遺族年金の受給要件と手続き|遺族基礎年金と遺族厚生年金

2つの制度があり、対象になる遺族が違います。まず、どちらに当てはまるかを見てください

遺族年金の受給要件と手続き|遺族基礎年金と遺族厚生年金

遺族年金は、亡くなった方に生計を維持されていた遺族に支給される年金です。

大きく分けて、2つあります。

制度支給元対象になる遺族
遺族基礎年金国民年金子のある配偶者、または子
遺族厚生年金厚生年金保険配偶者・子・父母・孫・祖父母

どちらを受けられるかは、亡くなった方が加入していた制度と、遺族の続柄・年齢によって決まります。

要件が細かく、自分が該当するかを判断しにくい制度です。年金事務所で確認するのが確実です。

そして、請求しなければ支給されません。ここは他の年金給付と同じです。

遺族年金の受給要件と手続きの全体像。判断が分かれる点を一枚で示す
遺族年金の受給要件と手続きの全体像。判断が分かれる点を一枚で示す(作図: 弁護士による葬儀ガード)

遺族基礎年金

受けられるのは、亡くなった方に生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」です。

ここでいう「子」とは、次のいずれかに該当し、婚姻していない子を指します。

  • 18歳になった年度の3月31日までの間にある子
  • 20歳未満で、障害等級1級または2級の状態にある子

子が要件を外れると、支給は終了します。高校を卒業する年度の末日で終わることが多くなります。

亡くなった方についての要件は、次のとおりです。

  • 国民年金の被保険者であったこと
  • または、老齢基礎年金の受給権者等であったことなど

あわせて、保険料の納付要件を満たしている必要があります。未納が多いと受けられないことがあります。

根拠となる条文 — 遺族基礎年金

遺族基礎年金は、被保険者または被保険者であった者が死亡したときに、その者の配偶者または子に支給されます(国民年金法37条)。

配偶者に支給されるのは、被保険者の死亡の当時その者によって生計を維持し、かつ、37条の2に定める子と生計を同じくしていた場合です。

保険料納付要件として、死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月までの被保険者期間のうち、保険料納付済期間と保険料免除期間を合算した期間が3分の2以上であることが必要です(同法37条ただし書)。

遺族厚生年金

亡くなった方が、次のいずれかに該当する場合に支給されます。

  • 厚生年金保険の被保険者であった
  • 被保険者期間中の傷病がもとで、初診日から5年以内に亡くなった
  • 老齢厚生年金の受給権者であった、など

受けられる遺族の範囲は、遺族基礎年金より広くなっています。

順位遺族
1配偶者、子
2父母
3孫
4祖父母

先順位の人がいる場合、後順位の人は受けられません。

夫、父母、祖父母が受ける場合には、年齢に関する要件があります。

なお、子のない妻については、夫の死亡時の年齢によって支給期間が限られる場合があります。

制度の見直しも行われています。具体的な取扱いは、年金事務所で確認してください。

根拠となる条文 — 遺族厚生年金

遺族厚生年金は、被保険者が死亡したとき、被保険者であった間に初診日がある傷病により初診日から5年以内に死亡したとき、障害等級1級または2級の障害厚生年金の受給権者が死亡したとき、老齢厚生年金の受給権者等が死亡したときに支給されます(厚生年金保険法58条1項)。

遺族厚生年金を受けることができる遺族は、被保険者等の配偶者、子、父母、孫または祖父母であって、被保険者等の死亡の当時その者によって生計を維持したものです(同法59条1項)。

夫、父母または祖父母については、55歳以上であることが要件とされています(同項ただし書)。

生計維持関係の確認

いずれの年金でも、「亡くなった方に生計を維持されていた」ことが要件になります。

実務上は、次の2点で判断されます。

  1. 同一世帯であるかどうか
  2. 遺族自身の収入

収入の基準は、次のとおりです。

基準金額
前年の収入850万円未満
または、前年の所得655万5,000円未満

これを超える場合でも、おおむね5年以内に基準を下回ることが見込まれる事情があれば、認められることがあります。

たとえば、定年退職が近い場合などです。あきらめる前に相談してください。

別居していた場合は、生計維持の関係を示す必要があります。

  • 仕送りの記録(振込の履歴など)
  • 健康保険の被扶養者であったこと
  • 定期的に生活費を負担していたこと

こうした資料を用意してください。第三者による証明を求められることもあります。

図で整理: 請求手続
図で整理: 請求手続(作図: 弁護士による葬儀ガード)

請求手続き

請求先は、受ける年金によって変わります。

受ける年金請求先
遺族基礎年金のみ市区町村の窓口
遺族厚生年金を含む場合年金事務所または年金相談センター

必要になる書類は、おおむね次のとおりです。

書類が多いため、事前に電話で予約し、必要書類を確認してから行ってください。二度手間になりません。

戸籍と住民票は、多めに取っておくと他の手続きでも使えます。

審査には時間がかかります。請求から支給決定まで、2か月から3か月を見ておいてください。その間の生活費は、別に見通しを立てる必要があります。

時効と、他の給付との関係

遺族年金を受ける権利は、5年を経過したときに時効によって消滅します。

ただし、5年を過ぎても、やむを得ない事情がある場合の取扱いが設けられていることがあります。まずは年金事務所に相談してください。

あわせて確認したいのが、次の給付です。

給付内容時効
未支給年金亡くなった方が受け取るはずだった分5年
死亡一時金遺族基礎年金を受けられない場合の一時金2年
寡婦年金一定の要件を満たす妻に60歳から65歳まで5年

死亡一時金の時効は2年と短くなっています。他の給付より先に期限が来ますので、注意してください。

死亡一時金と寡婦年金は、どちらか一方の選択になります。両方を受けることはできません。

どちらが有利かは、納付期間と年齢によって変わります。年金事務所で試算してもらったうえで選択してください。一度選ぶと変更できません。

そして、受給停止の手続きも忘れずに行ってください。止め忘れると、後から返還を求められます。

遺族年金の受給要件と手続き — 支払う前・動く前に確認しておきたい項目
遺族年金の受給要件と手続き — 支払う前・動く前に確認しておきたい項目(作図: 弁護士による葬儀ガード)

いくらもらえるのか

金額の目安を知っておくと、今後の見通しが立てやすくなります。

遺族基礎年金は、定額です。子の人数に応じて加算されます。金額は毎年改定されますので、年金事務所か日本年金機構のウェブサイトで最新の額を確認してください。

遺族厚生年金は、亡くなった方の報酬比例部分の4分の3が基本です。

つまり、故人の給与が高く、加入期間が長いほど、金額も大きくなります。加入期間が短い場合は、300月とみなして計算する取扱いがあります。

このほか、次の加算があります。

加算対象
中高齢寡婦加算一定の要件を満たす妻に、40歳から65歳まで
経過的寡婦加算一定の生年月日の妻に、65歳以降

中高齢寡婦加算は、子のない妻や、子が18歳を超えて遺族基礎年金が終了した妻を支えるための制度です。

正確な金額は、年金事務所で試算してもらえます。請求前に見込額を聞いておくと、生活の見通しが立てやすくなります。

自分が老齢年金を受けられる年齢になったとき、遺族厚生年金との調整が入ることもあります。将来の受給についても、あわせて相談しておいてください。

請求前に確認しておきたいこと

年金事務所へ行く前に、次の点を整理しておくと話が早く進みます。

故人の加入歴。国民年金だけか、厚生年金の期間があるか。年金手帳や年金証書、ねんきん定期便が手がかりになります。

転職が多かった方は、複数の期間が混在していることがあります。年金事務所で加入記録を確認できます。

保険料の納付状況。未納が多いと、保険料納付要件を満たさないことがあります。免除を受けていた期間は、納付済みとして扱われることがあります。

自分の収入。前年の収入が分かる書類(源泉徴収票、確定申告の控え)を用意してください。

世帯の状況。同居していたか、別居ならどのように生計を支えられていたか。説明できるようにしておいてください。

これらを整理したうえで、電話で予約を取ってから窓口へ行ってください。予約なしだと、待ち時間が長くなります。

そして、その場でまとめて聞いてしまうのが効率的です。遺族年金、未支給年金、寡婦年金、死亡一時金、受給停止。すべて同じ窓口で扱います。

制度が複雑だからこそ、専門の窓口を使ってください。自分で判断しようとすると、かえって時間がかかります。

まとめ

遺族年金について、覚えておくことは3つです。

  1. 2つの制度がある。遺族基礎年金は「子のある配偶者」または「子」が対象
  2. 生計維持が要件。収入の基準があり、別居でも認められることがある
  3. 請求しないともらえない。時効は5年です

要件が細かく、自分が該当するか判断しにくい制度です。年金事務所で確認するのがいちばん確実です。

未支給年金や死亡一時金もあわせて確認すると、漏れがありません。とくに死亡一時金は時効が2年と短いので、注意してください。