準確定申告は4か月以内|必要になる人と還付されるケース

所得税法125条の4か月。義務がなくても還付を受けられることがある

亡くなった方に一定の所得があった場合、その年の1月1日から死亡の日までの所得について、相続人が代わりに確定申告を行います。これを準確定申告といい、所得税法125条は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に申告と納税をしなければならないと定めています。申告が必要かどうかは、生前の所得の状況によります。必要がない場合でも、源泉徴収された所得税が還付されることがあり、その場合は申告することで戻ってきます。

申告が必要になる人

亡くなった方が次のいずれかに該当する場合、準確定申告が必要になるのが一般的です。

  • 事業所得や不動産所得があった
  • 給与所得が2,000万円を超えていた
  • 給与や退職金以外の所得が20万円を超えていた
  • 2か所以上から給与を受けていた
  • 公的年金等の収入が400万円を超えていた
  • 生前に確定申告をしていた

会社員として1か所から給与を受けていただけであれば、勤務先の年末調整に相当する処理が行われ、申告が不要となることもあります。判断に迷う場合は、税務署または税理士に確認してください。

還付されるケース

申告義務がなくても、申告することで所得税が還付される場合があります。

  • 年の途中で亡くなり、源泉徴収された所得税が納めすぎになっている
  • 高額な医療費を支払っており、医療費控除が使える
  • 生命保険料控除、地震保険料控除の適用がある
  • 公的年金から所得税が源泉徴収されていた

とくに多いのが、年の途中で亡くなったことにより、給与や年金から源泉徴収された税額が本来の税額を上回っているケースです。還付申告は5年間可能とされていますが、他の相続手続とあわせて早めに済ませるのが実際的です。

医療費控除の扱い

医療費控除では、対象となる範囲に注意が必要です。控除できるのは、亡くなった日までに実際に支払った医療費です。

死亡後に相続人が支払った入院費などは、亡くなった方の準確定申告では控除できません。ただし、その医療費が生計を一にしていた親族の負担であれば、その親族自身の確定申告で医療費控除の対象になることがあります。

なお、死亡後に支払った医療費は、相続税の計算上、債務控除の対象になり得ます。所得税と相続税で扱いが分かれる点に注意してください。

高額療養費の請求も忘れないようにしてください。死亡後でも相続人が申請できます。詳しくは高額療養費は死亡後も申請できるにまとめました。

申告の方法

準確定申告は、相続人全員が共同で行うのが原則です。申告書には、相続人全員が連署するか、各相続人が別々に申告書を提出することになります。

  • 提出先 ── 亡くなった方の死亡当時の納税地を所轄する税務署
  • 提出書類 ── 確定申告書(準確定申告である旨を記載)、付表(相続人等に関する事項)、各種控除の証明書
  • 期限 ── 相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内

還付金は、各相続人が相続分に応じて受け取るのが原則です。代表者がまとめて受け取る場合は、委任状が必要になります。

他の期限との関係

死亡後の手続には、期限のあるものが複数あります。

  • 死亡届 ── 7日以内(戸籍法86条)
  • 相続放棄・限定承認 ── 3か月以内(民法915条1項)
  • 準確定申告 ── 4か月以内(所得税法125条)
  • 相続税の申告・納付 ── 10か月以内(相続税法27条)

準確定申告は、相続放棄の判断期限の直後に来ます。相続放棄をした場合、その相続人は準確定申告の義務を負いません。放棄を検討しているなら、まず3か月の判断を優先してください。期限の考え方は相続放棄の期限は3か月に、全体の順序は相続手続きのタイムスケジュールにまとめています。

消費税の申告

亡くなった方が消費税の課税事業者だった場合、消費税についても同様に4か月以内の申告が必要です。事業を営んでいた場合は、所得税とあわせて確認してください。

事業を相続人が引き継ぐ場合は、開業届や青色申告承認申請など、別の手続も必要になります。期限が短いものがあるため、事業がある場合は早めに税理士に相談することをお勧めします。

まとめ

準確定申告は、所得税法125条により、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に行う手続です。事業所得や不動産所得があった場合などに必要になります。

申告義務がなくても、源泉徴収された所得税が還付されることがあります。医療費控除は死亡日までに支払った分に限られるなど、扱いが細かく分かれるため、資料をそろえたうえで税務署または税理士に確認してください。相続放棄を検討している場合は、3か月の判断を先に行う必要があります。