一般葬の費用相場|総額と内訳をわかりやすく

平均は161万円。差がつくのは祭壇と、参列者の人数で動く費用です

一般葬にしたい。けれど、いくらかかるのか見当がつかない。そんな状態ではありませんか。

数字から示します。一般葬の総額の平均は161.33万円です。葬儀全体の平均96.73万円より、かなり高い水準です。

ただし、この金額はそのまま出ていくわけではありません。香典で一部が戻ります。実質の負担を先に見通しておきましょう。

一般葬の総額は、どの費目で決まるのか
一般葬の総額は、どの費目で決まるのか(作図: 弁護士による葬儀ガード)

一般葬とはどんな葬儀か

まず、言葉を整理します。一般葬は、参列者を限定しない葬儀です。

親族だけでなく、友人・知人・会社関係・近隣の方が参列します。通夜と告別式の両方を行うのが通例です。

家族葬との違いは、範囲です。「呼ぶ人を絞らない」のが一般葬だと考えてください。

規模の目安は、参列者50人から150人程度です。地域や故人の交友関係で大きく変わります。

会社勤めの現役世代や、地域の役職を務めていた方の葬儀では、一般葬が選ばれることが多くあります。

参列者が多いことは、負担だけを意味しません。香典が入り、家族の負担が軽くなる面もあります。

総額の平均

数字を確かめておきます。判断の出発点になります。

株式会社鎌倉新書の「第7回 お葬式に関する全国調査」(2026年)によると、形式別の総額平均は次のとおりでした。

形式総額の平均
一般葬161.33万円
家族葬96.39万円
一日葬74.43万円
直葬・火葬式49.56万円

同じ調査で、葬儀全体の総額平均は96.73万円、基本料金の平均は72.02万円でした。

一般葬は、平均の1.7倍ほどの水準です。人数が多いぶん、飲食と返礼品が積み上がります。

ただし、平均は目安です。地域差も大きく、火葬料が公営か民営かでも変わります。

総額の内訳

総額は、大きく3つに分かれます。この分け方を覚えておくと、見積書が読めます。

区分内容目安
基本料金祭壇・棺・搬送・式場・人件費70万〜120万円
変動費飲食・返礼品(人数で動く)30万〜60万円
実費・宗教費火葬料・お布施20万〜60万円

基本料金は、契約のときにほぼ確定します。変動費は、当日まで動きます。

お布施は葬儀社の売上ではありません。それでも、家族が払う総額には含まれます。

この3区分に分けて見積書を読むと、どこが動くかが見えます。

基本料金の中でも、祭壇の占める割合が大きくなります。20万円から100万円以上まで幅があります。

式場使用料は、日数で決まります。通夜と告別式で2日分が基本です。

人件費は、司会・進行・受付の補助などです。人数と時間で計算されます。

搬送は、病院から安置所、安置所から式場、式場から火葬場と、3回になることが多くあります。

人数で動く費用

一般葬でいちばん動くのが、この部分です。計算式は単純です。

  • 通夜振る舞い — 1人3,000円〜6,000円
  • 精進落とし — 1人4,000円〜8,000円
  • 返礼品 — 1人2,000円〜4,000円
  • 会葬御礼 — 1人500円〜1,500円

参列者100人なら、飲食と返礼品で40万円から60万円になります。

通夜振る舞いは、参列者全員が食べるわけではありません。3割から5割で見込む地域が多くあります。

精進落としは、火葬に同行した親族が中心です。人数は絞られます。

見積書では、この「見込み人数」を確かめてください。実数との差が、後の精算に響きます。

香典で戻る分を計算する

出ていくお金だけを見ると、判断を誤ります。入ってくるお金も計算に入れてください。

香典は、葬儀の費用に充てるために贈られるものとして扱われるのが通例です。

  • 参列者100人・平均5,000円なら、50万円
  • 香典返しに半分を使えば、手取りは25万円
  • 総額161万円から引くと、実質の負担は136万円ほど

家族葬にすると、この香典が入りません。総額は下がりますが、手出しは思ったほど減らないことがあります。

金額だけで形式を選ぶと、想定と違う結果になります。ここは冷静に計算してください。

香典の金額は、関係と地域で変わります。親族は1万円から5万円、会社関係は5,000円前後が多いところです。

香典返しは、いただいた額の3分の1から半分を目安とする地域が一般的です。

高額の香典をいただいた場合は、後日改めてお返しします。当日返しだけでは釣り合いません。

なお、香典返しの費用は相続税の計算で控除できません。国税庁のタックスアンサー No.4129 に示されています。

見積書で確かめる6つの行

会社ごとの違いは、この6行に出ます。同じ条件でそろえて比べてください。

見るところ
祭壇ランク名と生花の本数
式場何日分か、時間超過はいくらか
安置1日あたりの単価と、含まれる日数
搬送何キロまで含むか、追加は1キロいくらか
飲食・返礼品1人あたりの単価と、見込み人数
火葬料含まれるか、別途か

「一式」とだけ書かれた行があれば、単価と数量を入れてもらってください。これは通る依頼です。

範囲がそろっていない見積書は比べられません。「この条件で出し直してください」と頼めます。

図で整理: 見積書を比べる手順
図で整理: 見積書を比べる手順(作図: 弁護士による葬儀ガード)

費用を抑える方法

無理に削る必要はありません。効き目のある順に並べると、次のようになります。

  1. 祭壇のランクを下げる(数万〜数十万円)
  2. 公営の式場を使う(数万〜十数万円)
  3. 公営の火葬場を使う(住民なら無料の地域もある)
  4. 通夜振る舞いを簡素にする(1人あたり数千円)
  5. 安置の日数を短くする(1日1万〜2万円)

削れる幅が大きいのは、祭壇と式場です。ここは家族の希望と相談して決めてください。

公営式場は、住民であれば割引がある自治体があります。空きが少ない点には注意してください。

搬送と火葬料は、ほぼ動きません。ここを削ろうとしても効果は出にくいところです。

削るときは、家族で話し合ってください。後から悔いが残ると、金額の問題ではなくなります。

祭壇は、写真を見比べてから決めてください。カタログを出してもらえます。

「家族で相談します」と伝えて、いったん持ち帰って構いません。その場で決める義務はありません。

公的な給付も使えます

葬儀の費用には、公的な給付があります。申請しなければ受け取れません。

根拠となる条文 — 葬祭費と埋葬料

市町村は、国民健康保険の被保険者が死亡したときに、条例の定めるところにより葬祭費の支給などを行うものとされています(国民健康保険法58条1項)。

健康保険の被保険者が死亡したときは、埋葬を行った者に対し、埋葬料として政令で定める金額が支給されます(健康保険法100条1項)。政令で定める額は5万円です。

これらの給付を受ける権利は、2年を経過したときに時効によって消滅します(国民健康保険法110条1項、健康保険法193条1項)。

国民健康保険の葬祭費は、自治体によって金額が異なります。東京23区では7万円です。

健康保険の埋葬料は5万円です。会社勤めだった方の遺族が申請します。

どちらも申請が必要です。2年の期限がある点に注意してください。

窓口は、国民健康保険なら市区町村、健康保険なら協会けんぽか健康保険組合です。

必要な書類は、葬儀の領収書、会葬礼状、口座情報、保険証などです。事前に確かめてください。

労災で亡くなった場合は、葬祭料または葬祭給付が別に支給されます。労働基準監督署が窓口です。

見積書と請求書が違ったとき

参列者が想定より増えれば、金額は上がります。これは正当な増加です。

問題になるのは、説明も同意もないまま加わった項目です。

根拠となる条文 — 説明されなかったときの考え方

事業者が消費者の利益となることだけを告げ、不利益となる事実を故意または重大な過失により告げなかった場合、消費者はその契約の意思表示を取り消すことができます(消費者契約法4条2項)。

法令の規定に比べて消費者の権利を制限し、または義務を加重する条項であって、信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものは無効です(同法10条)。

事業者は、消費者契約の内容について必要な情報を提供するよう努めるものとされています(同法3条1項2号)。

まずは、単価と数量の説明を求めてください。数量は事実で検算できます。

会葬者名簿と香典帳の人数を、返礼品の数と突き合わせるだけです。

国民生活センターが2026年6月3日に公表した資料によると、葬儀サービスに関する相談は2025年度に917件で、うち52.6%が料金に関するものでした。

参列者の人数はどう見込むか

人数が読めないと、飲食と返礼品の金額も読めません。先に決めておくと楽になります。

見込み方は難しくありません。連絡する相手を、紙に書き出すだけです。

  1. 同居の家族と、その配偶者
  2. 別居の子・孫と、その配偶者
  3. 故人の兄弟姉妹と、その配偶者
  4. 故人の友人・近所の方
  5. 故人が勤めていた会社の関係者
  6. 喪主の会社関係・取引先

一般葬では、5番と6番が入ります。ここで人数が大きく動きます。

会社関係は、把握が難しい部分です。勤務先の総務に確かめると、見当がつきます。

多めに見込んで、後から減らすほうが安全です。料理は減らせても、当日に増やすのは難しいことがあります。

返礼品は、余った分を返品できる契約もあります。条件を聞いておいてください。

契約前に聞く5つの質問

急いでいる場面でも、この5つは聞いてください。数分で終わります。

答え方に会社の姿勢が出ます。数字で答える会社は、請求のときも数字で説明します。

答えをメモに残してください。後から確かめるときの材料になります。

同じ質問を2社にすると、比べやすくなります。答え方の違いが、そのまま姿勢の違いに出ます。

事前見積もりを無料で出す会社は多くあります。契約の義務はありません。

取った見積書は、家族が見つけられる場所に置いてください。本人だけが知っていると使えません。

数年で価格は変わります。目安として持ちつつ、契約の前には出し直してもらうのが確実です。

一般葬の契約 — 判をつく前に確認する項目
一般葬の契約 — 判をつく前に確認する項目(作図: 弁護士による葬儀ガード)

まとめ

一般葬の費用は、2つの要素でほぼ決まります。

  • 祭壇のランクと、式場の日数(基本料金)
  • 参列者の人数(飲食と返礼品)

香典で戻る分も計算に入れてください。実質の負担が見えます。

見積書は「単価×数量」でもらう。これだけで比べられます。落ち着いて確認すれば大丈夫です。