介護保険の資格喪失届|14日以内の手続きと保険料の精算

期限は14日。あわせて、払いすぎた保険料が戻ることがあります

介護保険の被保険者証が手元にある。返さなければならないと聞いたけれど、期限が分からない。

期限は14日以内です。あわせて確かめてほしいことがあります。払いすぎた保険料が戻ってくることがあるのです。

反対に、不足分の請求が来ることもあります。どちらにしても、手続きは市区町村の窓口で済みます。

14日以内に窓口でまとめて済ませる
14日以内に窓口でまとめて済ませる(作図: 弁護士による葬儀ガード)

誰が対象になるのか

介護保険の被保険者は、年齢で2つに分かれます。

区分対象
第1号被保険者65歳以上の方
第2号被保険者40歳以上65歳未満で、医療保険に加入している方

65歳以上の方が亡くなった場合、資格喪失の届出が必要です。被保険者証も交付されています。

40歳以上65歳未満の方の場合、被保険者証が交付されているのは、要介護認定を受けている場合などに限られます。

手元に被保険者証があるかどうかで判断できます。分からない場合は、窓口で確かめてください。

被保険者証は、二つ折りの薄い証書です。保険証や高齢受給者証と一緒に保管されていることが多くあります。

施設に入居していた場合は、施設が預かっていることもあります。心当たりがなければ、施設に確かめてください。

見つからない場合でも、手続きは進められます。紛失の旨を伝えれば足ります。

期限は14日以内

届出の期限は、死亡の日から14日以内です。

根拠となる条文 — 資格喪失の届出

被保険者は、厚生労働省令で定めるところにより、市町村に対し、被保険者の資格の取得および喪失に関する事項その他必要な事項を届け出なければならないとされています(介護保険法12条1項)。

介護保険法施行規則では、資格を喪失した場合の届出について、14日以内に行うものと定められています。被保険者証を添えて提出します。

同居の親族などが、本人に代わって届出をすることができるとされています。実務上は、遺族が窓口で手続きします。

死亡届を提出すると、市区町村の内部で情報が共有されることがあります。それでも、被保険者証の返却は別に必要です。

期限を過ぎても、手続きはできます。ただし、保険料の精算や還付が遅れることがあります。

早めに済ませるほうが、他の手続きとも重なって効率的です。

同じ14日以内の期限がある手続きが、いくつもあります。まとめて窓口へ行くのが合理的です。

死亡届を出してから戸籍に反映されるまでには、1週間から10日ほどかかります。戸籍謄本が必要な手続きは、その後になります。

介護保険の資格喪失には、戸籍謄本が不要なことが多くあります。先に済ませられる手続きです。

手続きに必要なもの

窓口へ持っていくものを整理します。

  • 介護保険被保険者証
  • 介護保険負担割合証(交付されている場合)
  • 介護保険負担限度額認定証(交付されている場合)
  • 届出をする人の本人確認書類
  • 印鑑(不要な自治体もある)
  • 還付を受ける口座が分かるもの
  • 故人と届出をする人の関係が分かる書類(求められる場合)

負担割合証や負担限度額認定証も、交付されていれば返却します。手元にあるものは、まとめて持参してください。

紛失している場合でも、手続きはできます。窓口でその旨を伝えてください。

要介護認定を受けていた場合は、認定に関する書類も手元にあるかもしれません。あわせて持参してください。

ケアマネジャーが関わっていた場合は、その事業所にも連絡が必要です。サービスの停止手続きがあります。

利用していた事業所の一覧は、ケアプランに記載されています。手元にあれば、確かめてください。

還付がある場合に備えて、口座情報を持っていくと二度手間になりません。

保険料の精算

介護保険料は、年度単位で計算されています。年の途中で亡くなると、精算が必要になります。

状況結果
払いすぎていた還付される
不足していた不足分が請求される

第1号被保険者の保険料は、年金から天引きされていることが多くあります。この場合、死亡の月によって精算の仕方が変わります。

年金からの天引きは、亡くなった後に止まります。ただし、事務処理の都合で1回分が余分に引かれることがあります。その分は還付されます。

天引きではなく、納付書や口座振替で払っていた場合もあります。その場合は、未納分の請求が来ることがあります。

口座振替にしていた場合、口座が凍結されると引き落としができません。窓口に連絡し、支払い方法を確かめてください。

どちらの場合も、精算の結果は書面で通知されます。届いたら、内容を確かめてください。

還付は、相続人が受け取ることになります。誰が受け取るかを、家族で決めてから手続きしてください。

還付通知は、後日郵送されるのが通常です。転送の手続きをしていないと届かないことがあるため、送付先を窓口で伝えておいてください。

不足分の請求が来る場合もあります。その場合は、相続人が支払うことになります。

相続放棄を検討している場合は、支払う前に相談してください。財産から支払うと、処分と評価されるおそれがあります。

自分の財布から立て替える場合も、記録を残してください。後から精算するときに使います。

図で整理: 保険料の精算と還付の流れ
図で整理: 保険料の精算と還付の流れ(作図: 弁護士による葬儀ガード)

高額介護サービス費を確かめる

見落とされやすい制度です。

介護サービスの自己負担額が一定の上限を超えた場合、超えた分が払い戻される仕組みがあります。これが高額介護サービス費です。

亡くなった方が介護サービスを利用していた場合、未請求の分が残っていることがあります。

  • 支給の申請には期限がある(原則2年)
  • 相続人が請求できる
  • 過去にさかのぼって確かめられる

窓口で「高額介護サービス費の未支給分はありますか」と聞いてください。記録から確かめてもらえます。

該当があれば、申請の書類を案内されます。相続人であることを示す書類が必要になることがあります。

戸籍謄本が必要になる場合は、死亡が反映されるまで待つことになります。1週間から10日ほどかかります。

申請の期限には余裕があるため、慌てる必要はありません。まず該当の有無だけ確かめておいてください。

受け取る人が複数の相続人にまたがる場合は、代表者を決めて申請する形になることがあります。

同様に、医療費については高額療養費の制度があります。こちらも、死亡後に相続人が請求できます。

医療と介護の自己負担を合算する制度もあります。年間の負担が一定の上限を超えた場合に、超えた分が支給される仕組みです。

該当するかどうかは、窓口で確かめられます。「合算の制度に該当しますか」と聞いてください。

支給には申請が必要です。自動では振り込まれません。

施設に入居していた場合

介護施設に入居していた場合は、施設との精算も必要です。

手続き相手
利用料の精算施設
居室の明け渡し施設
預り金の返還施設
資格喪失の届出市区町村

施設の利用料は、日割りで精算されるのが通常です。最終の請求書を確かめてください。

居室の明け渡しには、期限が定められていることがあります。契約書を確かめ、日程を調整してください。

施設に預けていた金銭や物品がある場合は、返還を受けます。受け取りには、相続人であることを示す書類が必要です。

入居時に一時金を支払っていた場合は、返還の有無を確かめてください。契約書に償却の定めがあります。

短期間での退去や死亡の場合、未償却分が返還されることがあります。金額の計算方法を確かめてください。

契約書が見つからない場合は、施設に写しの交付を求められます。相続人であれば求められます。

相続放棄を検討している場合は、受け取る前に相談してください。財産の処分と評価されるおそれがあります。

居室に残された家財も同じです。持ち出したり処分したりすると、放棄ができなくなることがあります。

施設から片付けを求められても、その旨を説明してください。放棄の期限内であることを伝えれば、待ってもらえることがあります。

3か月では判断できないときは、家庭裁判所に期間の伸長を申し立てられます。期限が来る前に手続きしてください。

まとめて済ませる手続き

市区町村の窓口では、複数の手続きを扱っています。一度に済ませてください。

手続き期限
世帯主変更届14日以内
国民健康保険の資格喪失届14日以内
後期高齢者医療の資格喪失届14日以内
介護保険の資格喪失届14日以内
葬祭費の申請2年

葬祭費は、国民健康保険や後期高齢者医療の加入者が亡くなったときに支給されます。東京23区では7万円です。

金額は自治体によって異なります。1万円から5万円という例もあります。

故人が会社の健康保険に加入していた場合は、葬祭費ではなく埋葬料になります。申請先も異なります。

どちらに該当するかは、保険証の種類で分かります。手元にない場合は、窓口で確かめられます。

両方を受け取ることはできません。加入していた制度に応じて、どちらか一方になります。

申請には、葬儀を行ったことが分かる書類が必要です。会葬礼状や葬儀の領収書を持参してください。

領収書は、喪主の名前で発行されたものが必要になることが多くあります。宛名を確かめてください。

申請できるのは、実際に葬儀を行った人です。相続人でなくても構いません。

期限は2年です。長いようで、手続きに追われるうちに過ぎます。窓口へ行くときに、まとめて済ませてください。

自治体によっては、死亡に伴う手続きをまとめて案内する窓口があります。予約が必要な場合もあるため、まず電話してください。

手続きが進まないとき

必要な書類がそろわない、期限に間に合わないという場合もあります。

まず窓口に電話し、状況を説明してください。「何を持って行けばよいですか」と聞けば、案内してもらえます。

代理人が手続きする場合は、委任状を求められることがあります。書式は自治体によって異なります。

遠方に住んでいて窓口に行けない場合は、郵送で手続きできることがあります。可能かどうかを確かめてください。

期限を過ぎても、手続き自体はできます。放置せず、気づいた時点で連絡してください。

還付や給付には、それぞれ請求の期限があります。放置すると、受け取れなくなることがあります。

高額介護サービス費の請求期限は、原則として2年です。過去にさかのぼって確かめる価値があります。

分からないことは、窓口で聞いてかまいません。「他に手続きはありますか」と一言添えてください。

介護保険の手続き — 確認する項目
介護保険の手続き — 確認する項目(作図: 弁護士による葬儀ガード)

まとめ

介護保険の手続きは、14日以内に窓口で済ませてください。

  • 被保険者証と、交付されている各種の証を返却する
  • 保険料は日割りで精算される。還付がある場合は口座情報が必要
  • 高額介護サービス費の未請求分がないかを確かめる

世帯主変更届や葬祭費の申請と、まとめて済ませられます。