未支給年金の請求方法|請求できる人の順位と期限

相続財産ではない。相続放棄をしても、生計同一の親族なら自己の名で請求できる

年金は死亡した月の分まで支給されますが、後払いのため、必ず受け取っていない分が残ります。これが未支給年金です。国民年金法19条1項は、年金給付の受給権者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき年金給付でまだその者に支給しなかったものがあるときは、その者の配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹その他これらの者以外の三親等内の親族であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものは、自己の名で、その未支給の年金の支給を請求することができると定めています。請求しなければ支給されないため、年金の受給停止手続とあわせて行ってください。

未支給年金が生じる仕組み

公的年金は、偶数月の15日に、その前月までの2か月分が支払われます。たとえば4月15日には2月分と3月分が支払われます。

このため、死亡した時点では必ず未払いの月分が残ります。5月に亡くなった場合、4月分と5月分(死亡月まで)が未支給となります。年金は死亡した月の分まで支給されるという扱いです。

なお、死亡後に振り込まれた年金のうち、死亡月の翌月以降の分は返還が必要です。受給停止の手続が遅れると、過払い分の返還を求められます。手続の期限は年金の受給停止手続きにまとめました。

請求できる人の範囲と順位

請求できるのは、死亡した受給権者と生計を同じくしていた、次の親族です。順位もこのとおりです。

  • 配偶者
  • 父母
  • 祖父母
  • 兄弟姉妹
  • これら以外の三親等内の親族

先順位の人がいる場合、後順位の人は請求できません。同順位の人が複数いる場合は、そのうち1人がした請求が全員のためにしたものとみなされ、支給も1人に対して行われます。

「生計を同じくしていた」ことが要件のため、同居していない場合は、仕送りや定期的な訪問など、生計同一を示す事情を説明する必要があります。別世帯であれば、生計同一関係に関する申立書を求められることがあります。

未支給年金は相続財産ではない

重要な点として、未支給年金は相続財産ではありません。国民年金法19条は、遺族が「自己の名で」請求できると定めており、相続によって承継されるものではないと理解されています。

このため、次のことが言えます。

  • 相続放棄をしても、要件を満たせば未支給年金を請求できます
  • 遺産分割の対象にはなりません
  • 受け取った未支給年金は、税務上、受け取った人の一時所得として扱われます

相続放棄を検討している場合、この点は判断材料になります。ただし、故人の預金から引き出す行為とは性質が異なるため、混同しないよう注意してください。境界の考え方は相続放棄ができなくなる行為にまとめています。

請求手続と必要書類

請求先は、年金事務所または年金相談センターです。国民年金のみを受給していた場合は、市区町村の窓口でも受け付けています。

「未支給【年金・保険給付】請求書」を提出し、次の書類を添えます。

  • 亡くなった方の年金証書
  • 死亡の事実を明らかにできる書類(死亡診断書の写しなど)
  • 亡くなった方と請求者の続柄が確認できる書類(戸籍謄本など)
  • 亡くなった方と請求者が生計を同じくしていたことが分かる書類(住民票など)
  • 請求者の受取口座が分かるもの

死亡診断書のコピーは各種手続で繰り返し必要になります。用意の仕方は死亡診断書の受け取り方を参照してください。

なお、受給権者死亡届(報告書)と同時に提出するのが一般的です。日本年金機構にマイナンバーが収録されている場合は、死亡届の提出が省略できることがあります。

時効

未支給年金の請求権には5年の時効があります。年金給付を受ける権利は、5年を経過したときに時効によって消滅するとされています。

実際には、受給停止の手続と同時に請求することがほとんどのため、時効が問題になる場面は多くありません。ただし、手続が漏れていたことに後から気づいた場合は、5年を過ぎていないかを確認してください。

遺族年金との関係

未支給年金と遺族年金は別の制度です。未支給年金は、亡くなった方が受け取るはずだった分を遺族が請求するもの、遺族年金は、遺族自身の生活保障として支給されるものです。

両方の要件を満たす場合は、それぞれ請求できます。遺族年金の要件は遺族年金の受給要件と手続きに、遺族基礎年金を受けられない場合の制度は国民年金の死亡一時金にまとめました。

まとめ

未支給年金は、国民年金法19条により、生計を同じくしていた三親等内の親族が自己の名で請求できます。相続財産ではないため、相続放棄をしていても請求できます。

請求先は年金事務所等で、受給権者死亡届と同時に提出するのが一般的です。時効は5年ですが、受給停止の手続とあわせて早めに済ませてください。遺族年金や死亡一時金の要件も、同じ機会に確認しておくと漏れがありません。