互助会が倒産したら掛金はどうなる?
全額は戻りません。保全されているのは前受金の半分です
長年かけて積み立てた掛金。もし互助会が倒産したら、どうなるのか。
全額が戻る仕組みにはなっていません。法律で守られているのは、前受金の半分です。
まず、自分が契約している互助会がどういう位置づけの事業者かを確かめてください。
互助会は許可制です
まず制度の位置づけを確かめます。
根拠となる条文 — 前払式特定取引と保全義務
互助会の契約は「前払式特定取引」にあたります。婚礼や葬儀のサービスを将来提供することを約束し、代金を二か月以上の期間にわたり三回以上に分割して前払いで受け取る取引です。
これを業として営むには、経済産業大臣の許可が必要です(割賦販売法11条)。
許可を受けた事業者は、消費者から受け取った前受金について保全措置を講じる義務を負います。具体的には、前受金の2分の1に相当する額を、供託するか、銀行等との保証契約や信託契約によって保全します。
保全が2分の1にとどまるのは、受け取った掛金の一部を設備投資や運営に充てることを前提とした制度設計だからです。
経済産業省は、許可を受けた事業者の一覧を公表しています。契約前でも、契約中でも確かめられます。
許可を受けていない事業者が同様の勧誘をしている場合は、それ自体が問題になります。
破綻すると、3つのどれかになります
実際に破綻した場合、次のいずれかの経過をたどります。
| 経過 | 内容 | 会員への影響 |
|---|---|---|
| 他社が引き継ぐ | 事業譲渡やスポンサー支援 | 契約がそのまま続くことが多い |
| 保全措置から弁済 | 供託金や保証契約に基づく払戻し | 前受金の2分の1が目安 |
| 破産手続で配当 | 保全でカバーされない分 | 一部にとどまる |
いちばん望ましいのは1つ目です。引受先が現れれば、会員は従来どおりサービスを利用できるのが通常です。
2つ目・3つ目になった場合、戻る金額は限られます。掛金の全額が戻ることは、制度上想定されていません。
通知が届いたらすること
破綻した場合、会員には管財人や引受先から通知が届きます。
払込総額は、通帳やクレジットカードの明細から確かめられます。毎月同額の引落しが並んでいれば、回数と総額を計算できます。
互助会から交付された払込証明があれば、それも添えてください。
引受先が現れた場合の確認事項
他社が契約を引き継ぐ場合、案内が届きます。次の点を確かめてください。
1つ目が重要です。保全されている範囲を超える部分がどう扱われるのかを、書面で確認してください。
2つ目も見落とせません。引受先の営業地域が従前と異なると、いざというときに使えないことがあります。
根拠となる条文 — 約款が変わることがあります
定型約款の変更には要件があります。相手の一般の利益に適合する場合か、契約の目的に反せず、変更の必要性や内容の相当性などに照らして合理的な場合に限られます(民法548条の4)。
変更する場合は、その内容と効力発生時期を周知することが必要です。
引継ぎに伴って規約が変わっているときは、新旧を並べて確認してください。とくに解約条項は、返戻額に直結します。
一般の葬儀社に預けた前払金は別です
ここは混同しやすい点です。制度がまったく違います。
| 契約の形 | 保全の仕組み |
|---|---|
| 互助会(月々の掛金を長期に積立) | 前受金の2分の1を保全 |
| 一般の葬儀社に一括で前払い | 保全の仕組みはありません |
| 生前契約で代金の一部を預けた | 支払形態によります |
一般の葬儀社に一括または数回で前払いした金銭には、保全制度がありません。事業者が破綻すれば、その返還請求権は一般の債権として扱われます。
自分の契約がどちらなのかは、契約書の名称ではなく、支払いの形態で判断します。二か月以上の期間にわたり三回以上に分割して前払いしているなら前払式特定取引にあたる可能性が高く、一括で預けたのであれば通常の前払金です。
破産手続が始まった場合は、債権届出の期限内に手続きをしてください。届出をしなければ配当の対象から外れます。
契約中に確認しておくこと
まだ破綻が起きていない段階でできることがあります。
払込記録は、破綻時の届出でも、解約時の返戻額の計算でも必要になります。通帳の引落し履歴や領収書は、契約が続いている限り保管してください。
契約書と会員証の保管場所を家族に伝えておくことも大切です。加入者本人しか知らないと、いざというときに存在に気づかれません。
使う予定がないなら、解約も選択肢です
破綻リスクを気にするより現実的なのは、利用予定の有無を見極めることです。
転居して施行エリアから離れた。葬儀の形式に対する考え方が変わった。こうした事情があれば、解約して精算するほうが単純です。
解約すると手数料が引かれますが、その額にも上限があります。
根拠となる条文 — 解約手数料の上限
解約に伴う違約金や損害賠償を定めた条項は、その事業者に実際に生じる「平均的な損害」を超える部分が無効になります(消費者契約法9条1項1号)。
最高裁判所平成18年11月27日判決(民集60巻9号3437頁)は、この平均的な損害を、解約の理由や時期で分けた同じ区分ごとに、事業者に生じる損害の平均値と捉えました。
2022年の改正で、消費者から求められたら算定根拠の概要を説明するよう努める義務も加わりました(同条2項)。
まず、払込総額・返戻額・差額の内訳の3つを書面で出してもらってください。
相談できる窓口
破綻の通知が届いた、内容が理解できない、返戻額に納得がいかない。いずれも相談できます。
| 相談先 | 内容 | 費用 |
|---|---|---|
| 消費生活センター | 電話188。手続きの進め方を助言 | 無料 |
| 弁護士 | 届出の内容、返戻額の妥当性 | 事務所による |
破綻時は、同じ立場の会員が多数います。窓口には情報が集まっていることがあるため、まず相談してみる価値があります。
期限のある手続きが含まれるため、通知が届いたらすぐに動いてください。判断に迷っている間に期限が過ぎると、選択肢がなくなります。
契約者が亡くなっている場合
加入者が亡くなった後に破綻の通知が届く、ということもあります。この場合、手続きの主体が変わります。
契約上の立場は相続人が引き継ぎます。届出も相続人が行うことになり、相続人であることを示す戸籍謄本を求められます。
相続人が複数いる場合は、全員の同意や委任状が必要になることがあります。誰が窓口になるかを先に決めておくと、手続きが滞りません。
戻ってきたお金は遺産に含まれます。相続放棄を考えているなら、受け取りは保留してください。遺産に手をつけたと評価され、放棄ができなくなるおそれがあります。
相続放棄の期限は、自分が相続人になったことを知った時から3か月です。判断が固まるまでは、手続きを進めないほうが安全です。
掛金を払い終えている場合
満期まで払い終えた後に破綻する、ということもあります。
払込が完了していても、サービスの提供を受ける前であれば、前受金として保全の対象になります。扱いは払込中の場合と大きく変わりません。
ただし、満期後は解約時の手数料の計算が変わることがあります。規約を確かめてください。
満期の証明や、払込完了を示す書面は保管しておいてください。破綻時の届出でも、解約時の計算でも使います。
加入を検討している段階なら
これから加入する方は、次の点を確かめてから判断してください。
| 確認事項 | なぜ必要か |
|---|---|
| 経済産業大臣の許可 | 保全義務がかかる事業者か |
| 保全措置の方法 | 供託か、保証契約か、信託契約か |
| 施行できる地域 | 転居した場合に使えるか |
| 掛金で賄える範囲 | 施行時に追加でいくら必要か |
| 解約時の返戻条件 | 途中でやめた場合にいくら戻るか |
最後の2つは、加入時にこそ確かめておくべき項目です。やめる段になって初めて知る、という順序は避けてください。
長期にわたる契約なので、途中で事情が変わる可能性は高くなります。「使わなかった場合にどうなるか」まで含めて判断してください。
記録の残し方
破綻はいつ起きるか分かりません。日ごろから、次のものを一か所にまとめておいてください。
契約書、会員規約、会員証、払込を示す書類、引落し口座が分かるもの。加えて、互助会の名称と連絡先を控えておきます。
家族が把握できる場所に置くことが大切です。本人しか知らない契約は、いざというときに使われないまま終わります。
エンディングノートを用意している場合は、そこに記載しておくのも一つの方法です。
保全の対象になる範囲
保全されるのは、まだサービスの提供を受けていない前受金です。すでに施行を受けた分は対象になりません。
複数の契約に加入している場合は、契約ごとに計算されます。口数が多いほど、届出の際に確認する項目も増えます。
家族の分をまとめて加入しているときは、誰の名義でいくつの契約があるのかを先に整理してください。
