葬祭費の申請方法と支給額|国民健康保険・後期高齢者医療

申請しなければ支給されない。東京23区は7万円、時効は2年

国民健康保険や後期高齢者医療制度に加入していた方が亡くなったとき、葬祭を行った人に対して葬祭費が支給されます。金額は自治体の条例で定められるため地域差があり、東京23区では7万円です。申請しなければ支給されず、期限は葬祭を行った日の翌日から2年です。手続き自体は難しくありませんが、故人の勤務先の健康保険から給付が出る場合は対象外になるなど、重複を避ける仕組みがある点に注意が必要です。

葬祭費の根拠と支給額

葬祭費の根拠は、国民健康保険については国民健康保険法58条1項です。同項は、市町村および組合が、被保険者の死亡に関して、条例または規約の定めるところにより葬祭費の支給または葬祭の給付を行うものとしています。75歳以上(一定の障害がある方は65歳以上)が加入する後期高齢者医療制度については、高齢者の医療の確保に関する法律86条が根拠です。

いずれも金額を法律が一律に定めておらず、条例や広域連合の規約に委ねられています。そのため支給額は地域によって異なります。東京23区の場合、国民健康保険・後期高齢者医療のいずれも葬祭費は7万円です。港区の案内では、国民健康保険の被保険者が亡くなり葬祭を行った人に葬祭費7万円が支給されると説明されています。他の地域では金額が異なりますので、必ずお住まいの市区町村の国民健康保険担当窓口、または後期高齢者医療広域連合で確認してください。

誰が受け取れるのか

受け取れるのは「葬祭を行った人」です。多くの場合は喪主ですが、法律上の相続人であることは要件ではありません。実際に葬儀を主催し、費用を負担した人が申請します。

そのため、申請書には葬祭を行った人の氏名が必要で、添付する葬儀の領収書も、宛名が申請者になっていることが求められるのが一般的です。領収書の宛名を空欄や「〇〇家」としてしまうと、後から差し替えを求められることがあります。葬儀社に領収書を発行してもらう時点で、宛名を喪主の氏名にしておくとスムーズです。

葬儀費用を誰が負担すべきかという問題は、給付の受給者とは別に整理する必要があります。この点は葬儀費用は誰が払うのかで扱っています。

申請の手順と必要書類

申請先は、故人が加入していた制度によって変わります。国民健康保険なら市区町村の国民健康保険担当課、後期高齢者医療なら市区町村の後期高齢者医療担当課です。必要となる書類は自治体によって多少異なりますが、港区の案内では次のものが挙げられています。

  • 保険資格を確認できる書類(資格確認書、資格情報のお知らせなど)
  • 葬儀の領収書の原本(故人の氏名と葬儀費用の記載があるもの)
  • 葬儀を行った人名義の振込口座がわかるもの
  • 葬儀を行った人の本人確認書類

申請期限は、葬祭を行った日の翌日から2年以内です。死亡日からではなく葬祭を行った日から起算する点に注意してください。この2年を過ぎると請求できなくなります。

葬儀直後は手続きが集中しますが、葬祭費は火葬許可や死亡届のように日単位の期限があるものではありません。落ち着いてから申請しても間に合います。他の手続きとの優先順位は葬儀後の手続き一覧で整理しています。

自治体によっては、故人の保険証や資格確認書の返却手続きと同じ窓口で葬祭費の申請ができる場合があります。国民健康保険の資格喪失の届出に行く際、葬儀の領収書と申請者名義の通帳を持参すれば一度で済ませられることもありますので、来庁前に電話で確認しておくと二度手間を避けられます。

支給されないケース

次の場合は葬祭費が支給されません。

  • 故人の勤務先の健康保険から埋葬料(費)が支給される場合:港区の案内では、退職後3か月以内の死亡で退職前の健康保険から支給されるときは対象外とされています。協会けんぽの埋葬料については埋葬料・埋葬費の申請方法をご覧ください
  • 交通事故など第三者行為による死亡で、別途給付を受ける場合
  • 業務上の事由による死亡:この場合は労災保険の葬祭料(葬祭給付)の対象になります。厚生労働省の案内によれば、315,000円に給付基礎日額の30日分を加えた額が支給され、その額が給付基礎日額の60日分に満たない場合は60日分が支給されます。請求先は所轄の労働基準監督署長です

なお、直葬や火葬式であっても、葬祭を行ったと認められれば支給の対象になるのが一般的です。ただし取扱いは自治体によって差があるため、火葬のみを行った場合は事前に窓口へ確認しておくと確実です。

もうひとつ注意したいのは、故人が生活保護を受けており葬祭扶助が適用される場合です。生活保護法18条に基づく葬祭扶助を受けたときは、葬祭費との調整が行われることがあります。この点も福祉事務所と国民健康保険の窓口の双方に確認してください。葬祭扶助の内容は葬祭扶助の条件と支給金額で解説しています。

葬祭費と葬儀社への支払いは別の問題

葬祭費が支給されても、それは葬儀社への支払いとは別の話です。給付を受けたからといって請求額の妥当性が検証されたことにはなりません。

弁護士の立場から申し上げると、葬祭費の申請に必要な領収書を受け取る場面は、請求内容を確認するよい機会でもあります。領収書と一緒に、契約時の見積書と最終的な請求明細を揃えて保管してください。見積書になかった項目が請求書に載っていないか、単価は同じで数量だけが増えていないかを確認しておくと、後から疑問が生じたときに検証できます。確認の観点は葬儀の見積書チェックポイントにまとめました。

まとめ

葬祭費は、国民健康保険法58条1項と高齢者の医療の確保に関する法律86条を根拠に、葬祭を行った人へ支給されます。金額は条例で定まるため地域差があり、東京23区では7万円です。申請期限は葬祭を行った日の翌日から2年で、申請しなければ支給されません。

必要なのは、資格を確認できる書類、申請者宛ての領収書の原本、振込口座、本人確認書類です。勤務先の健康保険から埋葬料が出る場合や、業務上の死亡で労災の対象になる場合は葬祭費の対象外になります。金額と必要書類はお住まいの自治体で必ず確認してください。個別の事情で判断に迷う場合は、窓口や弁護士に相談しながら進めることをおすすめします。