納骨に必要な書類|埋葬許可証の扱い

火葬許可証に証明印が押されたものが、埋葬許可証として使われます

四十九日に納骨をすることになった。何を持っていけばよいのか分からない。

いちばん大事な書類は決まっています。火葬許可証に証明印が押されたものです。これが納骨のときに使われます。

骨壺の箱に入っていることが多くあります。まず、それを探してください。

納骨に必要な書類はどれか
納骨に必要な書類はどれか(作図: 弁護士による葬儀ガード)

火葬許可証と埋葬許可証

まず、言葉の整理から始めます。混乱しやすい部分です。

死亡届を出すと、火葬許可証が交付されます。これがないと火葬できません。

火葬が終わると、火葬場が「火葬済み」の証明印を押して返します。

この証明印が押されたものが、納骨のときに使われます。実務では「埋葬許可証」と呼ばれます。

段階書類の名称交付する人
死亡届の提出後火葬許可証市区町村
火葬の後火葬許可証(証明印つき)火葬場が返却
納骨のとき上記をそのまま提出墓地・納骨堂の管理者へ

自治体によっては、「埋火葬許可証」という名称の1枚の書類になっています。

呼び方は違っても、実質は同じものです。証明印があるかどうかを確かめてください。

火葬の当日、遺骨とともに手渡されます。葬儀社が預かっていることもあります。

骨壺を包む白い布の中や、骨箱の底に入っていることが多くあります。

見当たらない場合は、まず葬儀社に確かめてください。保管しているかもしれません。

根拠となる条文 — 埋葬・火葬の許可と証明

埋葬・火葬を行おうとする者は、市町村長の許可を受けなければなりません(墓地埋葬法5条1項)。

市町村長が交付する許可証には、必要な事項を記載することとされています(同法施行規則8条)。火葬場の管理者は、火葬を行った旨を許可証に記入して返還します(同規則9条)。

墓地または納骨堂の管理者は、埋葬・埋蔵・収蔵の求めを受けたときは、許可証の交付を受けたものであることを確認した後でなければ、これを行ってはならないとされています(同法14条)。

条文にあるとおり、管理者は許可証を確認する義務を負います。だから、必ず必要になります。

納骨のときに持っていくもの

墓地に納める場合の持ち物です。事前に管理者へ確かめると確実です。

持ち物備考
火葬許可証(証明印つき)骨壺の箱に入っていることが多い
墓地の使用許可証墓地の管理者が発行したもの
印鑑認印で足りることが多い
遺骨(骨壺)骨箱・骨覆いは外すことがある
お布施読経を頼む場合

墓地の使用許可証は、永代使用権を証する書類です。契約時に交付されています。

見当たらない場合は、管理者に相談してください。再発行に応じてもらえることがあります。

寺院墓地の場合は、事前に住職と日程を相談します。石材店にも連絡が必要です。

墓石を動かす作業は、石材店が行います。自分で開けようとしないでください。

地域によっては、遺族が納める形もあります。管理者に確かめてください。

納骨の日は、四十九日の法要と同じ日にすることが多くあります。親族が集まる日だからです。

日程は、寺院と石材店の両方の都合で決まります。1か月前には相談してください。

納骨堂や樹木葬の場合

納める先によって、必要な書類が少し変わります。

  • 納骨堂 — 火葬許可証、使用許可証、印鑑
  • 樹木葬・合葬墓 — 火葬許可証、契約書、印鑑
  • 永代供養墓 — 火葬許可証、申込書、印鑑
  • 海洋散骨 — 火葬許可証の写しを求められることがある

いずれも、火葬許可証が基本になります。ここは共通です。

樹木葬や合葬墓では、骨壺から遺骨を出して納める形もあります。骨壺の返却の有無を確かめてください。

納骨堂では、骨壺のサイズに制限があることがあります。事前に規格を確かめてください。

東日本では6寸から7寸、西日本では3寸から5寸の骨壺が一般的です。

地域をまたいで納める場合は、入らないことがあります。移し替えが必要になります。

移し替えは、石材店や寺院に頼めます。作業自体に手続きは要りません。

事前に「何寸まで入りますか」と聞いておけば、当日に慌てずに済みます。

紛失した場合

なくしても、再交付を受けられます。あきらめないでください。

手数料は数百円が目安です。即日で交付されることが多くあります。

火葬から5年以内であれば、記録が残っています。それ以降は、火葬場が発行する証明で対応することがあります。

代理の人が請求する場合は、委任状が必要になることがあります。

納骨の日程が決まったら、早めに書類を確かめてください。当日に慌てずに済みます。

書類は、骨壺の箱と一緒に保管してください。別々にすると、片方をなくします。

写真に撮っておくと、内容を確かめられます。原本は必ず必要です。

図で整理: 書類をそろえて納骨するまで
図で整理: 書類をそろえて納骨するまで(作図: 弁護士による葬儀ガード)

分骨する場合

遺骨を分けて納めるなら、証明書が別に必要です。

根拠となる条文 — 分骨の証明

墓地または納骨堂の管理者は、埋蔵または収蔵されている焼骨の分骨を求められたときは、その旨を証する書類を交付しなければならないとされています(墓地埋葬法施行規則5条1項)。

火葬場の管理者は、火葬した焼骨の分骨を求められたときも、同様に書類を交付しなければなりません(同条2項)。

焼骨の埋蔵または収蔵を行う際には、この書類を墓地や納骨堂の管理者に提出することとされています(同条3項)。

いちばん簡単なのは、火葬の当日に頼むことです。その場で発行してもらえます。

後から分骨する場合は、すでに納めている墓地の管理者に頼みます。手続きが増えます。

分骨する数だけ、証明書が必要です。2か所に分けるなら2通です。

手数料は、数百円から1,000円程度が目安です。

お墓を移す場合

すでに納めた遺骨を別の場所へ移す場合は、改葬の手続きが必要です。

改葬許可証がないと、遺骨を移せません。順番を守ってください。

現在の墓地が寺院の場合は、事前に住職へ相談します。離檀に伴う話し合いが生じることがあります。

閉眼供養(魂抜き)と、新しい墓での開眼供養が行われます。それぞれお布施が必要です。

墓石の撤去費用も生じます。1平方メートルあたり10万円から20万円が目安です。

離檀料を求められることがあります。法律上の支払い義務が定められているわけではありません。

金額に納得できない場合は、話し合いになります。角が立たないよう、事情を丁寧に説明してください。

進まないときは、弁護士に相談する方法もあります。関係を保つ工夫が必要な場面です。

改葬の手続きは、書類がそろえば1週間から2週間で終わります。

納骨の時期

いつ納めるかに、法律上の決まりはありません。急ぐ必要はありません。

時期選ばれる理由
四十九日忌明けの節目。もっとも多い
百箇日準備の時間が取れる
一周忌墓所の準備が間に合う
三回忌気持ちの整理がついてから
決めない手元供養として自宅に置く

墓所を新しく建てる場合は、完成まで数か月かかります。一周忌に合わせる家庭が多くあります。

石材店に彫刻を頼む場合は、1か月ほどかかります。逆算して依頼してください。

自宅に遺骨を保管すること自体に、法律上の制限はありません。埋蔵する場合に許可が必要です。

株式会社鎌倉新書の「第7回 お葬式に関する全国調査」(2026年)によると、葬儀の総額平均は96.73万円でした。納骨の費用は、これとは別に生じます。

誰が遺骨を引き取るのか

家族の間で、遺骨の扱いについて意見が分かれることがあります。考え方は定まっています。

参考になる判例 — 遺骨は誰に帰属するか

最高裁判所は平成元年7月18日の判決(家月41巻10号128頁)で、遺骨は慣習に従って祭祀を主宰すべき者に帰属すると判断しました。

系譜、祭具及び墳墓の所有権は、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継します。ただし、被相続人の指定があるときは、その指定に従います(民法897条1項)。

慣習が明らかでないときは、家庭裁判所が承継すべき者を定めます(同条2項)。

つまり、遺骨は相続財産として分けるものではありません。祭祀を主宰する人が引き継ぎます。

祭祀承継者は、長男である必要はありません。娘でも、親族以外でもなり得ます。

決まらない場合は、家庭裁判所に定めてもらう手続きがあります。

争いになりそうなときは、弁護士に相談してください。感情が絡む場面です。

墓地の使用権も、祭祀承継者が引き継ぐのが通常です。管理者に名義の変更を届け出てください。

納骨にかかる費用

書類の手数料は少額ですが、他の費用が生じます。

  • 彫刻(戒名・没年月日) 3万〜6万円
  • 納骨作業(石材店) 1万5,000円〜5万円
  • お布施(納骨法要) 3万〜5万円
  • 御車代・御膳料 各5,000円〜1万円
  • 会食(法要を行う場合) 1人3,000円〜1万円

合計で10万円から20万円ほどになることが多くあります。

見積もりを取ってから決めて構いません。石材店にも金額を確かめてください。

彫刻は、墓石に直接彫る方法と、墓誌に彫る方法があります。金額が変わります。

お布施の金額に決まりはありません。寺院に相場を尋ねても失礼にはあたりません。

「皆さんはどのくらい包まれていますか」と聞けば、目安を教えてもらえます。

会食を行うかどうかも、家族で決めて構いません。省略しても差し支えありません。

国民生活センターが2026年6月3日に公表した資料によると、葬儀サービスに関する相談は2025年度に917件で、うち52.6%が料金に関するものでした。

納骨の費用についても、内訳を確かめる姿勢は同じです。遠慮せずに聞いてください。

石材店の見積書も、単価と数量が入った形でもらってください。

彫刻の文字数や、作業の人数が書かれていれば、金額の根拠が分かります。

複数の石材店から取ることもできます。墓地によっては、指定の業者に限られることがあります。

納骨の準備 — 出かける前の確認項目
納骨の準備 — 出かける前の確認項目(作図: 弁護士による葬儀ガード)

まとめ

納骨の書類は、そろえてしまえば難しくありません。

  • 火葬後に返却された火葬許可証(証明印つき)を探す
  • 墓地の使用許可証と印鑑をあわせて持っていく
  • 分骨するなら分骨証明書、移すなら改葬許可証が要る

紛失しても再交付を受けられます。落ち着いて準備すれば大丈夫です。