遺影写真の費用|含まれる範囲と追加になる場合

1枚分はプランに含まれるのが通常です。追加や引き伸ばしで金額が動きます

「遺影のお写真をご用意ください」と言われ、慌てて探していませんか。

費用の面から言えば、心配は少ない項目です。遺影は1枚分がプランに含まれるのが通常です。

金額が動くのは、追加で焼き増しをしたり、額を上位品にしたりする場合です。仕組みを知っておけば、迷いません。

遺影の費用は、どこで動くのか
遺影の費用は、どこで動くのか(作図: 弁護士による葬儀ガード)

プランに含まれる範囲

まず、見積書を確かめてください。「遺影写真」の行があるはずです。

含まれるのは、次の3つが一般的です。

  1. 写真の加工(背景の修正、服装の変更、色の調整)
  2. 引き伸ばしとプリント(四つ切りサイズが標準)
  3. 額(黒縁や木目の標準品)

このセットで1枚分です。祭壇に飾る大きい写真がこれにあたります。

多くのプランでは、これに加えて小さいサイズが1枚付きます。焼香台や後飾り壇に置く用です。

含まれる枚数は会社によります。「何枚まで含まれますか」と聞いてください。

見積書に「遺影写真一式」と書かれている場合は、内訳を確かめてください。

サイズの標準は四つ切り(約25cm×30cm)です。祭壇の大きさに合わせて決まります。

額の色は、黒縁が標準です。木目や白を選べる会社もあります。追加料金の有無を聞いてください。

追加になるのはどんな場合か

金額が動くのは、標準を超えたときです。次の場合に追加が生じます。

追加の内容目安
焼き増し(四つ切り)1枚5,000〜1万円
焼き増し(キャビネ・L判)1枚1,000〜5,000円
額の上位品5,000〜3万円
大幅な修正(複数人からの切り出し等)3,000〜1万円
データでの納品無料〜5,000円

親族に配るために焼き増しをすると、枚数分の費用がかかります。

先に「何枚必要か」を決めてください。後から追加すると、単価が上がることがあります。

額は、標準品でも失礼にあたりません。故人の雰囲気に合わせて選んで構いません。

写真の選び方

いちばん大事なのは、顔がはっきり写っていることです。ここを優先してください。

  • ピントが合っている
  • 顔が大きく写っている(集合写真の端は避ける)
  • 正面か、やや斜めを向いている
  • 表情が自然である

服装や背景は、修正できます。旅行先の写真でも、普段着の写真でも使えます。

「礼服の写真がない」と心配する必要はありません。修正で着せ替えができます。

古い写真は、画質が粗いことがあります。引き伸ばすとぼやけるため、なるべく新しいものを選んでください。

複数の候補を出して、家族で選ぶ形が確実です。迷ったら葬儀社に見てもらってください。

担当者は、日常的に写真を見ています。使えるかどうかをその場で判断できます。

集合写真から切り出す場合、顔が小さいと粗くなります。可能なら別の写真を探してください。

眼鏡の反射や、帽子の影も修正できます。まず相談してみてください。

写真の渡し方

渡し方は3つあります。早いのはデータです。

渡し方特徴
データ(スマートフォン・USB)いちばん早い。画質もよい
プリント写真(原本)スキャンする手間がかかる
アルバムごと持参選ぶ時間が必要

スマートフォンの写真でも十分に使えます。近年の機種なら画質は足ります。

データは、メールやメッセージアプリで送れることがあります。担当者に確かめてください。

送るときは、加工していない元のデータを送ってください。圧縮されると画質が落ちます。

原本のプリント写真を渡す場合は、返却されるかを確かめてください。大切な1枚であれば、その旨を伝えます。

アルバムから外せない場合は、その場でスマートフォンで撮る方法もあります。

撮るときは、明るい場所で真上から撮ってください。斜めから撮ると歪みます。

アルバムのフィルムが反射することがあります。フィルムを外せるなら外してください。

古いアルバムは、写真が貼り付いていることがあります。無理に剥がさないでください。

時間の目安

遺影は、通夜までに仕上げます。時間の余裕は多くありません。

  • 写真を渡してから、仕上がりまで数時間から半日
  • 通夜の当日午前中までが目安
  • 修正が多い場合は、さらに時間がかかる

亡くなった当日に決められないこともあります。その場合は、早めに担当者へ相談してください。

暫定の写真で通夜を行い、告別式で差し替える対応が取られることもあります。

直葬や火葬式では、遺影を用意しない選択もできます。必須の品ではありません。

後日、改めて用意する形でも構いません。四十九日までに間に合えば足ります。

家族の希望を優先してください。決まった作法があるわけではありません。

急いで決めるより、納得できる1枚を選ぶほうが、後に残ります。

写真は、葬儀が終わってからも長く目にするものです。家族の合意を優先してください。

高齢の親族が「この写真がよい」と言うことがあります。理由を聞いて、判断してください。

複数の候補で迷ったら、仕上がりのイメージを見せてもらう方法もあります。

図で整理: 遺影を用意するまで
図で整理: 遺影を用意するまで(作図: 弁護士による葬儀ガード)

葬儀の後に使う場面

遺影は、葬儀が終わってからも使います。ここを見越して枚数を決めてください。

  1. 後飾り壇(自宅に置く一時的な祭壇)に飾る
  2. 四十九日の法要で飾る
  3. 仏間や居間に掛ける
  4. 親族に配る

大きい写真は、飾る場所に困ることがあります。小さいサイズを併せて作る家庭が多くあります。

近年は、A4程度の大きさを選ぶ例も増えています。飾りやすさで選んで構いません。

データをもらっておけば、後から自分で印刷できます。これがいちばん自由度が高い方法です。

「データでいただけますか」と頼んでください。無料で応じる会社もあります。

データがあれば、法要のたびに印刷し直せます。額のサイズも自由に選べます。

年賀欠礼のはがきや、記念の冊子に使うこともできます。

受け取ったデータは、複数の場所に保管してください。1か所だけだと失われることがあります。

請求書の確かめ方

請求書が届いたら、遺影の行を確かめてください。含まれる分と追加分が分かれているはずです。

「一式」とだけ書かれている場合は、枚数とサイズの内訳を求めてください。

頼んでいない焼き増しが載っていれば、その点を伝えてください。事実で確かめられる項目です。

手元にある写真の枚数を数えれば、請求と照らせます。難しい作業ではありません。

額のランクは、実物を見れば分かります。カタログと見比べてください。

差が数千円であれば、確認だけで済ませる判断もあります。金額の大きさで決めて構いません。

頼んでいない追加があった場合

説明も同意もないまま追加されていた場合の考え方です。

根拠となる条文 — 説明されなかったときの考え方

事業者が消費者の利益となることだけを告げ、不利益となる事実を故意または重大な過失により告げなかった場合、消費者はその契約の意思表示を取り消すことができます(消費者契約法4条2項)。

法令の規定に比べて消費者の権利を制限し、または義務を加重する条項であって、信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものは無効です(同法10条)。

法律上の原因なく他人の財産によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者は、その利益の存する限度において返還する義務を負います(民法703条)。

もっとも、実務では枚数の確認から始めるのが現実的です。数量は事実で確かめられます。

「四つ切りを3枚と請求されていますが、頼んだのは1枚です」。この形で聞けば足ります。

国民生活センターが2026年6月3日に公表した資料によると、葬儀サービスに関する相談は2025年度に917件で、うち52.6%が料金に関するものでした。

生前に用意しておく

近年は、元気なうちに遺影を撮っておく方が増えています。写真館で撮影する形です。

  • 表情や服装を自分で選べる
  • 家族が慌てて探さなくてよい
  • 撮影の費用は1万円から3万円程度

撮った写真は、家族が分かる場所に置いてください。データも渡しておくと確実です。

エンディングノートに、写真の保管場所を書いておく方法もあります。

写真館では、遺影用の撮影プランを設けているところがあります。自然な表情で撮ってもらえます。

数年おきに撮り直す方もいます。直近の姿のほうが、参列者の記憶と合います。

家族で撮影に行く形にすれば、負担も軽くなります。

免許証や証明写真は、表情が硬くなりがちです。できれば別に撮っておくほうが自然です。

費用の全体の中での位置づけ

株式会社鎌倉新書の「第7回 お葬式に関する全国調査」(2026年)によると、葬儀の総額平均は96.73万円、基本料金の平均は72.02万円でした。

遺影の費用は、その中では小さい部分です。数万円の範囲に収まることがほとんどです。

とはいえ、焼き増しを重ねると金額が積み上がります。枚数を先に決めておいてください。

金額の大きい費目(祭壇・飲食・返礼品)を確かめたうえで、こちらも見る、という順番で構いません。

確認は、金額の大きい順に行うのが効率的です。時間も気力も限られています。

すべてを完璧に確かめる必要はありません。納得できるところまでで構いません。

相続税での扱い

遺影の費用は、葬式費用として控除できると整理されるのが一般的です。

根拠となる条文 — 葬式費用の控除

相続または遺贈により財産を取得した者が被相続人の葬式費用を負担した場合には、その負担した金額を課税価格から控除するとされています(相続税法13条1項2号)。

葬式に際して施与した金品で、被相続人の職業・財産その他の事情に照らして相当と認められるものに要した費用は、葬式費用に含まれるとされています(相続税法基本通達13-4)。

一方、香典返しの費用や、墓碑・墓地の購入費は控除できません(国税庁タックスアンサー No.4129)。

領収書は、葬儀費用の他の項目とまとめて保管してください。5年から7年が目安です。

判断に迷うときは、税理士か税務署に確かめてください。相談だけなら費用はかかりません。

領収書は、葬儀社の請求書とまとめて封筒に入れておくと探しやすくなります。

写真館で別に撮影した費用は、葬儀費用とは扱いが異なります。生前の支出だからです。

遺影の費用 — 決める前の確認項目
遺影の費用 — 決める前の確認項目(作図: 弁護士による葬儀ガード)

まとめ

遺影は、費用より写真選びが大事な項目です。

  • 1枚分はプランに含まれるのが通常。枚数を確かめる
  • 顔がはっきり写った写真を選ぶ。服装は修正できる
  • データをもらっておけば、後から自由に印刷できる

慌てて選ぶ必要はありません。落ち着いて選べば大丈夫です。