葬儀紹介会社の手数料の仕組み|誰が負担しているのか

利用者は無料です。ただし手数料は消えるわけではなく、葬儀費用に反映されます

葬儀紹介会社の手数料の仕組み|誰が負担しているのか

葬儀の紹介サイトやコールセンターは、たいてい利用者から料金を取りません。

では、どこから収益を得ているのか。成約したときに、提携先の葬儀社から手数料を受け取る仕組みです。

この手数料は、葬儀社にとっては受注のためのコストです。コストは、最終的に契約者が支払う葬儀費用に反映されます。

つまり、誰も負担していないわけではありません。仕組みを知ったうえで使えば有用な窓口です。ただ、「中立な立場からの助言」とは性質が違います。

葬儀紹介会社の手数料の仕組みの全体像。判断が分かれる点を一枚で示す
葬儀紹介会社の手数料の仕組みの全体像。判断が分かれる点を一枚で示す(作図: 弁護士による葬儀ガード)

収益の仕組み

紹介事業者の収益は、次のいずれかの形が一般的です。

  • 成約した葬儀の代金に対する一定割合
  • 1件あたりの定額

いずれも、提携する葬儀社から支払われます。

この構造から、3つのことが導かれます。

導かれること意味
利用者は直接払わない相談も紹介も無料で使える
収益は成約と単価に連動する成約しないと収益にならない
提携先しか紹介されない地域のすべてが比較対象ではない

3つ目は、見落とされやすい点です。

紹介されるのは、提携している葬儀社の中からです。その地域で選べる葬儀社のすべてが候補に入っているわけではありません。

地元で長く営業している会社が、提携していないという理由で候補に出てこないこともあります。

手数料は、費用に反映されます

葬儀社の側から見れば、紹介手数料は受注のためのコストです。

コストが増えれば、価格に転嫁するか、内容を調整するか。どちらかになります。これは葬儀に限った話ではなく、紹介ビジネス一般の構造です。

このため、次のことが起こり得ます。

  • 紹介サイト経由のプランと、同じ葬儀社に直接依頼した場合のプランで、内容や価格が違う
  • 同じ価格でも、含まれる項目が違う

気になる場合は、紹介経由の見積書と、直接問い合わせた見積書を比べてみてください。

ただし、比べるときは条件をそろえる必要があります。

  1. 参列者数(料理と返礼品の数量に直結します)
  2. 式場(自治体の施設か、葬儀社の会館か)
  3. 安置日数(火葬場の予約状況で変わります)
  4. 火葬料(公営か民営か、住民かどうか)

条件がずれていると、総額の差が何から生じているのか分かりません。

なお、紹介経由のほうが安いこともあります。まとまった件数を扱うことで単価が下がる場合があるからです。必ず高くなるわけではありません。

定額プランとの関係

紹介事業者が提示する定額プランには、比較しやすいという利点があります。項目と価格が整理されているからです。

一方で、プランに含まれる範囲は事業者ごとに違います。そして、火葬料やお布施は別枠になっているのが通常です。

プランの外に残りやすい費目目安
火葬料無料〜十数万円(公営・民営で差が大きい)
式場使用料施設による
お布施・御車代・御膳料20万〜50万円が中心
料理・返礼品参列者の人数で変わる
追加の安置料・ドライアイス1日あたりの単価×日数

国民生活センターが2026年6月3日に公表した資料があります。そこでは、チラシに表示された金額と実際の契約額が大きく異なり、含まれるものも表示と違っていて納得できないという相談事例が紹介されています。

同じ資料によると、葬儀サービスに関する相談は2025年度で917件ありました。そのうち52.6%が「高価格・料金」に関するものです。

ですから、プラン価格ではなく、実費まで含めた総額の見積書を出してもらってください。

図で整理: 利用するときに確認すること
図で整理: 利用するときに確認すること(作図: 弁護士による葬儀ガード)

利用するときに確認すること

紹介サービスを使うこと自体に、問題はありません。

急いでいるときに複数の葬儀社をまとめて比較できるのは、実際に役立ちます。深夜でもつながる窓口があるのは大きな利点です。

使うときは、次の点を確認してください。

4つ目と5つ目は、トラブルが起きたときに効いてきます。

契約の相手方が誰かによって、請求や返金を求める先が変わります。

「紹介サイトに言ったのに」「施行した会社の責任です」と、たらい回しになることがあります。契約書の名義を、必ず確認してください。

また、実際に来る葬儀社が事前に分からないこともあります。地元の会社なのか、遠方から来るのか。搬送費に影響しますので、聞いておいてください。

根拠となる条文 — 契約の相手方を確かめる意味

契約は、内容を示した申込みに対して相手が承諾したときに成立します(民法522条1項)。書面がなくても、口頭で成立します(同条2項)。

誰と誰の間に契約が成立したかによって、債務不履行や契約不適合の責任を追及する相手が決まります。

また、事業者が重要な事項について事実と異なることを告げ、消費者がそれを事実であると誤認して契約した場合、その契約は取り消せます(消費者契約法4条1項1号)。この「事業者」が誰かも、契約の相手方によって決まります。

なぜ弁護士は紹介・斡旋をしないのか

このサービスでは、葬儀社の紹介・斡旋を行いません。葬儀社側から金銭を一切受け取ることもありません。

理由は2つあります。

ひとつは、法律上の要請です。弁護士が、非弁行為を行う者から事件の周旋を受けることは禁じられています。

もうひとつは、助言の中身の問題です。紹介料を受け取れば、助言の内容が紹介先の利益と切り離せなくなります。

見積書を見て「他社と比較したほうがよい」「この項目は削って差し支えない」と率直に言えるのは、どの葬儀社とも利害関係がないからです。

ここは、サービスの信頼の核にあたる部分だと考えています。

根拠となる条文 — 弁護士法27条・72条

弁護士は、弁護士法72条から74条までの規定に違反する者から事件の周旋を受け、またはこれらの者に自己の名義を利用させてはならないとされています(弁護士法27条)。

同法72条は、弁護士でない者が報酬を得る目的で法律事件に関して法律事務を取り扱うこと、またはこれらの周旋をすることを業とすることを禁じています。

これらの規定は、依頼者の利益と、法律事務の適正を確保するために置かれたものです。

比べ方のコツ

紹介サービスを使うにせよ使わないにせよ、比べ方は同じです。

同じ条件で、二社以上の総額の見積書を並べる。これに尽きます。

依頼するときの言い方を挙げておきます。

「参列者20名、通夜と告別式を行い、式場は◯◯を想定しています。火葬料やお布施を含めて、最終的にいくらになるかを見積書でいただけますか」

条件を先に示すと、比較できる形の書面が返ってきます。

参考までに、株式会社鎌倉新書の「第7回 お葬式に関する全国調査」(2026年)による平均額を挙げておきます。

形式平均
一般葬122.01万円
家族葬96.39万円
一日葬74.43万円
直葬・火葬式49.56万円

全体の平均は96.73万円です。この金額にお布施は含まれていません。

提示されたプラン価格がこの平均を大きく下回っている場合、安いのではなく含まれる範囲が狭い可能性があります。総額で見てください。

時間がないときは、どうするか

臨終直後は、比べる時間がありません。それでも押さえてほしいことが2つあります。

ひとつは、搬送と安置だけを先に頼むという方法です。病院からの搬送を依頼したからといって、葬儀まで同じ会社に頼む義務はありません。

搬送だけを依頼し、落ち着いてから葬儀社を選ぶ。この進め方が可能かどうか、確認してみてください。

もうひとつは、その場で契約書に署名しないことです。

内容を確認する時間がほしいと伝えて構いません。「今日中に決めていただかないと」と急かされたときこそ、いったん止まってください。

署名した人が、支払義務を負う立場になります。誰が署名するかも、その場で決めてしまわないでください。

葬儀紹介会社の手数料の仕組み — 支払う前・動く前に確認しておきたい項目
葬儀紹介会社の手数料の仕組み — 支払う前・動く前に確認しておきたい項目(作図: 弁護士による葬儀ガード)

「無料」と書かれているものの見分け方

葬儀に関するサービスには、「無料」と書かれたものがいくつもあります。何が無料なのかを、その都度確かめてください。

何が無料か実際のところ
相談・見積書の作成本当に無料であることが多い
紹介・マッチング利用者は払わないが、手数料は費用に反映される
資料請求無料。ただし営業の連絡が続くことがある
会員登録無料。割引と引き換えに登録を求める形が多い

見分け方は単純です。その事業者は、どこから収益を得ているのか。これを考えれば分かります。

収益源が提携先からの手数料であれば、成約が前提です。「まだ決めていない」と伝えたときの反応で、姿勢は見えてきます。

急かされる、断ってもかけ直してくる、他社と比べると言うと態度が変わる。こうした場合は、いったん距離を置いて構いません。

逆に、「他社とも比べてみてください」と言う事業者もあります。そうした対応をする会社は、内容に自信があるということです。

事前相談を使っておく

時間のあるうちに見積書を取っておくと、いざというときの判断がまったく違います。

事前相談を受け付けている葬儀社は多く、見積書の作成は無料であることがほとんどです。依頼する義務は生じません。

先に決めておくと、見積書の精度が上がるものが3つあります。

  1. 形式(一般葬・家族葬・一日葬・直葬のどれか)
  2. 参列者の見込み人数
  3. 菩提寺の有無

3番目は特に大切です。菩提寺があれば、お布施を別枠で見込む必要があります。ない場合は、葬儀社に手配を頼むかどうかの判断が加わります。

作ってもらった見積書は、家族と共有しておいてください。喪主になる人が決まっていない段階でも、金額の見当がついているだけで当日の判断が変わります。

そして、複数社から取っておくこと。1社だけでは、その金額が高いのか安いのか判断できません。2社あれば、比べる基準ができます。

紹介サービスを使うのは、この比較のうちの1つと考えるのが、いちばん無理のない使い方です。

まとめ

紹介サービスについて、覚えておくことは3つです。

  1. 手数料は費用に反映される。利用者が直接払わないだけです
  2. 比較対象は提携先だけ。地域のすべてが候補ではありません
  3. 契約の相手方を確かめる。トラブルのときに求める先が変わります

急いでいるときにまとめて比較できるのは、実際に役立ちます。仕組みを知ったうえで使えば、有用な窓口です。

提示された見積書が妥当かどうかを、利害関係のない立場から確かめたい。そう思われたときは、契約の前に相談してください。契約後より、契約前のほうがずっと選べることが多く残っています。