マイナンバーカードは死亡後どうするか|返納と保険証の扱い
死亡届を出すと、カードは自動的に失効します。返納は求められることがありますが、急ぎではありません
亡くなった家族のマイナンバーカードが手元にある。どうすればよいのか。
まず安心してください。死亡届を出すと、カードは失効します。放置しても、誰かに使われる仕組みではありません。
ただし、返納を求める自治体もあります。他の手続きと一緒に、窓口で確かめてください。
死亡届で失効します
マイナンバーカードは、住民票と結びついています。死亡届が出されると、住民票が除票になります。
これに伴い、カードも失効します。特別な手続きをしなくても、使えなくなります。
根拠となる条文 — 番号とカードの位置づけ
個人番号カードは、住民基本台帳に記録されている者に対し、申請により交付されるものです(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律17条1項)。
住民票は、死亡の届出により消除されます。カードの効力も、これに伴って失われます。
なお、個人番号は、原則として生涯にわたって変更されないものとされています(同法7条2項)。番号自体は、死亡後の手続きで使われることがあります。
つまり、カードが手元にあっても、期限を待つ必要はありません。すでに使えない状態になります。
返納は必要か
扱いは自治体によって違います。求められることもあれば、任意とされることもあります。
| 対応 | 内容 |
|---|---|
| 返納を求める | 死亡届のときに窓口で回収される |
| 任意とする | 家族が保管しても差し支えない |
| 保管を認める | 記念に残したい場合、穴を開けて返却されることがある |
死亡届を出す際に、窓口で聞くのが確実です。「カードはどうすればよいですか」の一言で足ります。
葬儀社が死亡届を代行する場合、カードは家族が持っていることになります。後日、窓口へ持参してください。
代行のときに、カードを預ける必要はありません。手元に置いておいて差し支えありません。
急ぐ手続きではありません。他の届出と一緒に済ませれば十分です。
紛失している場合も、届出は不要とされることが多くあります。窓口で事情を伝えてください。
手元に残す場合は、他の重要書類と一緒に保管してください。処分は、番号が読めない形にします。
保険証として使っていた場合
マイナンバーカードを健康保険証として使っていた場合は、別に手続きが必要です。
カードが失効しても、健康保険の資格喪失の届出は自動では行われません。必ず届け出てください。
届出の期限は、14日以内が目安です。世帯主の変更が必要な場合も、同じ期限です。
扶養に入っていた家族がいる場合は、その人の保険も切り替えが必要になります。忘れないでください。
切り替えの間、保険証がない期間ができます。受診の予定がある場合は、窓口でその旨を伝えてください。
資格確認書を発行してもらえることがあります。手続きの際に確かめてください。
公金受取口座の扱い
年金や給付金の受け取り口座として登録していた場合も、確かめておいてください。
登録された口座は、死亡によって使われなくなります。ただし、未支給年金などの受け取りには、別の手続きが必要です。
- 未支給年金は、生計を同じくしていた遺族が請求する
- 請求する遺族自身の口座を指定する
- 故人の口座は、金融機関に連絡すると凍結される
凍結の前に引き出しておこうと考える人がいますが、避けてください。相続放棄を考えている場合は、特に注意が必要です。
当面の費用が必要な場合は、預貯金の仮払い制度があります。口座ごとに上限が定められています。
手続きには戸籍などが必要です。金融機関の窓口で、必要書類を確かめてください。
個人番号は使う場面があります
カードが失効しても、番号そのものは手続きで使います。控えておいてください。
| 場面 | 使い方 |
|---|---|
| 相続税の申告 | 亡くなった人と相続人の番号を記載する |
| 準確定申告 | 同上 |
| 生命保険金の請求 | 一定の金額を超える場合に求められる |
| 証券会社の相続手続き | 求められることがある |
番号は、住民票(個人番号の記載あり)で確かめられます。除票になった後も、一定期間は請求できます。
そのため、返納する前に番号を控えておくと安心です。写真を撮っておく方法でも構いません。
控えは、他人の目に触れない場所に保管してください。番号は、慎重に扱うべき情報です。
除票の保存期間は、150年とされています。ただし、請求できる人の範囲は限られます。
請求できるのは、本人の相続人など、正当な理由がある人です。窓口で関係を示す書類を求められます。
住民票の除票は、相続手続きでも使います。数通まとめて取っておくと、手間が減ります。
通知カードは廃止されています
以前に配られた紙の「通知カード」は、2020年5月に廃止されました。新規の発行や再交付は行われていません。
手元にある場合も、返納の必要はありません。個人番号を確かめる手がかりとして残しておけます。
- 通知カードは、現在は番号の証明には使えない
- 番号の確認には、住民票(個人番号の記載あり)を使う
- マイナンバーカードがあれば、それで確認できる
古い書類が出てきても、慌てなくて構いません。捨てる場合は、番号が読めない形にしてください。
シュレッダーにかけるか、番号の部分を切り取ってから処分してください。そのまま捨てないでください。
身分証明書としての扱い
マイナンバーカードは、身分証明書としても使われていました。失効すると、その用途にも使えません。
手続きの場面で「故人の本人確認書類」を求められることがあります。その場合は、別の書類を使います。
| 求められる場面 | 代わりに使える書類 |
|---|---|
| 金融機関の相続手続き | 戸籍、除票、遺産分割協議書など |
| 保険金の請求 | 戸籍、死亡診断書の写し |
| 携帯電話の解約 | 死亡が分かる書類、会葬礼状 |
多くの手続きでは、故人の本人確認書類ではなく、死亡と相続人であることを示す書類が求められます。
そのため、カードが手元になくても困る場面は多くありません。戸籍がそろっていれば進みます。
来店する人自身の本人確認書類は、必ず必要です。運転免許証やマイナンバーカードを持参してください。
運転免許証やパスポートの扱い
同じように、他の証明書も手続きが必要です。まとめて確かめておいてください。
- 運転免許証:警察署または運転免許センターへ返納する
- パスポート:都道府県の旅券窓口へ返納する
- 障害者手帳・療育手帳:市区町村の窓口へ返納する
- 各種の会員証:発行元に連絡する
いずれも、返納は義務とされているものと、任意のものがあります。窓口で確かめてください。
運転免許証は、返納すると失効の証明を受けられます。記念に残したい場合は、その旨を伝えると穴を開けて返してもらえることがあります。
パスポートも同様に、無効の処理をしたうえで返してもらえる場合があります。
これらの返納には期限がありません。落ち着いてからで構いません。
相続の手続きで必要になる書類
マイナンバーの手続きと合わせて、相続で使う書類も集めておくと効率的です。
- 故人の出生から死亡までの戸籍
- 相続人全員の戸籍と住民票
- 相続人の印鑑証明書
- 故人の住民票の除票
- 法定相続情報一覧図(あると便利)
法定相続情報一覧図は、法務局が無料で交付します。戸籍の束の代わりに使えるため、手続きが楽になります。
2024年3月からは、戸籍の広域交付が始まりました。本籍地以外の市区町村の窓口でも、まとめて請求できます。
窓口へ行く必要があり、郵送では使えません。請求できる範囲にも決まりがあります。
本人・配偶者・父母・子などの戸籍が対象です。兄弟姉妹の戸籍は、対象外とされています。
相続放棄を考えている場合
手続きを進めるうえで、注意しておく点があります。
根拠となる条文 — 調査と処分の違い
相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、単純承認、限定承認または放棄をしなければなりません(民法915条1項)。相続人は、承認または放棄をする前に、相続財産の調査をすることができます(同条2項)。
一方、相続財産の全部または一部を処分したときは、単純承認をしたものとみなされます(同法921条1号)。
葬儀費用については、身分相応の範囲であれば処分にあたらないとした裁判例があります(大阪高等裁判所平成14年7月3日決定)。もっとも、預貯金を引き出して生活費に使うといった行為は、別に評価されます。
カードの返納や、保険の資格喪失の届出は、財産の処分にあたりません。放棄を考えていても、手続きして差し支えありません。
葬祭費や埋葬料の申請も、制度に基づく給付です。放棄との関係で問題になりにくい部分です。
一方、故人の口座からお金を引き出す行為は、慎重に判断してください。迷う場合は、使わずに保管してください。
まとめて済ませる
役所の窓口では、複数の手続きが同じ庁舎でできます。1回で回るのが効率的です。
| 手続き | 期限の目安 |
|---|---|
| 死亡届 | 死亡を知った日から7日以内 |
| 世帯主変更届 | 14日以内(該当する場合) |
| 国民健康保険・後期高齢者医療の資格喪失 | 14日以内 |
| 介護保険の資格喪失届 | 14日以内 |
| 葬祭費の申請 | 葬儀の日の翌日から2年以内 |
自治体によっては、亡くなった後の手続きをまとめて案内する窓口があります。予約が必要なこともあります。
国民生活センターが2026年6月3日に公表した資料によると、葬儀サービスに関する相談は2025年度に917件で、うち52.6%が料金に関するものでした。手続きと費用は、同じ時期に重なります。
一度に全部を終わらせようとしなくて構いません。期限の短いものから順に進めてください。
持ち物は、故人の保険証、印鑑、来庁する人の本人確認書類、通帳です。事前に電話で確かめると確実です。
まとめ
急ぐ手続きではありません。順番だけ押さえてください。
- 死亡届の提出でカードは失効する
- 返納の要否は、窓口で確かめる
- 保険証として使っていた場合は、資格喪失の届出が必要
番号は、相続の手続きで使います。返す前に控えておいてください。
