デジタル遺品とサブスクの解約|放置すると課金が続く仕組み
死亡では契約は終わらない。カードを止める前に、各サービスの解約を先に済ませる
故人が契約していた動画配信や音楽配信、クラウドストレージなどのサブスクリプションは、亡くなったことで自動的に終了するわけではありません。契約上の地位は相続人に承継されるのが原則で、解約の手続をとるまで課金が続きます。金額は小さくても、契約数が多いと積み上がります。まず、カードの利用明細や銀行口座の引落し履歴から、どのような契約があるかを洗い出してください。
死亡で契約は終わらない
賃貸借や各種のサービス契約は、死亡によって当然に終了するものではなく、相続人がその地位を承継します。したがって、解約の意思表示をしない限り、利用の有無にかかわらず料金が発生し続けます。
一方、契約の中には、利用者の死亡を終了事由とする定めを置いているものもあります。約款の内容によって扱いが分かれるため、個別に確認する必要があります。
いずれにせよ、放置してよいものではありません。相続人が承継した債務として、未払分の請求を受ける可能性があります。
契約を洗い出す方法
故人がどのようなサービスを契約していたかは、次の手がかりから調べられます。
- クレジットカードの利用明細(毎月定額の引落しが手がかりになります)
- 銀行口座の引落し履歴
- スマートフォンにインストールされているアプリ
- メールの受信箱(利用明細や更新通知が届いています)
- キャリア決済の明細
とくに有効なのがカードの利用明細です。定額のサービスは同じ金額が毎月計上されるため、一覧にすると把握しやすくなります。
なお、故人のスマートフォンやパソコンのロックを解除できない場合、内容を確認できないことがあります。この場合は、明細からの推測に頼ることになります。
カードや口座を止める前に確認する
順序として注意したいのが、クレジットカードや銀行口座を先に止めてしまうことです。
決済手段を止めると、サービス側からは支払いの滞納として扱われます。契約自体は残ったままなので、未払金が積み上がり、後から一括で請求されることがあります。
先に各サービスの解約を済ませ、そのうえでカードの解約や口座の手続に進むのが順序として安全です。口座凍結の手続は凍結された預金口座の解除手続きにまとめました。
解約手続の進め方
サービスごとに手続は異なりますが、おおむね次の流れです。
- サービスの問い合わせ窓口に、契約者が亡くなったことを連絡する
- 求められた書類(死亡診断書の写し、戸籍謄本、相続人の本人確認書類など)を提出する
- 解約日と、未払分・返金の有無を確認する
海外事業者のサービスでは、専用のフォームからの申請になることが多く、日本語での対応がない場合もあります。アカウントの削除と、契約の解約が別の手続になっていることもあるため、課金が止まったかを明細で確認してください。
死亡診断書のコピーは各種手続で繰り返し必要になります。用意の仕方は死亡診断書の受け取り方を参照してください。
相続放棄を検討している場合
相続放棄を予定している場合は、注意が必要です。故人名義のアカウントを操作したり、残高やポイントを使ったり、デジタル資産を移転したりすると、民法921条1号にいう相続財産の処分にあたると評価されるおそれがあります。
一方、解約手続そのものは、財産を処分する行為とは性質が異なりますが、内容によっては判断が分かれます。放棄を検討している段階では、必要最小限の対応にとどめ、判断に迷う行為は避けてください。考え方は相続放棄ができなくなる行為と相続放棄の期限は3か月にまとめています。
暗号資産やネット証券の口座など、財産的価値のあるものは相続財産です。これらは解約ではなく、相続手続の対象として扱うことになります。
生前にできる備え
自分の側で備えるなら、契約の一覧を残しておくのが最も確実です。
- 契約しているサービス名と、月額・年額
- 決済方法(どのカード、どの口座か)
- 連絡先(問い合わせ窓口)
IDとパスワードそのものを書き残すことには、セキュリティ上の問題があります。契約の存在が分かるリストを残しておけば、遺族は各社の窓口から手続を進められます。エンディングノートに記載しておくのも一つの方法です。
まとめ
故人名義のサブスクリプションは、死亡によって自動的に終了せず、解約するまで課金が続きます。まずカードの利用明細や口座の引落し履歴から契約を洗い出してください。
順序として、カードや口座を止める前に各サービスの解約を済ませることが大切です。相続放棄を検討している場合は、アカウントの操作が相続財産の処分と評価されないよう、必要最小限の対応にとどめ、判断に迷う場合は弁護士に確認してください。
