火葬許可証とは|取得方法と埋葬許可証との違い

墓地埋葬法5条の許可。火葬後は証印を受け、納骨に必要な書類になる

火葬許可証とは、市町村長が火葬を許可したことを示す書面です。墓地、埋葬等に関する法律(墓埋法)5条1項は、火葬を行おうとする者は市町村長の許可を受けなければならないと定め、8条は許可を与えるときに火葬許可証を交付しなければならないと定めています。火葬場はこの許可証を受理した後でなければ火葬を行えません(同法14条3項)。取得の手続きは死亡届と同時に行うため、遺族が別途動く場面はほとんどありません。ただし火葬後に返却される書類が納骨に必要になる点は、知っておく必要があります。

火葬許可証を取得する流れ

手順は次の通りです。

  • 死亡届を提出する。 死亡診断書または死体検案書と一体の用紙で、死亡の事実を知った日から7日以内に提出します(戸籍法86条1項)。
  • 同じ窓口で火葬許可申請書を出す。 用紙は窓口に用意されています。故人の氏名・本籍・死亡年月日、火葬を行う場所、申請者の情報などを記入します。
  • その場で火葬許可証が交付される。 書類に不備がなければ即日交付されるのが一般的です。

許可を出すのは、死亡の届出を受理した市町村長です(墓埋法5条2項)。したがって、死亡届を出した役所とは別の役所で火葬許可だけを取ることはできません。

実務では、この一連の手続きを葬儀社が代行することが多くなっています。代行手数料が見積書に含まれているかは確認しておくとよいでしょう。手数料の有無自体は違法ではありませんが、金額が示されていない項目は後の食い違いのもとになります。見積書の読み方は葬儀の見積書チェックポイント|損しないための確認項目を参照してください。

火葬には24時間の制限がある

墓埋法3条は、埋葬または火葬は、他の法令に別段の定めがあるものを除き、死亡または死産後24時間を経過した後でなければ行ってはならないと定めています(妊娠7か月に満たない死産を除く)。

この規定に違反した場合、2万円以下の罰金または拘留もしくは科料の対象となります(同法21条1号)。火葬場も許可証なしに火葬を行えば同様に処罰対象です。

そのため、亡くなった当日に火葬を済ませることはできません。安置が必要になり、安置料とドライアイス代が一日単位で発生します。火葬場が混み合う時期には数日待つこともあり、この日数の分だけ費用が加算されます。追加費用が生じる仕組みは葬儀で追加料金が発生する理由|弁護士が仕組みを解説で解説しています。

火葬許可証と埋葬許可証の関係

混乱しやすいのがこの点です。墓埋法上、埋葬・改葬・火葬のそれぞれについて市町村長の許可があり、8条は「埋葬許可証、改葬許可証又は火葬許可証」を交付すると定めています。

ここでいう「埋葬」とは、死体を土中に葬ること、すなわち土葬を指します(墓埋法2条1項)。焼骨を墓に納めることは、条文上は「焼骨の埋蔵」と表現されます。日本ではほとんどが火葬であるため、遺族が受け取るのは火葬許可証です。

火葬が済み収骨が終わると、火葬場の管理者が火葬許可証に火葬執行済の証明印を押し、骨壺とともに返却します。墓埋法14条1項は、墓地の管理者は埋葬許可証・改葬許可証または火葬許可証を受理した後でなければ埋葬や焼骨の埋蔵をさせてはならないと定め、2項は納骨堂の管理者について同様の定めを置いています。

つまり、火葬済の印が押された火葬許可証が、納骨のときに提出する書類になります。これを「埋葬許可証」と呼ぶ運用が広く定着していますが、実体は同じ一枚の書面です。書類の名称が案内文によって違っていても、手元にある火葬済の印が押された紙のことだと理解して差し支えありません。

納骨までの保管が重要

火葬当日に返却された許可証は、骨壺を納めた箱の中に一緒に入れられていることが多く、そのまま自宅に置かれます。納骨は四十九日や一周忌に行うことが多いため、数か月から一年以上、保管することになります。

紛失に気づくのは、納骨の直前に墓地や納骨堂から提出を求められたときです。この段階で慌てないよう、次の点を確認しておいてください。

  • 骨壺の箱の中に許可証が入っているか、火葬当日に確認する
  • 入っていれば、そのまま箱に戻さず、死亡診断書のコピーなどとまとめて保管する
  • 納骨先が決まっているなら、必要書類を早めに問い合わせておく

紛失したときの対応

再交付の可否と手続きは自治体によって異なりますが、一般的には次のような扱いです。

火葬から5年以内であれば、死亡届を提出した市区町村で火葬許可証の再交付を申請できることが多く、5年を超える場合は火葬場で火葬証明書の交付を受けたうえで市区町村に申請する、といった運用が取られています。いずれの場合も、申請者の本人確認書類や故人との関係が分かる書類が必要になります。

保存期間や必要書類は市区町村ごとに定めが異なるため、まずは死亡届を提出した役所の戸籍担当窓口に問い合わせてください。火葬場が民営の場合は、火葬場側にも記録が残っています。

分骨する場合

遺骨を複数の場所に分けて納める場合は、分骨証明書が必要になります。火葬当日に分骨することが決まっているなら、火葬場に申し出れば分骨証明書を発行してもらえます。

すでに納骨した後で分骨する場合は、墓地の管理者に証明を求めることになります。また、すでに納めた遺骨を別の墓地や納骨堂へ移すことは「改葬」にあたり、改葬許可が必要です(墓埋法5条1項、2条3項)。改葬の許可は、遺骨が現に存する地の市町村長が行います(同法5条2項)。

まとめ

火葬許可証は墓埋法5条に基づく市町村長の許可証で、死亡届と同時に申請すれば通常は即日交付されます。火葬後は火葬済の証明印が押されて返却され、これが納骨時に提出する書類となります。数か月保管することになるため、火葬当日に骨壺の箱の中を確認し、紛失しない場所にまとめておいてください。死亡から火葬までの流れ全体は人が亡くなったら最初にする手続き|時系列でやることを整理死亡届は7日以内|提出先・書き方・必要書類にまとめています。