世帯主変更届は14日以内|必要な場合と不要な場合

期限は14日。ただし、残った世帯員が1人なら届出は要りません

世帯主変更届は14日以内|必要な場合と不要な場合

世帯主が亡くなった場合、新しい世帯主を定めて市区町村に届け出る必要があります。期限は14日以内です。

ただし、すべての場合に必要なわけではありません。

残った世帯員が1人だけなら、届出は不要とされています。新しい世帯主が誰かは明らかだからです。

まず、自分の世帯が該当するかを確認してください。不要なのに窓口へ行くのは、時間の無駄になります。

世帯主変更届は14日以内の全体像。判断が分かれる点を一枚で示す
世帯主変更届は14日以内の全体像。判断が分かれる点を一枚で示す(作図: 弁護士による葬儀ガード)

届出が不要になる場合

次のような場合は、新しい世帯主が客観的に明らかです。ですから、届出は不要とされています。

世帯の状況届出
残された世帯員が1人だけ不要
15歳未満の子と、その親権者である母(または父)だけ不要
残された世帯員が2人以上で、誰が世帯主になるか一義的に決まらない必要

たとえば、夫が亡くなり、妻だけが残った場合。世帯主は妻になるほかありませんから、届出は要りません。

一方、配偶者と成人した子が残るケース。この場合は、どちらが世帯主になるかを届け出る必要があります。

判断に迷う場合は、市区町村の窓口に世帯の構成を伝えて確認してください。電話でも確認できます。

届出の要否は、世帯の状況によって決まります。役所は同じ質問を毎日受けていますので、遠慮は要りません。

根拠となる条文 — 住民基本台帳法25条

世帯主に変更があった者は、変更があった日から14日以内に、その旨を市町村長に届け出なければなりません(住民基本台帳法25条)。

正当な理由がなくこの届出をしない者は、5万円以下の過料に処せられます(同法52条2項)。

なお、転居や転出入の届出についても、それぞれ14日以内という期限が定められています(同法22条から24条まで)。

届出人と必要書類

届け出るのは、新しく世帯主になる方、または同じ世帯の世帯員です。

代理人による届出もできます。その場合は委任状が必要です。

窓口に持参するものは、おおむね次のとおりです。

届出先は、住民登録のある市区町村です。

死亡届を提出した際に、あわせて案内されることが多い手続きです。案内がなかった場合も、こちらから聞いてください。

過料の定めがありますが、実務上ただちに科されることは多くありません。とはいえ、期限内に済ませておくべき手続きです。

14日以内の手続きを、まとめて済ませる

死亡後14日以内という期限がついている手続きは、世帯主変更届のほかにもあります。

同じ窓口で処理できるものが多いため、まとめて行うと効率的です。

手続き期限窓口
世帯主変更届14日以内市区町村
国民健康保険の資格喪失届、保険証の返却14日以内市区町村
後期高齢者医療の資格喪失届14日以内市区町村
介護保険の資格喪失届、被保険者証の返却14日以内市区町村
年金受給権者死亡届(厚生年金)10日以内年金事務所
年金受給権者死亡届(国民年金)14日以内市区町村

窓口へ行く際は、次のものをまとめて持参してください。複数の手続きを一度に進められます。

  • 死亡診断書のコピー
  • 故人の健康保険証・介護保険証
  • 年金手帳や年金証書
  • 届出人の本人確認書類とマイナンバーが分かるもの
  • 印鑑
  • 振込先の口座情報(葬祭費の申請などに使います)

葬祭費や埋葬料の申請も、同じ庁舎でできることが多くあります。ただし葬儀の領収書が必要になりますので、葬儀後になります。

期限は2年ありますので、慌てなくて大丈夫です。ただし、申請しないともらえません。

このほか、高額療養費が未請求のまま残っていることがあります。亡くなる直前に入院していた場合は、あわせて照会してください。

図で整理: 変更後に影響するもの
図で整理: 変更後に影響するもの(作図: 弁護士による葬儀ガード)

世帯主が変わると影響するもの

世帯主が変わると、次のものに影響が及びます。

影響するもの内容
国民健康保険料の納付義務者世帯主が納付義務を負います
各種行政通知の宛名新しい世帯主宛てになります
児童手当などの受給者手続きが必要な場合があります

注意していただきたいのは、この届出の効果の範囲です。

世帯主変更届は、住民票上の世帯主を変更する手続きにすぎません。

電気・ガス・水道や通信契約の名義まで、自動で変わるわけではありません。それぞれの事業者への連絡が、別に必要になります。

名義変更や解約が必要なものを、リストにして順に進めてください。期限はありませんので、落ち着いてからで構いません。

相続とは関係のない手続きです

ここは、誤解されやすいところです。

世帯主変更届は、住民基本台帳上の手続きです。相続とは直接の関係がありません。

世帯主になったからといって、次のことは起きません。

  • 相続分が増える
  • 葬儀費用の負担者になる
  • 故人の債務を引き継ぐ

葬儀費用を誰が負担するかについては、法律に明文の定めがありません。裁判例の判断も分かれています。

葬儀社に対して支払義務を負うのは、契約書に署名した人です。世帯主かどうかは関係ありません。

同じように、相続の問題も別に考えてください。相続放棄を検討している場合、世帯主変更届を出したことが不利に働くことはありません。

根拠となる条文 — 相続とは別の手続きです

住民基本台帳は、市町村において、住民の居住関係の公証、選挙人名簿の登録その他の住民に関する事務の処理の基礎とするために作成されるものです(住民基本台帳法1条、5条)。

一方、相続は、被相続人の死亡によって開始し(民法882条)、相続人は相続開始の時から被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継します(同法896条)。

住民票上の世帯主であることと、相続人としての地位や相続分とは、まったく別の問題です。

期限を過ぎてしまったら

14日を過ぎてしまった場合も、届出を受け付けてもらえます。

過料の定めはありますが、実務上ただちに科されることは多くありません。気づいた時点で、速やかに届け出てください。

葬儀の直後は、やることが多く、忘れがちな手続きです。責める必要はありません。

窓口では、遅れた理由を聞かれることがあります。「葬儀の対応で遅れました」と伝えれば足ります。

なお、届出が遅れると、国民健康保険料の納付通知などが故人宛てのまま届き続けることがあります。手続きが済めば解消します。

世帯主変更届は14日以内 — 支払う前・動く前に確認しておきたい項目
世帯主変更届は14日以内 — 支払う前・動く前に確認しておきたい項目(作図: 弁護士による葬儀ガード)

名義変更が必要なものの一覧

世帯主変更届とは別に、それぞれ手続きが必要なものを挙げておきます。抜けやすいところです。

急がなくてよいが、忘れると困るもの

対象連絡先
電気・ガス・水道各事業者
固定電話・携帯電話通信事業者
インターネット回線プロバイダ
NHK受信料NHK
新聞・定期購読販売店

放置すると課金が続くもの

対象見つけ方
クレジットカード明細を数か月分さかのぼる
サブスクリプション通帳の定額引き落とし、スマホのアプリ
会員サービス郵便物、メールの受信箱
有料アプリスマホの購読一覧

期限があるもの

不動産の相続登記は、令和6年4月から義務化されました。所有権の取得を知った日から3年以内が原則です。

自動車の名義変更にも手続きが必要です。売却や廃車を予定している場合も、まず名義を変える必要があります。

これらを一度に進めようとすると疲れます。1日1件でも構いません。リストを作って、済んだものから消していってください。

故人のスマホやパソコンは、しばらく解約せずに残しておくことをおすすめします。契約の手がかりが残っていることが多いためです。

葬儀費用の精算も、あわせて整理する

役所の手続きが一段落したら、費用の整理に移ります。

まず、実際の持ち出し額を出してください。支払った総額から、次の3つを引きます。

引くもの内容
香典喪主に渡された贈り物。遺産には入りません
葬祭費国民健康保険・後期高齢者医療。東京23区は7万円
埋葬料健康保険。5万円

この金額が、家族で分ける対象になります。総額のまま話し合うと、実態と合わない前提で進んでしまいます。

そして、誰が何をいくら払ったかを書き出してください。領収書とあわせて残しておきます。

葬儀社への支払い、お布施、心づけ、火葬料、料理、返礼品。項目ごとに分けておくと、相続税の申告でも使えます。

相続税では、火葬・搬送・通夜の費用やお布施は差し引けます。一方、香典返しや初七日などの法要の費用は差し引けません。総額だけの領収書では、この区別ができません。

分け方を決めたら、書面に残してください。メールでも構いません。口約束は、時間が経つと必ず食い違います。

まとめ

世帯主変更届について、覚えておくことは3つです。

  1. 期限は14日。ただし、残った世帯員が1人なら不要です
  2. まとめて済ませる。健康保険・介護保険・年金の手続きと同じ窓口です
  3. 相続とは別。世帯主になっても、相続分や費用負担は変わりません

必要かどうか迷ったら、まず市区町村に電話してください。世帯の構成を伝えれば、その場で答えが返ってきます。

名義変更が必要な契約は、この届出とは別に手続きが要ります。リストにして、落ち着いてから順に進めてください。