死亡診断書のコピーは何枚必要か|提出先ごとに整理

原本は役所に出すと戻りません。提出する前に、10枚ほどコピーを取ってください

死亡診断書を受け取った。そのまま役所に出そうとしていませんか。

一度提出すると、原本は戻ってきません。そして、その後の手続きで何度も必要になります。

だから、提出する前にコピーを取ってください。10枚ほどあれば、まず足ります。

コピーが必要になる場面
コピーが必要になる場面(作図: 弁護士による葬儀ガード)

死亡診断書とはどういう書類か

死亡診断書は、医師が死亡の事実を証明する書類です。A3の用紙の右半分が診断書、左半分が死亡届になっています。

病院で亡くなった場合は死亡診断書、それ以外で医師の診察を受けずに亡くなった場合は死体検案書が交付されます。役割は同じです。

根拠となる条文 — 死亡診断書と死亡届

医師は、自ら診察しないで治療をし、もしくは診断書もしくは処方せんを交付してはならず、自ら検案をしないで検案書を交付してはならないとされています(医師法20条)。

死亡の届出は、死亡の事実を知った日から7日以内に、届出義務者が行わなければなりません(戸籍法86条1項)。届書には、診断書または検案書を添付しなければならないとされています(同条2項)。

届出義務者は、同居の親族、その他の同居者、家主・地主・家屋管理人などとされています(同法87条1項)。同居していない親族も届出をすることができます(同条2項)。

死亡届は、火葬許可証の交付を受けるために必要です。届出をしないと、火葬ができません。

だから、提出は避けられません。避けられるのは、コピーを取らずに出してしまうことだけです。

葬儀社が提出を代行することも多くあります。その場合も、渡す前にコピーを取ってください。

「コピーを取ってから渡します」と伝えれば、待ってもらえます。数分の作業です。

急いでいる場面では忘れやすい作業です。受け取った時点で、すぐに取っておくのが確実です。

何枚必要か

必要な枚数は、故人の状況によって変わります。目安を挙げます。

状況目安
生命保険に複数加入していた保険会社の数だけ必要
金融機関の口座が複数ある金融機関ごとに求められることがある
年金を受給していた1〜2枚
勤務先がある1〜2枚
不動産や車を所有していた1〜2枚

多くの場合、5枚から10枚で足ります。心配なら、多めに取っておいてください。

故人が高齢で、財産や契約が少ない場合は、5枚程度で足りることもあります。

逆に、事業を営んでいた場合や不動産が複数ある場合は、多めに必要になります。

判断がつかないときは、10枚取っておけば困りません。使わなければ、それで構いません。

コピー代は1枚数十円です。後から再発行を頼むと、数千円かかります。最初に多めに取るほうが安く済みます。

コンビニのコピー機でも構いません。A3が使える機種を選んでください。

病院内にコピー機がある場合は、その場で取れます。看護師に聞けば案内してもらえます。

スマートフォンで撮影しておくのも有効です。原本の写真があれば、記載内容を後から確かめられます。

ただし、写真は提出書類としては使えないことが多くあります。あくまで控えとして残す位置づけです。

コピーが必要になる主な場面

提出先を整理します。すべてで必要になるわけではありませんが、求められることがあります。

  1. 生命保険の請求 — 保険会社ごとに1枚
  2. 簡易保険・共済 — それぞれ1枚
  3. 金融機関の相続手続き — 求められることがある
  4. 年金の受給停止・未支給年金の請求 — 1〜2枚
  5. 勤務先への提出 — 退職金や弔慰金の手続き
  6. クレジットカードの解約 — 求められることがある
  7. 携帯電話の解約 — 求められることがある

生命保険は、複数の会社に加入していることがあります。通帳の引き落とし履歴から、契約の有無を確かめてください。

保険証券が見つからない場合は、生命保険協会の照会制度が使えます。契約の有無を調べてもらえます。

保険金の請求は、比較的早く入金されます。書類がそろえば、数日から2週間程度で支払われることが多くあります。

葬儀費用の支払いに充てたい場合は、早めに請求してください。他の給付より入金が早い傾向があります。

請求に必要な書類は、保険会社によって異なります。まず電話で確かめてください。

コピーで足りるか、原本が必要か

手続きによって、求められるものが違います。

手続き必要なもの
死亡届の提出原本(提出して戻らない)
生命保険の請求コピーで足りることが多い
年金の手続き戸籍謄本や住民票で代えられることが多い
金融機関の相続手続き戸籍謄本が中心。診断書のコピーを求められることも
相続登記戸籍謄本(除籍謄本)で足りる

多くの手続きでは、戸籍謄本があれば足ります。死亡の事実は、戸籍に記載されるからです。

ただし、戸籍に反映されるまでには時間がかかります。死亡届を出してから1週間から10日程度が目安です。

その間に急いで手続きを進めたい場合に、死亡診断書のコピーが役に立ちます。急ぐ手続きの代表が、保険金の請求です。

金融機関に死亡を伝えると、口座が凍結されます。伝えるタイミングは、状況に応じて考えてください。

公共料金の引き落としが続いている場合、凍結されると引き落としが止まります。名義変更の準備と合わせて進めるのが安全です。

急ぐ支払いがある場合は、預貯金の仮払い制度を検討してください。一定額までは引き出せます。

戸籍謄本も並行してそろえる

死亡診断書のコピーとは別に、戸籍謄本が必要になります。

相続の手続きでは、故人の出生から死亡までの連続した戸籍が求められます。転籍や婚姻があると、複数の役所にまたがります。

法定相続情報一覧図を作れば、戸籍の束を1枚にまとめられます。法務局に申し出て交付を受ける制度です。

  • 交付手数料は無料
  • 何通でも交付を受けられる
  • 金融機関や法務局の手続きで、戸籍の束の代わりに使える

複数の金融機関で手続きする場合、この制度を使うと戸籍を何度も出し直す手間が省けます。

戸籍の収集には時間がかかります。転籍を繰り返している場合、複数の役所に請求することになります。

2024年から、本籍地以外の市区町村の窓口でも戸籍謄本を請求できる制度が始まりました。窓口で確かめてください。

郵送で請求する場合は、往復で2週間程度かかることがあります。余裕をもって始めてください。

後から必要になったとき

コピーが足りなくなった場合、方法が2つあります。

  1. 病院に死亡診断書の再発行を依頼する(費用がかかる)
  2. 役所で死亡届の記載事項証明書の交付を請求する

2つ目は、提出した死亡届の内容を証明する書類です。ただし、交付を受けられる場面が限られています。

  • 請求できるのは、原則として利害関係人
  • 使途が限られる(簡易保険の請求など)
  • 保管期間を過ぎると交付されないことがある

まずは病院に問い合わせるのが確実です。数千円の費用がかかりますが、手続きは簡単です。

再発行には、日数がかかることもあります。医師の記入が必要なためです。

急ぐ場合は、その旨を伝えてください。いつ受け取れるかを確かめてから、手続きの予定を立ててください。

なお、病院に記録が保存されている期間には限りがあります。年数が経っている場合は、早めに問い合わせてください。

図で整理: 原本・コピー・戸籍謄本の使い分け
図で整理: 原本・コピー・戸籍謄本の使い分け(作図: 弁護士による葬儀ガード)

提出前にやること

順番を決めておけば、迷いません。

1つ目は見落とされがちです。氏名の漢字や生年月日に誤りがあると、後の手続きで問題になります。

誤りが見つかったら、病院に連絡して訂正してもらってください。提出後の訂正は手間がかかります。

とくに、氏名の漢字は確かめてください。旧字体か新字体かで、後の手続きに影響することがあります。

戸籍の表記と一致しているかが基準です。戸籍謄本が手元にあれば、照らしてみてください。

生年月日も同じです。1日違うだけで、年金や保険の手続きで確認を求められます。

死亡届の提出は、葬儀社が代行することが多くあります。その場合も、コピーは自分で取ってから渡してください。

コピーは、封筒かクリアファイルにまとめて保管してください。使うたびに1枚ずつ取り出す形にします。

どの手続きに何枚使ったかを、簡単にメモしておくと残数が分かります。

家族の誰が保管しているかも、共有しておいてください。探す時間が省けます。

死亡届の提出先と期限

死亡届は、死亡の事実を知った日から7日以内に提出します。

提出先は、次のいずれかの市区町村です。

  • 死亡地
  • 故人の本籍地
  • 届出人の所在地

24時間受け付けている窓口が多くあります。夜間や休日は、宿直の窓口で受け付けます。

提出すると、火葬許可証が交付されます。これがないと火葬ができません。

葬儀社が代行する場合は、火葬許可証を受け取って火葬場に提出するところまで行うのが通常です。

記録として残しておくもの

手続きが一段落した後も、書類は保管してください。

書類保管の理由
死亡診断書のコピー後から必要になることがある
火葬許可証(火葬済の証明が押されたもの)納骨の際に必要
葬儀の領収書・明細給付の申請と相続税の申告に使う
戸籍謄本相続手続きで繰り返し使う

火葬許可証は、火葬後に火葬済の証明が押されて返されます。これが埋葬許可証として扱われ、納骨の際に必要になります。

紛失すると再発行の手続きが必要です。骨壺の箱に入れて渡されることが多いので、確かめてください。

納骨は、四十九日に合わせて行うことが多くあります。それまで手元に保管することになります。

保管場所は、家族が分かる場所にしてください。時間が経つと、どこにしまったか分からなくなります。

書類はまとめて1か所に置くのが確実です。領収書や戸籍謄本と一緒にしておいてください。

死亡診断書 — 提出前の確認項目
死亡診断書 — 提出前の確認項目(作図: 弁護士による葬儀ガード)

まとめ

死亡診断書は、提出する前にコピーを取ってください。

  • 原本は死亡届と一体。役所に出すと戻らない
  • コピーは10枚ほど。A3で取る
  • 記載内容の誤りは、提出前に確かめる

後から必要になったら、病院で再発行してもらえます。ただし費用がかかります。