葬儀の流れ|臨終から通夜・告別式・火葬まで

臨終から火葬まで、どの段階で何を決めるのか。判断のタイミングを押さえる

葬儀は臨終から火葬まで、おおむね三日から四日かかります。火葬は死亡または死産後24時間を経過した後でなければ行えず(墓地、埋葬等に関する法律3条)、火葬場の予約状況によってはさらに日数が延びるためです。この間に遺族が決めることは、搬送先、葬儀の形式と日程、参列者の範囲、料理と返礼品の数量の四つに集約されます。費用が動くのはこのうち後半の二つです。ここでは各段階で何をするか、どこで金額が変わるかを時系列に沿って整理します。

臨終から搬送・安置まで

医師から死亡診断書を受け取ります。診療中の患者が受診後24時間以内に亡くなった場合、医師は改めて診察しなくても死亡診断書を交付できます(医師法20条ただし書)。自宅などで亡くなり医師が検案して異状を認めたときは、24時間以内に所轄警察署へ届け出る義務があり(医師法21条)、検視を経て死体検案書が交付されます。

次に搬送先を決めます。自宅に安置できる場合と、葬儀社の安置施設を使う場合があります。ここで押さえておきたいのは、搬送の依頼と葬儀の契約は別であることです。病院で紹介された会社に搬送のみを頼み、葬儀社は改めて選ぶことができます。詳しくは病院で紹介された葬儀社の断り方|今すぐ確認すべき手順を参照してください。

安置中は、安置施設の使用料とドライアイス代が一日単位で発生するのが通例です。火葬場の予約が取れずに日数が延びると、その分だけ加算されます。契約前に一日あたりの単価を確認しておくと、後の請求に驚かずに済みます。

打ち合わせで決めること

葬儀社との打ち合わせでは、次の項目を決めます。

  • 形式。 一般葬、家族葬、一日葬、直葬のいずれか。鎌倉新書の「第7回 お葬式に関する全国調査」(2026年)による実施割合は、家族葬47.0%、一般葬30.2%、一日葬11.9%、直葬・火葬式10.8%でした。
  • 日程。 火葬場と式場の空き状況で決まります。遺族の希望だけでは決められません。
  • 式場。 公営斎場、民営式場、寺院、自宅など。
  • 参列者の範囲と見込み人数。 料理と返礼品の数量の前提になります。
  • 祭壇・棺・遺影などのグレード。
  • 宗教者の手配。 菩提寺がある場合は自分で連絡します。

この段階で見積書を受け取ります。同調査は葬儀費用を基本料金(平均72.02万円)、飲食費(同11.67万円)、返礼品費(同13.03万円)に分けており、総額の平均は96.73万円でした。飲食費と返礼品費は参列者数に比例する変動費です。見積書で単価と数量が分かれて書かれていれば、人数が動いたときの金額の変化を自分で計算できます。確認すべき項目は葬儀の見積書チェックポイント|損しないための確認項目にまとめました。

死亡届と火葬許可申請

打ち合わせと並行して、死亡届を提出します。届出義務者が死亡の事実を知った日から7日以内(国外での死亡は3か月以内)が期限です(戸籍法86条1項)。同時に火葬許可申請を行い、火葬許可証の交付を受けます(墓地、埋葬等に関する法律5条1項、8条)。火葬場はこの許可証を受理した後でなければ火葬を行えません(同法14条3項)。

葬儀社が代行することが多い手続きですが、届出人として署名するのは遺族です。手続きの詳細は死亡届は7日以内|提出先・書き方・必要書類を参照してください。

納棺と通夜

納棺は通夜の前に行います。故人を清め、着替えをさせて棺に納める儀式で、遺族が立ち会うのが一般的です。副葬品として棺に入れられるものには制限があり、金属やガラス、厚い書籍などは火葬場から断られることがあります。

通夜は夕方から始まり、読経と焼香ののち、通夜振る舞いの席を設けます。所要時間は式そのものが1時間前後、通夜振る舞いを含めて2時間から3時間ほどです。

当日に金額が動きやすいのはここです。想定より多くの参列者が来ると、料理と返礼品を追加することになります。逆に少なければ余ります。料理の追加が当日どこまで可能か、返礼品を余らせた場合に返品できるかを、発注の段階で確認しておくと調整しやすくなります。

告別式・出棺・火葬・収骨

翌日の午前中に告別式を行うのが一般的です。読経、弔辞、焼香を経て、最後に棺に花を入れるお別れの儀を行い、出棺します。

火葬場では、火葬炉の前で短い読経と焼香を行い、火葬中は控室で待ちます。所要時間は1時間から2時間程度です。終わると収骨を行い、骨壺に納めます。このとき、火葬許可証に火葬執行済の証明印が押されて返却されます。これが納骨の際に必要な書類になりますので、紛失しないよう保管してください。詳しくは火葬許可証とは|取得方法と埋葬許可証との違いで解説しています。

火葬後、式場や別会場に戻って初七日法要と精進落としを行うことがあります。近年は繰り上げて当日に行う形が広く見られます。

葬儀が終わった後に確認すること

式が終わると、数日以内に請求書が届きます。ここで見積書と突き合わせてください。確認するのは次の点です。

  • 見積書になかった項目が追加されていないか
  • 料理と返礼品の数量が実際の参列者数と合っているか
  • 安置料が実際の日数と一致しているか
  • 火葬料や式場使用料の金額が見積りどおりか

差額に説明がつかない場合は、支払い前に内訳の説明を求めて構いません。すでに支払った後でも検証は可能です。対応の手順は葬儀の見積もりと請求が違う|今すぐ確認すべき手順を弁護士が解説にまとめています。

その後は行政手続きが続きます。年金の受給権者死亡届は厚生年金で10日以内(厚生年金保険法98条4項)、国民年金で14日以内(国民年金法105条4項、同法施行規則24条1項)、世帯主変更届は14日以内(住民基本台帳法25条)です。全体像は葬儀後の手続き一覧|期限つきのものを優先順に整理をご覧ください。

まとめ

葬儀の流れは、臨終と搬送、打ち合わせと見積り、死亡届と火葬許可、納棺と通夜、告別式と火葬という順に進みます。金額が動くのは主に打ち合わせでの数量決定と、当日の参列者数の変動です。見積書の単価と数量を押さえておけば、請求書との差が生じても自分で説明をつけられます。急いで判断を迫られる場面がありますが、日程は火葬場の空き状況で決まるため、見積書を読む時間は確保できます。内容に疑問が残る場合は、支払い前に第三者の確認を受ける方法もあります。