訃報連絡の文例|誰に、いつ、どこまで伝えるか

伝える相手を3段階に分けてください。全員に同時に知らせる必要はありません

親が亡くなった。誰に、どう伝えればよいのか。手が止まってしまう。

まず、相手を3つに分けてください。すぐ伝える人日程が決まってから伝える人後日でよい人です。

全員に同時に知らせる必要はありません。段階を分けるだけで、負担はずいぶん軽くなります。

伝える相手を3段階に分けます
伝える相手を3段階に分けます(作図: 弁護士による葬儀ガード)

3段階に分ける

順番を決めておくと、迷いません。亡くなった直後は、判断する余裕がないためです。

段階相手手段
① すぐ同居家族、近親者、菩提寺電話
② 日程が決まってから親族、親しい友人、勤務先、町内会電話・メール
③ 後日でよい年賀状のやり取りだけの相手、遠方の知人手紙・はがき

①に菩提寺を入れているのは、理由があります。先に他の僧侶へ読経を頼むと、納骨を断られることがあるためです。

菩提寺があるかどうかは、親族に確かめてください。お墓の場所が手がかりになります。

②の連絡は、日程が決まってからで構いません。決まっていないまま伝えると、相手も動けません。

すぐ伝えるときの文例

電話で伝えます。短くて構いません。相手も驚いているので、要点だけを伝えます。

〇〇の長男の〇〇です。本日未明、父〇〇が亡くなりました。

現在、〇〇病院におります。これから〇〇へ搬送します。

葬儀の日程は、決まり次第あらためてご連絡いたします。

深夜や早朝でも、近親者には連絡して構いません。後から知らされるほうが、相手はつらく感じます。

高齢の方に伝えるときは、体調に配慮してください。同居のご家族がいれば、その方に先に伝える方法もあります。

連絡が取れない相手には、留守番電話に残すか、メッセージを送ってください。折り返しを待つ間に、次の相手に進みます。

1人で全員に連絡する必要はありません。親族に分担してもらってください。

日程が決まってからの文例

電話でもメールでも構いません。次の項目を漏らさないでください。

メールの文例

件名:父〇〇 逝去のお知らせ

〇〇様

かねてより療養中でありました父〇〇が、〇月〇日に〇〇歳で永眠いたしました。

生前のご厚誼に深く感謝申し上げますとともに、謹んでご通知申し上げます。

通夜 〇月〇日(〇)〇時より 葬儀・告別式 〇月〇日(〇)〇時より 場所 〇〇斎場(住所・電話番号) 宗派 〇〇宗 喪主 〇〇(続柄)

何かご不明な点がございましたら、下記までご連絡ください。 連絡先 〇〇〇-〇〇〇〇-〇〇〇〇

会場の住所と電話番号は、必ず入れてください。相手が地図を調べられます。

駐車場の有無も、書いてあると親切です。地方では特に必要な情報です。

最寄り駅からの経路や、送迎の有無も書いておくと問い合わせが減ります。

同じ文面を使い回して構いません。1通ずつ書き分ける必要はありません。

図で整理: 連絡の順番と手段
図で整理: 連絡の順番と手段(作図: 弁護士による葬儀ガード)

参列を辞退する場合

家族葬にする場合は、その旨をはっきり書いてください。曖昧だと、相手が迷います。

誠に勝手ながら、葬儀は家族のみで執り行います。

ご厚志、ご参列につきましては、故人の遺志により謹んでご辞退申し上げます。

ご連絡が遅れましたことを、あわせてお詫び申し上げます。

「故人の遺志により」と書くと、相手も受け入れやすくなります。角が立ちません。

日時や場所を書かない、という選択もあります。書くと、参列してよいのかと迷わせるためです。

近しい間柄で、伝えないと後で気を悪くする相手には、事前に電話で事情を伝えてください。

「今回は家族だけで送ることにしました」と一言添えれば、たいていは受け入れてもらえます。

香典を辞退する場合

香典を辞退するなら、同じ文面に入れてください。当日に受付で断ると、相手が困ります。

  • 「ご厚志は謹んでご辞退申し上げます」
  • 「お供物、お花、ご香典の儀は固くご辞退申し上げます」
  • 「お心遣いは辞退させていただきます」

「ご厚志」は、香典・供花・供物をまとめて指す言い方です。すべてを辞退する場合に使えます。

供花だけは受ける場合は、その旨を書き分けてください。「ご香典は辞退いたしますが、ご供花はお受けいたします」といった形です。

辞退すると、香典返しの準備が不要になります。費用と手間の両方が減ります。

一方、香典を渡したいと考える方もいます。断られて残念に思われることもあります。

どちらを選んでも、間違いではありません。決めたら、はっきり伝えてください。

勤務先への連絡

自分が働いている場合は、忌引きの申請とあわせて連絡します。

伝えること内容
続柄と亡くなった日忌引きの日数が続柄で決まるため
休む期間「〇日から〇日まで」
引き継ぎ急ぎの仕事があれば、その扱い
連絡先休み中に連絡がつく手段

会葬礼状や、死亡診断書の写しを求められることがあります。何が必要かを、先に聞いてください。

家族葬で会葬礼状を作らない場合は、葬儀社が発行する証明書で対応できることがあります。

故人が勤務していた場合は、その勤務先にも連絡が必要です。弔慰金や死亡退職金の手続きにつながります。

健康保険の埋葬料や、団体保険の請求も、勤務先を通じて行います。あわせて確かめてください。

後日の知らせ方

家族葬にした場合、後から知った人が驚くことがあります。手紙で知らせておくと、関係を保てます。

亡父〇〇儀 かねてより病気療養中のところ 〇月〇日に〇〇歳にて永眠いたしました

葬儀は故人の遺志により 家族のみにて相済ませました

本来であれば早速お知らせ申し上げるべきところ ご通知が遅れましたことを深くお詫び申し上げます

生前のご厚誼に心より御礼申し上げます

四十九日を終えたころに出す家庭が多くあります。喪中はがきで知らせる方法もあります。

送る相手は、年賀状のやり取りがある範囲で足ります。全員に出す必要はありません。

はがきは、薄墨で印刷する形が一般的です。葬儀社や印刷会社に頼めます。

自分で作っても構いません。文面は、上の例をそのまま使えます。

町内会や近所への連絡

地域によっては、隣組や町内会への連絡が慣習になっています。手伝いを受ける場合は、早めに伝えてください。

役割を分担する地域では、受付や駐車場の案内を近所の方が担うことがあります。

  • 町内会長や、組の代表者に連絡する
  • 手伝いをお願いするか、辞退するかを伝える
  • 回覧や掲示で知らせるかどうかを確かめる

家族葬にする場合は、その旨も伝えてください。伝えないと、参列の準備を進められてしまいます。

近所づきあいが薄い地域では、連絡が不要なこともあります。分からない場合は、親族に確かめてください。

手伝いを受けた場合は、後日お礼を伝えます。金品を渡すかどうかは、地域の慣習によります。

伝えにくい相手がいるとき

疎遠になっている親族や、関係がこじれている相手に、どう伝えるか迷うことがあります。

原則としては、相続人になる立場の人には伝えてください。後の手続きで必ず関わるためです。

相手考え方
疎遠な兄弟姉妹相続人になるため、連絡が必要
前の配偶者相続人ではない。子がいれば、子には伝える
前の配偶者との間の子相続人になる。必ず伝える
内縁の相手相続人ではないが、事情に応じて伝える

伝えにくい場合でも、事務的な文面で構いません。事実と日程だけを書けば足ります。

連絡先が分からない場合は、戸籍の附票で住所を調べられます。相続人であれば請求できます。

葬儀に間に合わなくても、相続の手続きの前には連絡が必要です。後回しにしないでください。

連絡先の集め方

そもそも、誰に連絡すればよいか分からないことがあります。手がかりを挙げます。

  1. 年賀状の束(差出人の一覧になる)
  2. 携帯電話の連絡先と通話履歴
  3. 手帳、住所録
  4. 勤務先や、所属していた団体
  5. 親族に聞く

年賀状は、最も使いやすい資料です。直近の1年分を見れば、付き合いの範囲が分かります。

携帯電話は、ロックが解除できないと使えません。分かる範囲で構いません。

すべてに連絡する必要はありません。漏れがあっても、後日の手紙で足ります。

年賀状の束は、香典返しの宛先にも使えます。捨てずに残しておいてください。

記録を残しておく

誰に連絡したかを、一覧にしておいてください。後の手続きに使えます。

記録すること使う場面
連絡した相手と日付二重の連絡を避ける
参列の可否料理と返礼品の数を決める
香典の有無と金額香典返しの準備、費用の精算

参列者の人数は、費用に直結します。料理と返礼品は、人数で計算されるためです。

株式会社鎌倉新書の「第7回 お葬式に関する全国調査」(2026年)によると、飲食費の平均は11.67万円、返礼品費の平均は13.03万円でした。

見込みが立ったら、葬儀社に伝えてください。人数がずれると、後から差額が出ます。

多めに見込んでおくほうが、当日に足りなくなるより安心です。減らせる期限も確かめてください。

費用と香典の関係

香典を受けるかどうかは、費用にも影響します。判断の材料として整理しておきます。

根拠となる条文 — 香典の扱い

香典は、遺族の負担を軽くするために贈られる贈与と理解されています(民法549条)。故人の財産ではないため、相続財産には含まれないと扱われるのが一般的です。

そのため、遺産分割の対象にはならず、葬儀費用に充てることができます。

なお、相続税の計算では、葬式費用を相続財産から差し引けます(相続税法13条1項2号)。ただし、香典返しの費用は控除できません(国税庁タックスアンサーNo.4129)。

香典を受ければ費用の一部を補えますが、香典返しの手間と費用が生じます。

辞退すれば、その両方がなくなります。どちらがよいかは、参列者の顔ぶれと家の慣習で決めてください。

国民生活センターが2026年6月3日に公表した資料によると、葬儀サービスに関する相談は2025年度に917件で、うち52.6%が料金に関するものでした。人数の見込みは、費用の確認とあわせて行ってください。

訃報の連絡 — 伝える前に確認する項目
訃報の連絡 — 伝える前に確認する項目(作図: 弁護士による葬儀ガード)

まとめ

全員に同時に知らせる必要はありません。

  • 相手を「すぐ」「日程決定後」「後日」に分ける
  • 菩提寺には、必ず最初に連絡する
  • 参列や香典を辞退するなら、その旨をはっきり書く

連絡した相手は、一覧にしておいてください。人数の見込みと、後の精算に使えます。