葬祭費の申請|東京23区は7万円、期限は2年
申請しないともらえません。国民健康保険と後期高齢者医療の加入者が対象です
国民健康保険や後期高齢者医療制度に加入していた方が亡くなったとき、葬祭を行った人に給付があります。
これを葬祭費といいます。東京23区では7万円です。
ただし、申請しないともらえません。期限は2年です。
まず、どの保険に入っていたかを確かめる
給付の種類は、故人が加入していた医療保険で決まります。
| 加入していた保険 | 給付の名前 | 申請先 |
|---|---|---|
| 国民健康保険 | 葬祭費 | 市区町村 |
| 後期高齢者医療制度 | 葬祭費 | 広域連合または市区町村 |
| 健康保険(協会けんぽ・健保組合) | 埋葬料 | 協会けんぽ支部・健保組合 |
| 仕事中・通勤中の死亡 | 労災の葬祭料 | 労働基準監督署 |
健康保険証に保険者の名称が書かれています。返却する前に、記号番号と保険者名を控えておいてください。
75歳以上の方は、原則として後期高齢者医療制度に加入しています。
金額は自治体で変わります
葬祭費の額は、各市区町村や後期高齢者医療広域連合の条例で定められます。そのため、地域によって違います。
| 例 | 金額 |
|---|---|
| 東京23区(国民健康保険) | 7万円 |
| 東京23区(後期高齢者医療) | 7万円 |
他の自治体では3万円から5万円という例もあります。住んでいる自治体の窓口で確かめてください。
なお、葬儀の規模や実際にかかった費用とは関係なく、定額で支給されるのが基本です。直葬であっても、要件を満たせば同じ額が支給されます。
誰が受け取れるのか
対象になるのは、葬祭を行った人です。喪主を務めた方が該当することが多くなります。
故人の相続人であるかどうかは、直接の要件ではありません。実際に葬祭を行ったかどうかで判断されます。
そのため、申請の際には「葬祭を行ったこと」を示す書類が求められます。
申請の手順
窓口は、国民健康保険なら故人の住所地の市区町村、後期高齢者医療なら広域連合または市区町村です。
領収書の宛名が申請者になっているかを確かめてください。宛名が違うと、追加の説明を求められることがあります。
死亡診断書のコピーは、他の手続きでも繰り返し使います。原本は死亡届として提出するため、提出前に5枚から10枚は取っておいてください。
時効は2年です
根拠となる考え方 — 時効
国民健康保険の給付を受ける権利は、2年を経過したときに時効によって消滅するとされています。
起算日は、葬祭を行った日の翌日とする自治体が一般的です。
後期高齢者医療制度の葬祭費についても、同様に2年とされています。
なお、健康保険の埋葬料についても、保険給付を受ける権利は2年で時効消滅すると定められています(健康保険法193条1項)。
葬儀の直後は他の手続きに追われるため、後回しにされやすい申請です。
四十九日の前後を目安に、まとめて手続きを進めるとよいでしょう。
葬祭費と埋葬料は、両方はもらえません
故人が加入していた保険は1つです。したがって、葬祭費と埋葬料のどちらか一方になります。
ただし、判断に迷う場面があります。
退職直後に亡くなった場合です。健康保険の資格を失ってから国民健康保険に切り替えた直後、というケースです。
この場合、健康保険の資格喪失後3か月以内の死亡であれば、埋葬料が支給される取扱いがあります。
金額が異なるため、どちらで申請するのが有利かを確かめてください。両方の窓口に事情を伝えて聞くのが確実です。
他の手続きとまとめて進める
葬祭費の申請は、他の手続きと同じ窓口でできることが多くあります。
| 手続き | 期限の目安 |
|---|---|
| 国民健康保険の資格喪失届・保険証の返却 | 14日以内 |
| 後期高齢者医療の資格喪失届 | 14日以内 |
| 介護保険の資格喪失届・被保険者証の返却 | 14日以内 |
| 世帯主変更届 | 14日以内(不要な場合もあります) |
| 葬祭費の申請 | 2年以内 |
窓口に行く際は、死亡診断書のコピー、故人の健康保険証・介護保険証、届出人の本人確認書類をまとめて持参してください。
高額療養費もあわせて確かめる
亡くなる前の医療費が高額だった場合、高額療養費の払い戻しを受けられることがあります。
死亡後でも、相続人が申請できます。こちらも時効は2年です。
葬祭費の窓口と同じ市区町村で手続きできることが多いため、あわせて確かめてください。
入院していた期間の医療費については、準確定申告での医療費控除の対象になることもあります。領収書は保管しておいてください。
費用全体の中での位置づけ
葬祭費7万円は、葬儀費用の全体から見れば一部です。ただ、確実にもらえるお金として、資金計画に組み込む価値があります。
調査による葬儀費用の平均額を挙げます。
| 形式 | 平均 |
|---|---|
| 一般葬 | 122.01万円 |
| 家族葬 | 96.39万円 |
| 一日葬 | 74.43万円 |
| 直葬・火葬式 | 49.56万円 |
全体の平均は96.73万円です。この金額にお布施は含まれていません。
実質の持ち出しを出すには、次の順で計算します。
3つ目を忘れると、実際より多く見積もることになります。
支払時期とのずれに注意
葬祭費は、申請してから振り込まれるまで時間がかかります。自治体によりますが、数週間から2か月ほどが目安です。
一方、葬儀費用の支払期日は、葬儀の後1週間から10日ほどに設定されることが多くあります。
つまり、支払いのほうが先に来ます。
葬祭費を当てにして支払いを待つことはできません。いったん立て替える現金が必要です。
手元の資金が足りない場合は、香典、生命保険金、故人の口座からの仮払いで不足を減らせないか確かめてください。凍結された口座からも、金融機関ごとに150万円までは払い戻せます。
葬儀社に支払時期を相談することもできます。取り決めた内容は、メールでも構わないので書面に残してください。
申請書に書くこと
窓口でもらう申請書には、次の内容を書きます。難しいものではありません。
| 記入欄 | 内容 |
|---|---|
| 故人の情報 | 氏名、生年月日、死亡年月日、被保険者番号 |
| 申請者の情報 | 氏名、住所、故人との続柄、電話番号 |
| 葬祭の情報 | 葬祭を行った日、場所 |
| 振込先 | 申請者名義の口座 |
被保険者番号は、健康保険証に書かれています。返却する前に控えておいてください。
振込先は、申請者名義の口座を指定します。故人名義の口座は凍結されているため使えません。
窓口によっては、その場で記入して提出できます。必要書類を持参すれば、1回で済むことが多くあります。
代理人が申請する場合
申請者本人が行けない場合、代理人による申請もできます。
その場合、委任状が必要になるのが一般的です。様式は自治体によって異なるため、事前に確かめてください。
代理人の本人確認書類も求められます。
なお、振込先は原則として申請者本人の口座です。代理人の口座に振り込んでもらう場合は、別の手続きが必要になることがあります。
高齢の方が喪主を務めた場合など、家族が代わりに手続きすることは珍しくありません。窓口に事情を伝えて、必要な書類を確かめてください。
郵送で申請できる場合もあります
自治体によっては、郵送での申請を受け付けています。
遠方に住んでいる、平日に窓口へ行けない。そうした事情がある場合は、まず電話で確かめてください。
郵送の場合、書類の不備があると往復に時間がかかります。何が必要かを事前に確かめ、コピーを取ってから送るようにしてください。
期限は2年ありますが、手続きは早いほうが確実です。時間が経つと、必要書類をそろえるのが難しくなります。
相談できる窓口
制度が分からない、自分が対象になるか判断できない。そうしたときの相談先です。
| 相談先 | 内容 | 費用 |
|---|---|---|
| 市区町村の国民健康保険担当 | 葬祭費の要件、金額、必要書類 | 無料 |
| 後期高齢者医療広域連合 | 75歳以上の方の葬祭費 | 無料 |
| 協会けんぽ・健保組合 | 埋葬料の要件、金額 | 無料 |
| 年金事務所 | 遺族年金、未支給年金 | 無料 |
いずれも無料で相談できます。「これは対象になりますか」と電話で聞くだけでも構いません。
判断に迷いやすいのは、退職直後に亡くなった場合と、複数の保険に関わる場合です。この場合は、両方の窓口に事情を伝えて確かめてください。
なお、葬祭費のほかにも、期限のある手続きが複数あります。まとめて確認しておくと、取りこぼしを防げます。
期限のある手続きを一覧で押さえる
葬祭費の2年は、比較的余裕のある期限です。ただし、もっと短いものが多くあります。
| 手続き | 期限 |
|---|---|
| 死亡届 | 7日以内 |
| 年金の受給停止 | 厚生年金10日/国民年金14日 |
| 健康保険・介護保険の資格喪失 | 14日以内 |
| 世帯主変更届 | 14日以内 |
| 相続放棄・限定承認 | 3か月以内 |
| 準確定申告 | 4か月以内 |
| 相続税の申告・納付 | 10か月以内 |
| 葬祭費・埋葬料 | 2年以内 |
| 高額療養費 | 2年以内 |
短いものから片づけるのが基本です。葬祭費は後回しでも間に合いますが、忘れやすいのが難点です。
四十九日の前後にまとめて処理する、と決めておくと取りこぼしません。
とくに注意したいのは、3か月の相続放棄です。故人に借金がある可能性があるなら、この判断を先にしてください。期限を過ぎると、後から変えられません。
領収書はまとめて保管を
葬祭費の申請だけでなく、相続税の申告でも領収書を使います。
葬式費用は遺産の総額から差し引けますが、差し引ける費目とそうでない費目が分かれます。総額だけの領収書では区別できません。
明細つきの領収書を、一か所にまとめて保管してください。スマホで撮影しておくと、紛失に備えられます。
