死亡診断書の受け取り方|必要な枚数と費用
原本は提出して手元に残りません。出す前にコピーを10枚取ってください
死亡診断書は、その後のほぼすべての手続きの起点になる書類です。
そして、原本は手元に残りません。死亡届と同じ用紙になっていて、そのまま市区町村に提出するからです。
ですから、提出する前にコピーを取ってください。
必要な枚数は、5枚では足りないことがあります。生命保険が複数あれば、その数だけ必要です。10枚あれば安心です。
これだけは、先に知っておいてください。後から取り直すのは、手間も費用もかかります。
どこで受け取るか
亡くなった場所によって、受け取り方が変わります。
| 状況 | 誰が作成するか | 書類の名前 |
|---|---|---|
| 病院で亡くなった | 診療にあたった医師 | 死亡診断書 |
| 自宅・施設で亡くなった(かかりつけ医がいる) | かかりつけ医 | 死亡診断書 |
| 診療中でない方が亡くなった | 警察の関与を経て医師 | 死体検案書 |
| 死因が明らかでない | 同上 | 死体検案書 |
病院で亡くなった場合は、診療にあたった医師が作成します。多くは当日中に受け取れます。
自宅や施設で亡くなった場合は、かかりつけ医に連絡します。継続的に診療を受けていた傷病に関連する死亡であれば、診察を経て死亡診断書が交付されます。
診療中でない方が亡くなった場合は、警察が関与します。検視を経て、死体検案書が作成されます。
死亡診断書と死体検案書は、名称と作成の経緯が違うだけです。死亡届に添える書類としての役割は同じです。
医師には、求めがあれば交付する義務があります。断られることは、通常ありません。
根拠となる条文 — 医師の交付義務
診察もしくは検案をし、または出産に立ち会った医師は、診断書もしくは検案書または出生証明書もしくは死産証書の交付の求めがあった場合には、正当の事由がなければ、これを拒んではなりません(医師法19条2項)。
診療中の患者が受診後24時間以内に亡くなったときは、医師は改めて診察しなくても死亡診断書を交付できます(同法20条ただし書)。
医師は、死体を検案して異状があると認めたときは、24時間以内に所轄警察署に届け出なければなりません(同法21条)。
費用の目安
死亡診断書の作成費用は、公的医療保険の対象外です。医療機関が独自に定めています。
数千円程度とする医療機関が多くなっています。
死体検案書の場合は、検案に要した費用も含めて、より高額になることがあります。数万円になる例もあります。
金額は医療機関によって違いますので、受け取り時に確認してください。
相続税との関係も押さえておきましょう。
葬式費用として差し引けるかは、内容によって判断が分かれます。国税庁のタックスアンサーNo.4129は、医学上または裁判上の特別の処置に要した費用を差し引けないものとして挙げています。
解剖の費用などが、これにあたると考えられています。領収書は分けて保管しておいてください。
コピーが必要になる手続き
原本は死亡届として提出するため、手元に残るのはコピーです。
次の手続きで使うことになります。
| 手続き | 必要な部数の目安 |
|---|---|
| 生命保険金の請求 | 保険会社ごとに1部 |
| 簡易保険、共済の請求 | それぞれ1部 |
| 遺族年金・未支給年金の請求 | 1部 |
| 葬祭費・埋葬料の申請 | 1部 |
| 勤務先への提出(弔慰金、死亡退職金) | 1部 |
| 銀行の相続手続き | 金融機関によって求められます |
保険会社が複数あれば、その数だけ必要です。
あとから追加でコピーを取ることはできません。提出前にまとめて用意してください。
5枚では足りないケースもあります。10枚あれば、まず困りません。コピー代は1枚10円程度です。
原本が必要と言われた場合は、市区町村で死亡届の記載事項証明書を取得できることがあります。
ただし、取得できる場面は限られており、請求できる人にも制限があります。まずはコピーで足りるかを提出先に確認してください。
記載内容の確認
受け取ったら、次の点を確認してください。
とくに大切なのが、死亡した日時です。
死亡日時は、次のものに関わります。
- 火葬できる時期(死亡後24時間を経過してから)
- 相続の起算点(相続放棄の3か月など)
- 各種給付の期限
誤りがあれば、その場で医師に訂正を依頼してください。提出後の訂正は、手間がかかります。
氏名の漢字も確認してください。戸籍上の表記と違っていると、後の手続きで説明を求められることがあります。
死亡届との関係
死亡診断書と死亡届は、同じ用紙です。
| 用紙の部分 | 誰が書くか |
|---|---|
| 右半分(死亡診断書) | 医師 |
| 左半分(死亡届) | 届出人 |
左半分の死亡届に、届出人が記入して市区町村に提出します。
提出の期限は、死亡の事実を知った日から7日以内です。国外で死亡があったときは3か月以内になります。
提出により火葬許可証が交付され、火葬が可能になります。
つまり、死亡届を出さないと葬儀の日程が組めません。実際には、死亡の翌日か翌々日には提出することになります。
根拠となる条文 — 死亡届と火葬許可
死亡の届出は、届出義務者が死亡の事実を知った日から7日以内(国外で死亡があったときは、その事実を知った日から3か月以内)にしなければなりません(戸籍法86条1項)。
届書には、診断書または検案書を添付しなければなりません(同条2項)。やむを得ない事由によってこれを得ることができないときは、死亡の事実を証すべき書面をもってこれに代えることができます(同条3項)。
火葬を行おうとする者は、市町村長の許可を受けなければなりません(墓地、埋葬等に関する法律5条1項)。許可を与えるときは、火葬許可証が交付されます(同法8条)。
死体検案書になる場合
自宅で一人暮らしをしていた方が亡くなった場合など、警察が関与することがあります。
この場合の流れは、次のようになります。
- 警察に連絡する(119番でも、状況により警察に引き継がれます)
- 現場の状況を確認する検視が行われる
- 必要に応じて解剖が行われる
- 死体検案書が交付される
交付まで数日から数週間かかることがあります。事件性が疑われる場合は、さらに時間がかかります。
その間、死亡届が出せませんので、葬儀の日程も決められません。
遠方の親族には、その旨を伝えておいてください。「まだ日程が決まらない」という状況を説明できます。
なお、死亡届の期限である7日は、「死亡の事実を知った日」から数えます。書類がそろわないうちは、その旨を窓口に伝えておいてください。
遺体が長く警察に置かれる場合、その間の保管費用がかかることがあります。あわせて確認してください。
提出までの流れを整理しておく
受け取ってから提出するまでの手順を、順に並べておきます。
- 医師から死亡診断書を受け取る
- 記載内容を確認する(誤りはその場で訂正依頼)
- スマホで撮る
- コピーを10枚取る
- 左半分の死亡届に記入する
- 市区町村へ提出し、火葬許可証を受け取る
4番目を飛ばさないでください。ここが、いちばんよくある失敗です。
葬儀社が代行する場合、そのまま持って行かれてしまうことがあります。渡す前に「コピーを取らせてください」と一言伝えてください。
提出先は、次のいずれかです。
| 提出先 | 補足 |
|---|---|
| 死亡者の本籍地 | 戸籍がある市区町村 |
| 届出人の所在地 | 住所地に限らず、滞在地も含まれます |
| 死亡地 | 亡くなった場所の市区町村 |
多くの市区町村では、夜間や休日も受け付けています。ただし、火葬許可証の交付を同時に受けられるかは自治体によって違います。
夜間に提出する場合は、事前に電話で確認しておくと安全です。
死亡診断書に書かれていること
どういう内容が書かれているのかを知っておくと、確認しやすくなります。
主な欄は次のとおりです。
- 氏名、性別、生年月日
- 死亡したとき(年月日と時刻)
- 死亡したところ(病院名、住所など)
- 死亡の原因(直接死因と、その原因となった傷病)
- 死因の種類(病死、外因死などの区分)
- 手術・解剖の有無
- 医師の氏名、所属する医療機関、署名
死因の種類の欄は、生命保険の請求で意味を持つことがあります。災害割増や傷害特約がついている契約では、支払われる金額が変わることがあります。
保険証券を確認し、どういう場合に増額されるのかを見ておいてください。分からなければ、保険会社に問い合わせれば教えてもらえます。
手術・解剖の有無の欄も確認してください。解剖が行われた場合、その費用は相続税の計算で差し引けない扱いになります。領収書を分けて保管しておいてください。
死因の記載について、遺族が内容に納得できない場合もあります。医師に説明を求めることはできますが、記載そのものは医師の医学的判断によります。
内容に疑問が残るときは、まず主治医に説明を求めてください。それでも納得できない場合の対応は、事案によって異なります。
まとめ
死亡診断書について、覚えておくことは3つです。
- 原本は残らない。死亡届として提出します
- コピーを10枚。提出前に、まとめて取っておいてください
- 死亡日時を確認する。誤りはその場で訂正を依頼します
費用は保険の対象外で、医療機関ごとに違います。受け取り時に確認してください。
記載内容を確かめ、必要な枚数のコピーをそろえてから提出する。この順序で進めれば、後の手続きで困ることはありません。
