火葬許可証とは|取得方法と埋葬許可証との違い

火葬後に返ってくる紙が、納骨に必要な書類です。数か月保管することになります

火葬許可証とは|取得方法と埋葬許可証との違い

火葬許可証とは、市町村長が火葬を許可したことを示す書面です。

取得の手続きは死亡届と同時に行うため、遺族が別途動く場面はほとんどありません。葬儀社が代行することも多い手続きです。

ただし、ひとつだけ知っておいてほしいことがあります。火葬後に返ってくる書類が、納骨のときに必要になります。

納骨は四十九日や一周忌に行うことが多いため、数か月から一年以上、保管することになります。ここで紛失する方が少なくありません。

火葬許可証とはの全体像。判断が分かれる点を一枚で示す
火葬許可証とはの全体像。判断が分かれる点を一枚で示す(作図: 弁護士による葬儀ガード)

取得までの流れ

手順は3つです。

  1. 死亡届を提出する。死亡診断書または死体検案書と一体の用紙で、死亡の事実を知った日から7日以内に提出します
  2. 同じ窓口で火葬許可申請書を出す。用紙は窓口に用意されています
  3. その場で火葬許可証が交付される。書類に不備がなければ、即日交付されるのが一般的です

火葬許可申請書に記入するのは、故人の氏名・本籍・死亡年月日、火葬を行う場所、申請者の情報などです。

許可を出すのは、死亡の届出を受理した市町村長です。

したがって、死亡届を出した役所とは別の役所で、火葬許可だけを取ることはできません。

実務では、この一連の手続きを葬儀社が代行することが多くなっています。

代行手数料が見積書に含まれているかは確認しておいてください。手数料の有無自体は問題ありませんが、金額が示されていない項目は後の食い違いのもとになります。

根拠となる条文 — 火葬の許可

火葬を行おうとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、市町村長の許可を受けなければなりません(墓地、埋葬等に関する法律5条1項)。

この許可は、死亡もしくは死産の届出を受理し、または死亡の報告を受けた市町村長が行います(同条2項)。

市町村長が許可を与えるときは、埋葬許可証、改葬許可証または火葬許可証を交付しなければなりません(同法8条)。

火葬場の管理者は、火葬許可証を受理した後でなければ、火葬を行ってはなりません(同法14条3項)。

火葬には24時間の制限があります

火葬は、死亡または死産後24時間を経過した後でなければ行えません(妊娠7か月に満たない死産を除きます)。

この規定に違反した場合、罰則の対象になります。火葬場も、許可証なしに火葬を行えば同様です。

つまり、亡くなった当日に火葬を済ませることはできません。

その間、安置が必要になります。安置料とドライアイス代が、1日単位で発生します。

火葬場が混み合う時期には、数日待つこともあります。都市部では1週間近くかかることも珍しくありません。冬場や年末年始は特に混み合います。

この日数の分だけ、費用が加算されます。

根拠となる条文 — 24時間の制限

埋葬または火葬は、他の法令に別段の定めがあるものを除き、死亡または死産後24時間を経過した後でなければ行ってはなりません(墓地、埋葬等に関する法律3条)。ただし、妊娠7か月に満たない死産のときは、この限りではありません。

この規定に違反した者は、2万円以下の罰金または拘留もしくは科料に処せられます(同法21条1号)。

火葬許可証と埋葬許可証の関係

ここが、いちばん混乱しやすいところです。整理しておきましょう。

法律上、埋葬・改葬・火葬のそれぞれについて市町村長の許可があります。そして、それぞれに許可証が交付されます。

ここでいう「埋葬」とは、死体を土中に葬ること、つまり土葬を指します。焼骨をお墓に納めることは、条文上は「焼骨の埋蔵」と表現されます。

日本ではほとんどが火葬ですから、遺族が受け取るのは火葬許可証です。

用語法律上の意味
埋葬死体を土中に葬ること(土葬)
火葬死体を焼くこと
焼骨の埋蔵焼いた骨をお墓に納めること
改葬納めた遺骨を別の場所へ移すこと

火葬が済み、収骨が終わると、火葬場の管理者が火葬許可証に火葬執行済の証明印を押します。そして、骨壺とともに返却されます。

墓地の管理者は、この許可証を受理した後でなければ、焼骨を埋蔵させてはなりません。納骨堂の管理者についても同様です。

つまり、火葬済の印が押された火葬許可証が、納骨のときに提出する書類になります。

これを「埋葬許可証」と呼ぶ運用が広く定着しています。実体は同じ一枚の書面です。

案内文によって名称が違っていても、手元にある火葬済の印が押された紙のことだと理解して差し支えありません。

根拠となる条文 — 納骨に必要な書類

墓地の管理者は、埋葬許可証、改葬許可証または火葬許可証を受理した後でなければ、埋葬または焼骨の埋蔵をさせてはなりません(墓地、埋葬等に関する法律14条1項)。

納骨堂の管理者は、火葬許可証、改葬許可証または分骨証明書を受理した後でなければ、焼骨を収蔵させてはなりません(同条2項)。

この法律で「埋葬」とは、死体を土中に葬ることをいい(同法2条1項)、「改葬」とは、埋葬した死体を他の墳墓に移し、または埋蔵し、もしくは収蔵した焼骨を他の墳墓や納骨堂に移すことをいいます(同条3項)。

図で整理: 納骨までの保管が重要
図で整理: 納骨までの保管が重要(作図: 弁護士による葬儀ガード)

納骨までの保管が、いちばんの落とし穴

火葬当日に返却された許可証は、骨壺を納めた箱の中に一緒に入れられていることが多くあります。そのまま自宅に置かれます。

納骨は四十九日や一周忌に行うことが多いため、数か月から一年以上、保管することになります。

紛失に気づくのは、納骨の直前に墓地や納骨堂から提出を求められたときです。

この段階で慌てないよう、次の3点を確認してください。

  1. 骨壺の箱の中に許可証が入っているか、火葬当日に確認する
  2. 入っていれば、そのまま箱に戻さず、死亡診断書のコピーなどとまとめて保管する
  3. 納骨先が決まっているなら、必要書類を早めに問い合わせておく

保管場所を、家族の誰かに伝えておくことも大切です。喪主だけが知っている状態だと、後で探すことになります。

紛失したときの対応

再交付の可否と手続きは自治体によって違いますが、一般的には次のような扱いです。

火葬からの期間対応
5年以内死亡届を提出した市区町村で再交付を申請できることが多い
5年を超える火葬場で火葬証明書の交付を受けたうえで、市区町村に申請する

いずれの場合も、申請者の本人確認書類と、故人との関係が分かる書類が必要になります。

保存期間や必要書類は市区町村ごとに定めが違います。まずは、死亡届を提出した役所の戸籍担当窓口に問い合わせてください。

火葬場が民営の場合は、火葬場側にも記録が残っています。そちらでも確認できます。

分骨する場合

遺骨を複数の場所に分けて納める場合は、分骨証明書が必要になります。

タイミングによって、手続きが変わります。

いつ分骨するか手続き
火葬当日に決まっている火葬場に申し出れば、分骨証明書を発行してもらえる
すでに納骨した後墓地の管理者に証明を求める

火葬当日に決まっているなら、その場で申し出るのがいちばん簡単です。後からだと、手続きが増えます。

分骨する予定があるなら、骨壺の数も事前に伝えておいてください。当日に用意がないと、間に合いません。

また、すでに納めた遺骨を別の墓地や納骨堂へ移すことは「改葬」にあたり、改葬許可が必要です。

改葬の許可は、遺骨が現にある地の市町村長が行います。移す先の市町村ではありませんので、注意してください。

改葬には、現在の墓地の管理者が発行する「埋蔵証明書」と、移す先の「受入証明書」が必要になるのが通例です。

火葬許可証とは — 支払う前・動く前に確認しておきたい項目
火葬許可証とは — 支払う前・動く前に確認しておきたい項目(作図: 弁護士による葬儀ガード)

火葬場の予約と、日程の決まり方

火葬許可証があっても、火葬場が空いていなければ火葬できません。日程は、実質的に火葬場の予約で決まります。

順序としては、こうなります。

  1. 火葬場の空き状況を確認する(葬儀社が調べます)
  2. 火葬の日時を押さえる
  3. そこから逆算して、通夜と告別式の日程を決める
  4. 式場を押さえる
  5. 親族へ日程を連絡する

通夜の日から決めるのではありません。火葬の枠が先です。ここを理解しておくと、日程が思うように決まらない理由が分かります。

公営の火葬場は、住民が優先されることがあります。また、友引の日は休場とする施設が多く、その前後は混み合います。

年末年始は特に混雑します。年明けの数日は火葬場が動かないため、その後に予約が集中します。

日程が延びる分、安置料が積み上がります。1日あたりの単価を聞いておけば、金額の見通しが立ちます。

遠方の親族に連絡するときは、日程が確定してからにしてください。仮の日程で伝えると、後から変更の連絡をすることになります。

火葬場でのお金の扱い

火葬料の支払い方は、施設によって違います。事前に確認しておいてください。

支払い方よくある形
葬儀社が立て替え、後で請求見積書に「火葬料」として計上される
当日、窓口で直接支払う現金のことが多い
事前に振り込む公営施設に多い

公営の火葬場では、その自治体の住民であれば無料、または数千円から1万円台に設定されていることがあります。住民以外は数万円になる例が珍しくありません。

民営の火葬場では、数万円から十数万円かかることもあります。

見積書に「火葬料込み」と書かれていても、どこの火葬場を前提とした金額かを確認してください。故人の住所と火葬場の所在地が違う場合、料金が変わります。

このほか、待合室の使用料や、収骨のときの骨壺代が別途かかる施設もあります。

火葬場の職員に渡す心づけの慣習がある地域もあります。公営施設では受け取らない方針のところが多くなっています。地域の事情は葬儀社に聞いてください。

渡した現金は、日付・相手・金額・名目をメモに残しておいてください。領収書が出ない支払いでも、記録があれば相続税の申告で説明できます。

まとめ

火葬許可証について、覚えておくことは3つです。

  1. 死亡届と同時に申請する。通常は即日交付されます
  2. 火葬後に返ってくる紙が、納骨に必要。火葬済の印が押されています
  3. 火葬当日に箱の中を確認する。紛失に気づくのは、数か月後です

火葬は死亡後24時間を経過しないと行えません。その間の安置料は、1日単位で加算されます。単価と日数を先に確認してください。

数か月保管することになる書類です。骨壺の箱に入れたままにせず、他の重要書類とまとめておいてください。