葬儀の流れ|臨終から通夜・告別式・火葬まで

決めることは4つだけです。そのうち費用が動くのは、後半の2つです

葬儀の流れ|臨終から通夜・告別式・火葬まで

葬儀は、臨終から火葬までおおむね3日から4日かかります。

火葬は死亡後24時間を経過しないと行えません。そのうえ、火葬場の予約状況によっては、さらに日数が延びます。

この間に遺族が決めることは、次の4つに集約されます。

  1. 搬送先
  2. 葬儀の形式と日程
  3. 参列者の範囲
  4. 料理と返礼品の数量

費用が動くのは、このうち後半の2つです。ここを押さえておけば、請求書を見て驚くことはなくなります。

各段階で何をするか、どこで金額が変わるかを、順に整理します。

葬儀の流れの全体像。判断が分かれる点を一枚で示す
葬儀の流れの全体像。判断が分かれる点を一枚で示す(作図: 弁護士による葬儀ガード)

臨終から搬送・安置まで

まず、医師から死亡診断書を受け取ります。

自宅などで亡くなり、医師が異状を認めたときは、警察へ届け出ることになります。検視を経て死体検案書が交付されます。この場合、数日かかることがあります。

受け取ったら、コピーを取ってください。生命保険の請求など、後から何度も必要になります。

次に、搬送先を決めます。自宅に安置できる場合と、葬儀社の安置施設を使う場合があります。

ここで押さえておきたいことがあります。搬送の依頼と葬儀の契約は別です。

病院で紹介された会社に搬送のみを頼み、葬儀社は改めて選べます。断りにくいと感じたら、「親族と相談してから決めます」と伝えれば足ります。

安置中は、施設の使用料とドライアイス代が1日単位で発生するのが通例です。

火葬場の予約が取れずに日数が延びると、その分だけ加算されます。契約前に1日あたりの単価を確認しておくと、後の請求に驚かずに済みます。

根拠となる条文 — 死亡診断書と火葬の制限

診療中の患者が受診後24時間以内に亡くなったときは、医師は改めて診察しなくても死亡診断書を交付できます(医師法20条ただし書)。

医師は、死体を検案して異状があると認めたときは、24時間以内に所轄警察署に届け出なければなりません(医師法21条)。

埋葬または火葬は、死亡または死産後24時間を経過した後でなければ行ってはなりません(墓地、埋葬等に関する法律3条)。

打ち合わせで決めること

葬儀社との打ち合わせでは、次の項目を決めます。

決めること補足
形式一般葬・家族葬・一日葬・直葬のいずれか
日程火葬場と式場の空き状況で決まる
式場公営斎場、民営式場、寺院、自宅など
参列者の範囲と見込み人数料理と返礼品の数量の前提になる
宗教者の手配菩提寺がある場合は自分で連絡する

株式会社鎌倉新書の「第7回 お葬式に関する全国調査」(2026年)による実施割合は、次のとおりです。

形式実施割合平均費用
家族葬47.0%96.39万円
一般葬30.2%122.01万円
一日葬11.9%74.43万円
直葬・火葬式10.8%49.56万円

日程は、遺族の希望だけでは決められません。火葬場の枠が先に決まり、そこから逆算して通夜と告別式の日を決めます。

この段階で見積書を受け取ります。同じ調査によると、総額の平均は96.73万円で、内訳は基本料金72.02万円、飲食費11.67万円、返礼品費13.03万円でした。

飲食費と返礼品費は、参列者数に比例する変動費です。

見積書で単価と数量が分かれて書かれていれば、人数が動いたときの金額の変化を自分で計算できます。「一式」としか書かれていない場合は、明細を求めてください。

死亡届と火葬許可申請

打ち合わせと並行して、死亡届を提出します。期限は、死亡の事実を知った日から7日以内です。

同時に火葬許可申請を行い、火葬許可証の交付を受けます。火葬場は、この許可証を受理した後でなければ火葬を行えません。

葬儀社が代行することが多い手続きですが、届出人として署名するのは遺族です。署名する前に、本籍や続柄の記載を確認してください。

根拠となる条文 — 死亡届と火葬許可

死亡の届出は、届出義務者が死亡の事実を知った日から7日以内にしなければなりません(戸籍法86条1項)。国外で死亡があったときは3か月以内です。

火葬を行おうとする者は、市町村長の許可を受けなければなりません(墓地、埋葬等に関する法律5条1項)。許可を与えるときは、火葬許可証が交付されます(同法8条)。

火葬場の管理者は、火葬許可証を受理した後でなければ、火葬を行ってはなりません(同法14条3項)。

納棺と通夜

納棺は通夜の前に行います。故人を清め、着替えをさせて棺に納める儀式で、遺族が立ち会うのが一般的です。

副葬品として棺に入れられるものには制限があります。

入れられることが多いもの断られることが多いもの
手紙、写真眼鏡、指輪などの金属類
少量の花分厚い書籍
好物のお菓子(少量)缶、瓶、ペットボトル

施設によって扱いが違いますので、事前に確認してください。

通夜は夕方から始まります。読経と焼香ののち、通夜ぶるまいの席を設けます。式そのものは1時間前後、通夜ぶるまいを含めて2時間から3時間ほどです。

図で整理: 告別式・出棺・火葬・収骨
図で整理: 告別式・出棺・火葬・収骨(作図: 弁護士による葬儀ガード)

告別式・出棺・火葬・収骨

翌日の午前中に告別式を行うのが一般的です。

流れは次のようになります。

  1. 読経、弔辞、焼香
  2. 棺に花を入れるお別れの儀
  3. 出棺
  4. 火葬場へ移動
  5. 火葬炉の前で短い読経と焼香
  6. 控室で待つ(1時間から2時間程度)
  7. 収骨し、骨壺に納める

収骨のとき、火葬許可証に火葬執行済の証明印が押されて返却されます。

これが納骨の際に必要な書類になります。骨壺の箱に入っていることが多いので、当日に中を確認してください。

納骨は四十九日や一周忌に行うことが多く、それまで数か月保管することになります。紛失しやすい書類です。

火葬後、式場や別会場に戻って初七日法要と精進落としを行うことがあります。近年は繰り上げて当日に行う形が広く見られます。

葬儀が終わった後に確認すること

式が終わると、数日以内に請求書が届きます。ここで見積書と突き合わせてください。

確認するのは次の4点です。

差額に説明がつかない場合は、支払い前に内訳の説明を求めて構いません。それは正当な要求です。

すでに支払った後でも、検証は可能です。書類は捨てないでください。

そして、納得できない部分があるときも、全額を止めないでください。争いのない分は先に払い、引っかかる項目だけ待ってもらうのが早く片づきます。

その後は行政手続きが続きます。

手続き期限
年金受給権者死亡届(厚生年金)10日以内
年金受給権者死亡届(国民年金)14日以内
世帯主変更届14日以内
相続放棄3か月
準確定申告4か月
相続税の申告10か月
葬祭費・埋葬料の申請2年
葬儀の流れ — 支払う前・動く前に確認しておきたい項目
葬儀の流れ — 支払う前・動く前に確認しておきたい項目(作図: 弁護士による葬儀ガード)

訃報を伝える順番

連絡は、いっぺんにはできません。順番を決めておくと混乱しません。

一般には、次の順で伝えます。

  1. 同居の家族と、近い親族
  2. 菩提寺(あれば。日程を決める前に)
  3. 故人の勤務先、または遺族の勤務先
  4. 遠方の親族
  5. 故人の友人・知人
  6. 町内会や自治会

2番目を先に済ませてください。菩提寺があるのに他の僧侶に頼んでしまうと、納骨の段階で調整が必要になることがあります。

3番目から先は、日程が確定してから連絡します。仮の日程で伝えると、後から変更の連絡をすることになります。

伝える内容は、次の4つです。

  • 誰が、いつ亡くなったか
  • 通夜・告別式の日時と場所
  • 形式(家族葬なら、その旨)
  • 香典・供花を辞退するかどうか

最後の項目を書き忘れる方が多くいます。辞退するなら、はっきり伝えてください。会社には弔電や供花を出す規定があることが多く、伝えないと自動的に手配されます。

連絡の手段は電話でも構いませんが、日時と場所は文字で送っておくほうが確実です。聞き間違いが起きます。

誰が何を担当するかを決める

喪主が一人で全部を抱える必要はありません。役割を分けたほうが、当日は確実に回ります。

分担しておきたいのは、次の4つです。

役割内容
連絡係訃報の連絡、参列者数の取りまとめ
受付香典の受領、芳名帳の管理、記録
会計支払いの管理、領収書とメモの保管
車両移動の手配、遠方の親族の送迎

とくに受付と会計は、後の精算に直結します。

香典は、開封したその場で氏名と金額を控えてください。まとめて置いてしまうと、後から誰のものか分からなくなります。

会計係には、お布施や心づけの記録も頼んでおいてください。日付・相手・金額・名目の4つです。領収書が出ない支払いでも、記録があれば相続税の申告で説明できます。

喪主は、当日は動き回ることになります。メモを取る余裕はありません。記録を人に頼んでおくことが、後でいちばん効いてきます。

決めた分担は、前日までに本人へ伝えておいてください。当日その場で頼むと、抜けが出ます。

まとめ

葬儀の流れについて、覚えておくことは3つです。

  1. 当日は搬送先だけ。葬儀の契約は急がなくてよい
  2. 費用が動くのは後半。参列者の範囲と、料理・返礼品の数量
  3. 単価と数量を押さえる。請求書との差が出ても、自分で説明をつけられる

急いで判断を迫られる場面がありますが、日程は火葬場の空き状況で決まります。見積書を読む時間は確保できます。

内容に疑問が残るときは、支払う前に相談してください。書面が手元にあれば、確認は難しくありません。