する
2近い親族(配偶者、子、親、兄弟姉妹)に連絡する
3勤務先や学校に、当面の予定を伝える
4現金、身分証、印鑑、携帯電話の充電器を持って向かう

現金を挙げたのには理由があります。この後の場面で、必要になることが多いのです。

  • タクシー代
  • 病院での支払い
  • 寝台車の手配
  • 深夜の食事や宿泊

数万円は手元にあると安心です。夜間だと、金融機関の窓口は開いていません。

携帯電話の充電器も忘れないでください。連絡を取り続けることになります。

連絡する範囲の考え方

危篤の段階で連絡する範囲は、一般に次のようにされています。

  • 三親等以内の親族
  • 本人が特に会いたいと考えていた人

全員に一斉に伝える必要はありません。それぞれから問い合わせが来て、対応の負担が生じます。

連絡のときに伝えるのは、次の3つです。

  1. 誰が、どこの病院・施設にいるか
  2. 面会できる状況かどうか
  3. 連絡した人の名前と電話番号

急ぐ場面ですから、電話が基本です。深夜であっても、危篤の連絡は許容されると考えてよいでしょう。

遠方の親族には、移動にかかる時間も伝えてください。「今すぐ来てほしいのか」「明日で構わないのか」がわかると、相手も動きやすくなります。

この段階で葬儀社を決めなくて大丈夫です

危篤の連絡を受けると、その場で葬儀社を探し始める方がいます。

準備の意識としては自然です。ただ、この時点で契約まで進める必要はありません。

亡くなった後にまず必要になるのは、遺体の搬送です。

搬送だけを依頼し、葬儀そのものは改めて検討できます。病院で紹介された葬儀社に、そのまま任せる必要もありません。

断るときは、次のように伝えれば足ります。

「親族と相談してから決めます。搬送だけお願いできますか」

火葬は死亡後24時間を経過しないと行えません。ですから、葬儀社を選ぶ時間はあります。

国民生活センターが2026年6月3日に公表した資料があります。そこでは、病院で紹介された葬儀社を利用した事例が相談として取り上げられています。

同じ資料によると、葬儀サービスに関する相談は2025年度で917件ありました。そのうち52.6%が「高価格・料金」に関するものです。

急いで決めた契約ほど、後から内容を確認できていなかったことに気づきます。

根拠となる条文 — 火葬までの時間

埋葬または火葬は、他の法令に別段の定めがあるものを除き、死亡または死産後24時間を経過した後でなければ行ってはなりません(墓地、埋葬等に関する法律3条)。

火葬を行おうとする者は、市町村長の許可を受けなければなりません(同法5条1項)。火葬場の管理者は、火葬許可証を受理した後でなければ、火葬を行ってはなりません(同法14条3項)。

契約は、内容を示した申込みに対して相手が承諾したときに成立します(民法522条1項)。書面がなくても、口頭で成立します(同条2項)。急いでいても、その場で口頭の了解を与えることには慎重であってください。

図で整理: 事前に把握しておくと役立つこと
図で整理: 事前に把握しておくと役立つこと(作図: 弁護士による葬儀ガード)

余裕があれば確認しておきたいこと

待っている時間ができたら、次の情報を確認しておいてください。その後の手続きがずいぶん楽になります。

医療保険の種類は、後の葬祭費・埋葬料の申請先を決めます。保険証を見れば分かります。

加入していた制度給付金額の目安
国民健康保険・後期高齢者医療葬祭費自治体による。東京23区は7万円
健康保険(協会けんぽ等)埋葬料5万円

菩提寺の有無は、葬儀の形式や戒名の扱いに影響します。

菩提寺がある場合は、危篤の段階で連絡を入れておくと、日程の調整がしやすくなります。急に「明日お願いします」では、都合がつかないことがあります。

本籍地は、死亡届に書く欄があります。分からない場合は、本籍地記載の住民票を取得すれば確認できます。

亡くなった後の流れを頭に入れておく

実際に亡くなった後は、次のように進みます。

  1. 医師から死亡診断書を受け取る
  2. 遺体を安置場所へ搬送する
  3. 死亡届を提出し、火葬許可を得る
  4. 葬儀の日程と形式を決める
  5. 通夜・告別式・火葬

死亡届の期限は、死亡の事実を知った日から7日以内です。ただし、火葬許可のために実際には翌日前後に提出することになります。

ここで、ひとつだけ覚えておいてほしいことがあります。

死亡診断書は、コピーを取ってから提出してください。

原本は死亡届として提出するため、手元に残りません。生命保険の請求や年金の手続きで繰り返し必要になります。5枚から10枚は用意しておいてください。

費用の見当をつけておく

金額の見当がついていると、当日の判断がまったく変わります。「おまかせします」と言ってしまう場面が減ります。

株式会社鎌倉新書の「第7回 お葬式に関する全国調査」(2026年)による平均額は、次のとおりです。

形式平均
一般葬122.01万円
家族葬96.39万円
一日葬74.43万円
直葬・火葬式49.56万円

全体の平均は96.73万円です。この金額にお布施は含まれていません。葬儀のお布施は20万〜50万円が中心とされています。

一方、実際の持ち出しは総額より小さくなります。香典、葬祭費または埋葬料を差し引けるからです。

数字を頭に入れておくだけで、見積書を見たときの判断が変わります。

危篤と言われたらやること — 支払う前・動く前に確認しておきたい項目
危篤と言われたらやること — 支払う前・動く前に確認しておきたい項目(作図: 弁護士による葬儀ガード)

病院で亡くなった直後にすること

危篤から回復されることもありますが、そうでなかった場合に備えて、直後の流れを書いておきます。

病院では、次のように進みます。

  1. 医師が死亡を確認し、死亡診断書を作成する
  2. 看護師が処置(エンゼルケア)を行う
  3. 遺体を霊安室へ移す
  4. 搬送先を決め、寝台車を手配する
  5. 病院での費用を精算する

病院の霊安室に長く置くことはできません。数時間以内に搬送先を決めることになります。

搬送先は、自宅か、葬儀社の安置施設です。自宅に安置できるかは、住環境によります。マンションの場合、エレベーターに棺が入るかを確認しておいてください。

寝台車の手配は、葬儀社に依頼します。深夜でも対応しています。

このとき、搬送だけを依頼すると伝えてください。そのまま葬儀の打ち合わせに入る流れになりがちですが、断って構いません。

病院での費用の精算は、後日でよいことが多くあります。窓口が閉まっている時間帯なら、翌日以降に改めて行きます。

故人の私物は、その場で受け取ります。忘れ物がないよう、看護師と一緒に確認してください。

安置場所を決めるときに聞くこと

搬送先を決める際、次の点を確認しておいてください。金額に直結します。

聞くことなぜ
安置料は1日いくらか火葬まで数日かかることがある
ドライアイス代は1日いくらか同じく日数分かかる
面会できる時間帯は施設によって制限がある
付き添いはできるか対応できる施設とできない施設がある
搬送は何キロまで含まれるか超えた分が別途かかる

とくに安置料は、後から金額が動きやすい部分です。火葬場が混み合っていると、日数が延びます。

都市部では、火葬まで1週間近く待つことも珍しくありません。冬場や年末年始は特に混み合います。

1日あたりの単価が分かっていれば、日数が延びたときにいくら増えるのかを自分で計算できます。

自宅に安置する場合は、費用を抑えられます。ただし、ドライアイスの交換で人の出入りがあります。

面会の時間帯も確認してください。「いつでも会える」と思っていたら夜間は入れなかった、という行き違いが起きます。後から「もう少し一緒にいたかった」と感じる方は少なくありません。

まとめ

危篤の連絡を受けたときは、次の3つを覚えておいてください。

  1. 向かう・連絡する・現金を持つ。今すべきことはこれだけです
  2. 葬儀社は急がない。搬送だけ頼んで、後から選び直せます
  3. 署名は慌てない。署名した人が、支払義務を負います

余裕があれば、本人の希望、加入していた医療保険、菩提寺の有無を確認しておいてください。その後の手続きと費用の見通しが立てやすくなります。

契約や費用の判断に迷う場面が出てきたら、契約前の段階で相談してください。契約後より、ずっと選べることが残っています。