国民年金の死亡一時金|支給額・要件と寡婦年金との選択

遺族基礎年金を受けられない場合の制度。時効は2年と短く、寡婦年金とは選択になる

国民年金の第1号被保険者として保険料を納めていた方が亡くなり、遺族基礎年金を受けられる遺族がいない場合に支給されるのが死亡一時金です。国民年金法52条の2以下に定められた制度で、保険料を納めた月数に応じて12万円から32万円が一度だけ支給されます。請求期限は2年と短く、他の年金手続より先に時効が来ます。寡婦年金の要件も満たす場合は、どちらか一方を選ぶことになります。

支給の要件

死亡一時金が支給されるのは、次の要件を満たす場合です。

  • 亡くなった方が、国民年金の第1号被保険者として保険料を納めた月数(一部免除期間は所定の割合で換算)が合計36月以上あること
  • 老齢基礎年金・障害基礎年金のいずれも受けたことがないこと
  • 遺族基礎年金を受けられる遺族がいないこと

三つ目の要件が重要です。子のある配偶者や子がいて遺族基礎年金が支給される場合、死亡一時金は支給されません。遺族基礎年金の要件は遺族年金の受給要件と手続きにまとめました。

厚生年金の被保険者期間しかない場合は対象外です。自営業やフリーランスとして国民年金に加入していた期間があるかを確認してください。

請求できる遺族の順位

請求できるのは、亡くなった方と生計を同じくしていた次の遺族です。順位もこのとおりです。

  • 配偶者
  • 父母
  • 祖父母
  • 兄弟姉妹

先順位の人がいる場合、後順位の人は請求できません。同順位の人が複数いる場合は、そのうち1人が請求すれば全員のためにしたものとみなされます。

支給額

支給額は、保険料を納めた月数に応じて段階的に定められています。

  • 36月以上180月未満 ── 12万円
  • 180月以上240月未満 ── 14万5,000円
  • 240月以上300月未満 ── 17万円
  • 300月以上360月未満 ── 22万円
  • 360月以上420月未満 ── 27万円
  • 420月以上 ── 32万円

このほか、付加保険料を36月以上納めていた場合は、8,500円が加算されます。

金額は大きくありませんが、葬儀費用の一部には充てられます。他の給付とあわせて確認してください。葬祭費・埋葬料との関係は葬祭費と埋葬料の違いにまとめています。

寡婦年金との選択

寡婦年金は、国民年金の第1号被保険者として一定期間保険料を納めた夫が、老齢基礎年金・障害基礎年金を受けずに亡くなった場合に、婚姻期間が10年以上ある妻へ、60歳から65歳までの間支給される制度です。

死亡一時金と寡婦年金の両方の要件を満たす場合、どちらか一方を選択します。両方を受けることはできません。

判断の目安は、次のとおりです。

  • 妻が60歳を大きく下回っている場合 ── 寡婦年金の受給開始までが長く、まず死亡一時金を選ぶ判断があり得ます
  • 妻が60歳に近い、または60歳を超えている場合 ── 寡婦年金の総額が死亡一時金を上回ることが多くなります

実際の金額は、夫の納付期間と妻の年齢によって変わります。年金事務所で試算してもらったうえで選択してください。一度選択すると変更できないため、請求前の確認が重要です。

請求手続と2年の時効

請求先は、市区町村の窓口、年金事務所、または年金相談センターです。

必要書類は、おおむね次のとおりです。

  • 国民年金死亡一時金請求書
  • 亡くなった方の年金手帳
  • 戸籍謄本(続柄と死亡日が確認できるもの)
  • 世帯全員の住民票の写し、亡くなった方の住民票除票
  • 請求者の受取口座が分かるもの

死亡一時金の請求権は、死亡日の翌日から2年で時効により消滅します。遺族年金や未支給年金の時効が5年であるのに対し、こちらは2年と短い点に注意してください。

未支給年金の請求とあわせて手続すると効率的です。未支給年金の請求方法を参照してください。受給停止の手続も忘れないようにしてください(年金の受給停止手続き)。

相続との関係

死亡一時金は、遺族が自己の権利として受け取るもので、相続財産ではありません。したがって、相続放棄をしていても、要件を満たせば請求できます。

税務上も、死亡一時金は相続税の課税対象とされない扱いです。ただし、他の給付とあわせて全体の課税関係を確認しておくと安心です。

まとめ

死亡一時金は、国民年金の第1号被保険者として36月以上納付した方が亡くなり、遺族基礎年金を受けられる遺族がいない場合に、12万円から32万円が支給される制度です。

請求期限が2年と短いため、他の手続より優先して確認してください。寡婦年金の要件も満たす場合は、金額を試算したうえで選択することになります。判断に迷う場合は、年金事務所で両方の見込額を確認してから決めてください。