火葬許可証と埋葬許可証の違い|納骨まで必要になる書類

実は同じ1枚の紙です。火葬済の証明が押されると、名前と役割が変わります

火葬許可証と埋葬許可証。名前が似ていて、違いが分かりにくい書類です。

実は、多くの場合は同じ1枚の紙です。火葬が済んだ証明が押されると、納骨のときに使う書類として扱われます。

だから、火葬が終わって受け取った書類は、捨てずに保管してください。納骨まで必要になります。

1枚の書類が、名前を変えて使われます
1枚の書類が、名前を変えて使われます(作図: 弁護士による葬儀ガード)

2つの書類の関係

まず、法律上の枠組みを見ます。

根拠となる条文 — 埋葬・火葬の許可

埋葬または火葬を行おうとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、市町村長の許可を受けなければならないとされています(墓地、埋葬等に関する法律5条1項)。

墓地、埋葬等に関する法律施行規則では、火葬を行った火葬場の管理者が、許可証に火葬の年月日を記入して返還することとされています。この返還された許可証が、焼骨の埋蔵の際に必要になります。

墓地または納骨堂の管理者は、埋葬、埋蔵または収蔵の求めを受けたときは、正当の理由がなければ、これを拒んではならないとされています(同法13条)。

つまり、市区町村が出す許可は1つです。その許可証に火葬の記録が加わり、納骨のときの書類になります。

「埋葬許可証」という名称は、この状態の書類を指す通称として使われています。自治体によっては、書類の名称そのものが異なることもあります。

「埋火葬許可証」という名称を使う自治体もあります。呼び方が違っても、役割は同じです。

窓口で確かめるときは、「納骨のときに使う書類はどれですか」と聞くのが確実です。名称にとらわれる必要はありません。

なお、土葬を行う地域では、火葬を経ずに埋葬許可証が使われることがあります。現在はごく限られた地域です。

手続きの流れ

順番に見ていきます。

順番手続き書類
1死亡届の提出死亡診断書と一体の用紙
2火葬許可申請火葬許可申請書
3火葬許可証の交付火葬許可証
4火葬場へ提出火葬許可証
5火葬後に返却火葬済証明入りの許可証
6納骨のときに提出同上(埋葬許可証として)

死亡届と火葬許可申請は、同じ窓口で同時に行うのが通常です。葬儀社が代行することも多くあります。

火葬許可証がないと、火葬場は火葬を行えません。当日に忘れると、進行が止まります。

当日は、葬儀社が預かって持参することが多くあります。誰が持っているかを、前日までに確かめてください。

自分で持参する場合は、他の持ち物とまとめておきます。式の当日は慌ただしく、忘れやすい書類です。

万一忘れた場合は、すぐに葬儀社に伝えてください。役所へ取りに戻る対応が必要になります。

火葬が済むと、火葬の年月日を記入した許可証が返却されます。骨壺の箱に入れて渡されることが多くあります。

葬儀社が代行している場合、書類は葬儀社が火葬場へ提出します。返却も葬儀社が受け取ることがあります。

その場合、遺族の手元に渡るのは、火葬が終わった後です。渡されたかどうかを確かめてください。

代行の範囲を、契約の段階で確かめておくと安心です。どこまでやってもらえるかが分かります。

受け取った時点で確かめる

火葬が終わった直後は、慌ただしい時間です。だからこそ、その場で確かめてください。

箱に入れて渡された場合、そのまま自宅に置いておくと、納骨のときに探すことになります。

書類だけ取り出して、他の書類とまとめて保管する方法もあります。ただし、その場合はどこに入れたかを家族で共有してください。

納骨までは、四十九日を目安に数週間から数か月かかります。その間に紛失する例が実際にあります。

骨壺を仏壇の近くや押し入れに置いたまま、箱を開けないことがあります。中に書類が入っていても気づきません。

だから、受け取った時点で開けて確かめることに意味があります。数分の作業です。

書類だけ別に保管する場合は、骨壺の箱に「書類は別保管」とメモを入れておくと迷いません。

納骨のときに必要なもの

墓地や納骨堂に納骨する際は、書類の提出を求められます。

  • 火葬済の証明が押された許可証
  • 墓地の使用許可証(使用権を示す書類)
  • 印鑑
  • 埋葬する人の本人確認書類

必要書類は、墓地の管理者によって異なります。事前に確かめてください。

寺院墓地の場合は、宗派や檀家としての条件が定められていることもあります。書類とは別に、事前の相談が必要です。

条件が示されたら、墓地の使用規則の写しをもらってください。何が根拠かが分かります。

規則が見つからない場合は、慣行として何が求められてきたかを聞くことになります。親族の年長者が経緯を知っていることもあります。

書類だけそろえても納骨できないことがあります。早めに相談してください。

公営墓地や民営霊園では、書式が定められていることがあります。窓口で確かめてください。

納骨の日程も、事前に管理者と調整します。石材店に依頼して墓石を動かす場合は、その手配も必要です。

石材店の手配には日数がかかります。四十九日に合わせるなら、1か月前には連絡してください。

指定石材店の制度がある霊園では、業者を選べないことがあります。使用規則で確かめてください。

紛失した場合

なくしてしまっても、再発行を受けられます。

経過期間手続き
5年以内火葬を行った市区町村で再発行
5年を超える場合火葬場の火葬証明書などで対応

再発行の請求先は、火葬許可証を交付した市区町村です。死亡届を提出した窓口になります。

請求できるのは、原則として届出人や相続人などの利害関係人です。本人確認書類と、故人との関係が分かる書類を持参してください。

5年を超えている場合は、火葬場に火葬証明書の発行を依頼し、それをもとに手続きすることがあります。まず市区町村の窓口に相談してください。

再発行には手数料がかかることがあります。金額は自治体によって異なります。

手続きに日数がかかることもあります。納骨の予定が決まっている場合は、早めに動いてください。

なくしたことに気づいた時点で相談するのが確実です。納骨の直前では、間に合わないことがあります。

図で整理: 火葬から納骨までの書類の流れ
図で整理: 火葬から納骨までの書類の流れ(作図: 弁護士による葬儀ガード)

分骨する場合

遺骨を分けて、複数の場所に納める場合があります。この場合、書類が別に必要です。

火葬場で分骨する場合は、火葬場の管理者に分骨証明書の発行を依頼します。火葬の当日に申し出るのが確実です。

すでに納骨した遺骨を分ける場合は、墓地の管理者に証明を依頼します。分骨した数だけ証明書が必要になります。

  • 分骨する数を、事前に決めておく
  • 骨壺も、その数だけ用意する
  • 証明書は、納骨先ごとに提出する

当日に申し出れば、その場で対応してもらえます。後から依頼すると、手続きが増えます。

手元供養として自宅に置く場合は、証明書が不要なこともあります。ただし、後で納骨する可能性があるなら、取っておくほうが安全です。

分骨証明書の発行に、費用がかかることがあります。金額は火葬場によって異なります。

散骨する場合の扱いは、納骨とは異なります。自治体の条例で制限が設けられていることもあります。

海洋散骨などを検討している場合は、事業者に必要な書類を確かめてください。

すでに納めた遺骨を移す場合(改葬)

一度納骨した遺骨を別の場所に移す場合は、改葬の手続きが必要です。

根拠となる条文 — 改葬の許可

改葬を行おうとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、市町村長の許可を受けなければならないとされています(墓地、埋葬等に関する法律5条1項)。

改葬の許可は、死体または焼骨の現に存する地の市町村長が行うとされています(同条2項)。

墓地または納骨堂の管理者は、改葬の求めを受けたときは、正当の理由がなければ、これを拒んではならないとされています(同法13条)。

改葬許可の申請には、現在の墓地の管理者が発行する埋蔵の証明が必要になるのが通常です。

遺骨1体ごとに許可が必要になります。先祖の遺骨が複数ある場合は、その数だけ申請します。

新しい納骨先の受入証明書も求められます。手続きの順番は、市区町村の窓口で確かめてください。

保管の仕方

納骨までの間、書類をどう保管するかを決めておいてください。

一緒に保管するとよいもの理由
火葬済証明入りの許可証納骨で使う
死亡診断書のコピー各種手続きで使う
葬儀の領収書・明細給付の申請と相続税の申告で使う
戸籍謄本相続手続きで繰り返し使う

封筒かクリアファイルにまとめ、家族が分かる場所に置いてください。

「誰が持っているか」を共有しておくことも大切です。納骨の直前に探し始めると、間に合わないことがあります。

写真に撮っておくのも有効です。紛失に気づいたときに、内容を説明しやすくなります。

保管する場所は、家族の複数人が知っている場所にしてください。一人しか知らないと、探すことになります。

保管している人が誰かを、法要のたびに確かめておくのも一つの方法です。

書類は、納骨が終わるまで必要です。終わったら、墓地の使用許可証と一緒に保管してください。

急いで納骨しなくてよい理由

遺骨を、いつまでに納めなければならないという法律上の期限はありません。

四十九日や一周忌に合わせる慣習はありますが、それは決まりではありません。決まらないうちは、手元に置いておけます。

納骨先を決めかねている場合は、次の方法があります。

  1. 自宅で保管する(手元供養)
  2. 寺院や霊園の一時預かりを利用する
  3. 納骨堂の期限付き区画を使う

一時預かりは、月額や年額で費用がかかることがあります。期間と費用を確かめてから決めてください。

預かってもらう場合も、書類は自分で保管するのが通常です。納骨の際に提出します。

預ける前に、返却の条件と手続きを確かめてください。引き取る際に必要な書類があります。

家族の意見が割れているときは、無理に決めないでください。預けている間に相談を続けられます。

急いで決めた納骨先は、後から変えるのに手間がかかります。改葬の手続きが必要になるためです。

火葬後の書類 — 納骨までの確認項目
火葬後の書類 — 納骨までの確認項目(作図: 弁護士による葬儀ガード)

まとめ

火葬許可証と埋葬許可証は、同じ書類であることがほとんどです。

  • 火葬後に返却される書類が、納骨で使う書類になる
  • 骨壺の箱に入っていることが多い。受け取った時点で確かめる
  • 紛失しても再発行を受けられる。まず市区町村の窓口へ

納骨に期限はありません。落ち着いて決めてください。