埋葬料・埋葬費の申請方法|協会けんぽの5万円給付
定額5万円の埋葬料と、上限5万円の実費である埋葬費。要件も起算日も異なる
会社員などが加入する健康保険では、加入者本人や被扶養者が亡くなったときに埋葬料が支給されます。協会けんぽ(全国健康保険協会)の場合は5万円です。似た名前の「埋葬費」は、埋葬料を受け取れる人がいない場合に、実際に埋葬を行った人へ実費(上限5万円)を支給するもので、要件も申請期限の起算日も異なります。どちらも時効は2年で、申請しなければ支給されません。
埋葬料と埋葬費の違い
根拠は健康保険法100条と105条で、金額は健康保険法施行令で定められています。協会けんぽの案内では、次のように整理されています。
埋葬料は、被保険者が亡くなったとき、その被保険者によって生計を維持されていた方で埋葬を行う方に、申請により5万円が支給されます。「生計を維持されていた」といえるかどうかが要件で、被扶養者であることまでは求められません。同居していなくても、仕送りなどで生計の一部を維持されていた場合は対象になり得ます。
埋葬費は、埋葬料を受けられる方がいない場合に、実際に埋葬を行った方へ、埋葬に要した費用が上限5万円の範囲で支給されるものです。定額給付ではなく実費精算であるため、領収書の提出が必要になります。協会けんぽの説明によれば、対象となるのは霊柩車代、霊柩運搬代、霊前供物代、火葬料、僧侶の謝礼などの実費です。
家族埋葬料は、被扶養者が亡くなったときに、被保険者へ5万円が支給されるものです。
つまり、5万円が定額で出るのが埋葬料・家族埋葬料、実費精算で上限5万円なのが埋葬費、という関係です。実際にかかった費用が5万円に満たない場合、埋葬費では満額を受け取れませんが、埋葬料であれば5万円が支給されます。どちらに当たるかは、生計を維持されていた方がいるかどうかで決まり、こちらで選べるものではありません。
申請期限は2年、起算日に注意
健康保険の保険給付を受ける権利は、健康保険法193条により2年で時効にかかります。重要なのは、埋葬料と埋葬費で起算日が違うことです。協会けんぽの支給申請書の案内では、埋葬料・家族埋葬料は死亡年月日の翌日、埋葬費は埋葬年月日の翌日が起算日とされています。
火葬待ちで埋葬の時期が遅れた場合、埋葬費のほうが期限に余裕が出ることになりますが、いずれにしても2年は長いようで過ぎやすい期間です。相続の手続きが長引いているうちに時効になってしまったという相談は珍しくありません。葬儀が終わって落ち着いたら、早めに申請しておくことをおすすめします。期限のある手続き全般は葬儀後の手続き一覧で整理しています。
退職後に亡くなった場合
会社を辞めた後に亡くなった場合でも、一定の要件を満たせば埋葬料(費)の対象になります。協会けんぽの案内では、次の場合が挙げられています。
- 被保険者だった方が資格喪失後3か月以内に亡くなったとき
- 傷病手当金または出産手当金の資格喪失後の継続給付を受けている期間に亡くなったとき
- その継続給付を受けなくなった日後3か月以内に亡くなったとき
資格喪失前の被保険者期間の長さは問われません。一方、被扶養者だった方が資格喪失後に亡くなった場合の家族埋葬料は支給対象外とされています。
退職後3か月以内に亡くなったケースでは、故人が国民健康保険に加入していても、勤務先の健康保険から埋葬料が支給されるときは国民健康保険の葬祭費は支給されない扱いになるのが一般的です。両方を受け取れるわけではないため、どちらの制度から給付を受けるのかを確認してください。葬祭費については葬祭費の申請方法と支給額をご覧ください。
申請の手順と必要書類
申請は、健康保険埋葬料(費)支給申請書を協会けんぽの各都道府県支部へ提出して行います。健康保険組合に加入していた場合は、その組合が窓口です。
事業主の証明(死亡した事実と死亡年月日)が申請書にある場合は、それだけで足りることがあります。証明が得られない場合は、埋葬許可証または火葬許可証の写し、死亡診断書の写し、市区町村が発行する死亡の事実がわかる書類などを添付します。埋葬費を請求する場合は、これに加えて埋葬に要した費用の領収書と、その明細がわかる書類が必要です。
領収書は原本の提出を求められることがあり、市区町村の葬祭費や相続税の申告でも同じ書類が必要になります。葬儀社に依頼して、あらかじめ複数枚の領収書または明細付きの写しを用意してもらうと、手続きが重なっても困りません。必要書類の詳細は加入していた保険者に確認してください。
なお、埋葬費を請求する場合は「実際に埋葬に要した費用」の証明が必要になるため、葬儀社の請求書の中でも、埋葬に関係する項目が分かる明細があると手続きが進めやすくなります。総額だけが書かれた「葬儀一式」の領収書では、どの部分が埋葬費用なのかを説明しづらいことがあります。領収書を受け取る段階で、明細の付いたものを求めておくとよいでしょう。この点は請求内容そのものを確認する機会にもなります。
業務上の死亡は労災の対象
業務上の事由や通勤による死亡の場合は、健康保険の埋葬料ではなく労災保険の葬祭料(葬祭給付)が支給されます。厚生労働省の案内によれば、315,000円に給付基礎日額の30日分を加えた額が支給され、その額が給付基礎日額の60日分に満たない場合は給付基礎日額の60日分が支給されます。請求先は所轄の労働基準監督署長です。
どちらの制度に当たるかの判断が難しい場合や、勤務先が死亡の事実の証明に協力しない場合は、支部の窓口や労働基準監督署に相談したうえで、必要に応じて弁護士に確認を求めることができます。
まとめ
協会けんぽの埋葬料は5万円で、被保険者に生計を維持されていた方で埋葬を行う方が対象です。該当者がいない場合は、実際に埋葬を行った方へ上限5万円の埋葬費が実費で支給されます。被扶養者が亡くなった場合は被保険者に家族埋葬料5万円です。
時効は2年で、埋葬料は死亡年月日の翌日、埋葬費は埋葬年月日の翌日が起算日です。退職後3か月以内の死亡なども対象になり得ます。なお、この給付は葬儀社への請求額が妥当かどうかとは無関係です。請求内容に疑問がある場合は、葬儀の見積書チェックポイントを参考に見積書と請求書を並べて確認し、必要に応じて弁護士や消費生活センターに相談してください。
