送迎バスの費用|台数・時間で変わる料金の見方

マイクロバスは1台3万円前後から。人数と距離で、必要かどうかが決まります

「火葬場への送迎はマイクロバスをご用意しますか」と聞かれ、判断に迷っていませんか。

金額の目安は決まっています。マイクロバスは1台3万円前後からです。台数と時間で変わります。

必要かどうかは、人数と距離で決まります。使わない選択もできます。判断の材料を整理しておきましょう。

送迎の費用は、どこで決まるのか
送迎の費用は、どこで決まるのか(作図: 弁護士による葬儀ガード)

どんな場面で使うのか

送迎の車が必要になるのは、主に次の場面です。

  1. 式場から火葬場への移動
  2. 火葬場から式場(または自宅)への戻り
  3. 遠方の親族の宿泊先からの送迎

いちばん多いのは1番と2番です。火葬に同行する親族をまとめて運びます。

参列者全員を運ぶわけではありません。火葬場へ行くのは、親族が中心です。

そのため、必要な席数は「火葬に同行する人数」で決まります。ここを先に見込んでください。

自家用車で移動する家庭もあります。台数がそろうなら、それで足ります。

車の種類と料金

使う車は、人数によって変わります。料金も変わります。

車種定員の目安料金の目安
マイクロバス20〜28人3万〜6万円
中型バス30〜45人5万〜10万円
ジャンボタクシー8〜9人1万5,000〜3万円
ハイヤー4人2万〜4万円
タクシー4人メーター料金

マイクロバスは、25人乗り前後が標準です。1台で足りることが多くあります。

人数が30人を超えると、2台か中型バスになります。金額は倍近くになります。

ハイヤーは、喪主や遺族の代表が乗る車です。位牌や遺影を持つ方が使います。

必ず用意する必要はありません。マイクロバスに同乗する形でも構いません。

地域によっては、位牌を持つ方が霊柩車の助手席に乗る慣習があります。担当者に確かめてください。

車の台数は、当日の朝でも調整できることがあります。人数が読めてから決めて構いません。

料金の決まり方

バスの料金は、時間と距離で決まります。貸切バスの運賃の考え方が基になります。

  • 基本の時間(3時間や4時間まで)が含まれる
  • 超えた分は、1時間あたりで加算される
  • 距離が長ければ、走行距離でも加算される
  • 駐車場代や高速道路の通行料は実費

火葬の待ち時間の間も、バスは待機します。この時間も料金に入ります。

火葬には1時間から2時間かかります。往復と合わせて4時間ほどが目安です。

待ち時間が長い火葬場では、時間の加算が生じます。事前に確かめてください。

「基本は何時間までですか」「超えたら1時間いくらですか」。この2つを聞けば足ります。

収骨まで待たずに、いったん式場へ戻る形を取る家庭もあります。移動が2往復になります。

その場合、時間と距離の両方が増えます。どちらが安いかを聞いてください。

使わない選択もできます

必ず必要な項目ではありません。次の場合は、なくても困りません。

場面判断
火葬場が式場に併設徒歩で移動できる。不要
同行が5人以下自家用車かタクシーで足りる
全員が車で来ている各自で移動できる
火葬場が近い(数km)タクシーでも安く済む

「バスはやめて、タクシーにします」と伝えて差し支えありません。

ただし、高齢の親族が多い場合は、乗り換えの負担を考えてください。金額だけで決めない部分です。

雨天や真夏の移動では、バスのほうが負担が軽くなります。天候も判断の材料です。

自家用車で移動する場合は、火葬場の駐車場の台数を確かめてください。停められないことがあります。

火葬場は、複数の家族が同時に利用します。駐車場が満車になることがあります。

「駐車場は何台停められますか」と葬儀社に聞いてください。すぐ答えが返ってきます。

式場から火葬場までの道順も、事前に伝えてもらってください。当日に迷うと段取りが崩れます。

タクシーと比べる

近距離であれば、タクシーのほうが安く済むことがあります。計算してみてください。

  • 片道3kmなら、タクシー1台1,500円前後
  • 4台使っても往復で1万2,000円ほど
  • マイクロバス1台3万円と比べると差が出る

ただし、タクシーは待機してもらうと料金が上がります。火葬の間は帰ってもらう形が現実的です。

帰りの手配が必要になります。火葬場でタクシーを呼べるかを確かめてください。

台数を確保できないこともあります。事前に手配しておくのが確実です。

葬儀社に頼めば、タクシーの手配も代行してもらえます。手数料の有無を確かめてください。

自分で配車アプリを使う方法もあります。火葬場の住所を先に控えておいてください。

雨天では、タクシーがつかまりにくくなります。天候も見て判断してください。

図で整理: 送迎の要否を決める手順
図で整理: 送迎の要否を決める手順(作図: 弁護士による葬儀ガード)

見積書での確かめ方

送迎の行は、次の項目がそろっているかを見てください。

「車両一式」とだけ書かれている場合は、内訳を求めてください。これは通る依頼です。

当日、実際に使った台数を確かめておいてください。2台頼んで1台で足りることもあります。

余った1台をキャンセルできるかは、時間によります。当日の朝までなら間に合うことがあります。

前日までに減らせば、費用は発生しないのが通常です。契約の条件を確かめてください。

当日のキャンセルでは、一部または全額の費用が生じることがあります。手配が済んでいるためです。

「いつまでなら減らせますか」と先に聞いておくと、判断が楽になります。

請求書を検算する

請求書が届いたら、台数と時間を確かめてください。事実で計算できます。

実際に乗ったのは1台だったのに、2台分の請求になっていれば、そこを聞いてください。

時間も同じです。式場を出た時刻と、戻った時刻を思い出してください。

  • 出発した時刻
  • 火葬場に着いた時刻
  • 収骨が終わった時刻
  • 式場に戻った時刻

家族の記憶と、当日の写真の時刻が手がかりになります。

「4時間の契約ですが、実際は3時間でした」。この形で聞けば、話が具体的になります。

ただし、基本の時間内であれば、短く済んでも減額されないのが通常です。

減額の対象になるのは、台数の違いや、使わなかった車の分です。ここを確かめてください。

差が数千円であれば、確認だけで済ませる判断もあります。金額の大きさで決めて構いません。

説明と違った場合

台数や時間が説明と違っていた場合の考え方です。

根拠となる条文 — 説明されなかったときの考え方

事業者が消費者の利益となることだけを告げ、不利益となる事実を故意または重大な過失により告げなかった場合、消費者はその契約の意思表示を取り消すことができます(消費者契約法4条2項)。

法令の規定に比べて消費者の権利を制限し、または義務を加重する条項であって、信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものは無効です(同法10条)。

法律上の原因なく他人の財産によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者は、その利益の存する限度において返還する義務を負います(民法703条)。

もっとも、実務では台数と時間の確認から始めるのが現実的です。事実で確かめられます。

貸切バスの運賃・料金にも、届け出の仕組みがあります。根拠を求められる費目です。

根拠となる条文 — 貸切バスの運賃と料金

一般貸切旅客自動車運送事業を経営しようとする者は、国土交通大臣の許可を受けなければなりません(道路運送法4条1項)。

一般貸切旅客自動車運送事業者は、運賃及び料金を定め、あらかじめ国土交通大臣に届け出なければならないとされています(同法9条の2第1項)。

事業者は、運賃・料金を旅客の見やすいように掲示するなどの方法で公示することとされています(同条第3項)。

つまり、「料金表を見せてください」と求めて差し支えありません。正当な依頼です。

葬儀社が自社でバスを持たず、バス会社に手配している場合もあります。その場合も内訳は聞けます。

費用の全体の中での位置づけ

株式会社鎌倉新書の「第7回 お葬式に関する全国調査」(2026年)によると、葬儀の総額平均は96.73万円、基本料金の平均は72.02万円でした。

送迎の費用は、その中では小さい部分です。数万円の範囲に収まることがほとんどです。

とはいえ、バス2台とハイヤーを使えば、10万円を超えることもあります。

確認は、金額の大きい順に行うのが効率的です。祭壇・飲食・返礼品を先に見てください。

送迎は、削れば数万円が浮く費目でもあります。人数が少ない葬儀では効き目があります。

家族葬や一日葬では、自家用車で足りることが多くあります。まず必要性を検討してください。

人数の見込み方

火葬に同行する人数は、通夜や告別式の参列者より少なくなります。

同行するのは、次の方が中心です。

  1. 喪主と同居の家族
  2. 故人の子・孫とその配偶者
  3. 故人の兄弟姉妹
  4. 特に近い親族
  5. 菩提寺の僧侶(同行する場合)

一般の参列者は、告別式で見送って帰ることが多くあります。

会社関係の方も、火葬場までは同行しないのが通例です。

人数の目安は、親族の数と考えてください。20人を超えるようなら、バスを検討する場面です。

事前に「火葬場まで来られる方」を確かめておくと、台数の判断が確実になります。

告別式の当日に確認しても間に合います。担当者に伝えれば、手配を調整してもらえます。

火葬場での過ごし方

送迎の判断には、火葬場での過ごし方も関わります。あわせて確かめてください。

火葬の待ち時間は1時間から2時間ほどです。その間、待合室で過ごします。

待合室の使用料が別料金の施設もあります。人数によって部屋の大きさが変わります。

飲み物や茶菓を用意する場合、その費用も加わります。1人1,000円から3,000円が目安です。

バスで移動すれば、待合室に全員が集まります。自家用車で分かれると、到着の時刻がずれます。

段取りの面では、バスのほうが動きやすい面があります。ここも判断の材料です。

国民生活センターが2026年6月3日に公表した資料によると、葬儀サービスに関する相談は2025年度に917件で、うち52.6%が料金に関するものでした。

説明を求めても数字が出てこないときは、消費者ホットライン188へ相談してください。無料です。

支払期限が近い場合は、争いのある行だけを保留し、残りを期限内に払う形が現実的です。

送迎の手配 — 決める前の確認項目
送迎の手配 — 決める前の確認項目(作図: 弁護士による葬儀ガード)

まとめ

送迎の費用は、台数と時間で決まります。どちらも先に見込めます。

  • 火葬に同行する人数を数え、必要な席数を決める
  • 見積書で「何台・何時間」を確かめる
  • 当日、実際に使った台数と時刻を記録する

使わない選択もできます。落ち着いて判断すれば大丈夫です。