臨終のあとの流れ|最初の数時間にやること

急ぐのは3つだけです。死亡診断書を受け取る、搬送先を決める、家族に連絡する

いま、目の前で家族が亡くなった。何をすればよいのか分からない。

急ぐことは、実は3つだけです。死亡診断書を受け取る、搬送先を決める、家族に連絡する。この3つが済めば、あとは落ち着いて決められます。

葬儀の内容も、費用も、その場で決める必要はありません。

最初の数時間にやること
最初の数時間にやること(作図: 弁護士による葬儀ガード)

最初の1時間にやること

病院で亡くなった場合、医師が死亡を確認します。その後、看護師が身体を清める処置を行うことが多くあります。

その間に、こちらが進めることは3つです。

病院からは、早めの搬送を求められることが多くあります。安置できる時間に限りがあるためです。

だからといって、慌てて葬儀の契約をする必要はありません。搬送と葬儀は、別の話です。

深夜や早朝でも、葬儀社は搬送に対応しています。24時間受け付けている会社がほとんどです。

連絡するときは、病院名、故人の氏名、搬送先の希望を伝えます。搬送先が決まっていなくても、まず電話して構いません。

「搬送先はこれから決めます」と伝えれば、選択肢を教えてもらえます。

死亡診断書は必ず受け取る

死亡診断書は、その後のほぼすべての手続きの起点になります。

根拠となる条文 — 死亡診断書と死亡届

医師は、自ら診察しないで治療をし、もしくは診断書もしくは処方せんを交付してはならず、自ら出産に立ち会わないで出生証明書もしくは死産証書を交付し、または自ら検案をしないで検案書を交付してはならないとされています(医師法20条)。

死亡の届出は、死亡の事実を知った日から7日以内に、届出義務者が行わなければなりません(戸籍法86条1項)。届書には、診断書または検案書を添付しなければならないとされています(同条2項)。

届出義務者は、同居の親族、その他の同居者、家主・地主・家屋管理人などとされています(同法87条1項)。同居していない親族も届出をすることができます(同条2項)。

死亡診断書は、死亡届と一体の用紙になっています。右半分が診断書、左半分が死亡届です。

役所に提出すると戻ってきません。だから、提出する前にコピーを取っておいてください。

コピーは、保険金の請求、年金の手続き、金融機関の手続きなどで使います。5枚から10枚ほどあると安心です。

死亡診断書の発行には費用がかかります。数千円が一般的で、病院によって異なります。

追加で原本が必要になった場合は、病院で再発行してもらえます。ただし、その都度費用がかかります。

だから、最初にコピーを多めに取っておくほうが安く済みます。コンビニでも構いません。

搬送先を決める

病院の霊安室に長く置いておくことはできません。数時間以内の搬送を求められるのが一般的です。

選択肢は2つです。

搬送先特徴
自宅費用が抑えられる。搬入経路と部屋の広さの確認が必要
安置施設保冷設備がある。1日あたりの使用料がかかる

自宅に安置する場合、マンションではエレベーターの寸法が問題になることがあります。事前に確かめてください。

安置施設を使う場合は、1日あたりの費用と、面会できる時間を確かめます。日数が延びると、費用も増えます。

どちらにするか決められないときは、まず安置施設に運んでもらい、後で判断する方法もあります。

後から自宅へ移すこともできます。ただし、搬送費が別にかかります。

自宅を選ぶ場合、季節も判断の材料です。夏場は室温の管理が必要になり、空調を止められません。

家族が交代で付き添えるかどうかも考えてください。負担が大きいと感じるなら、施設のほうが休めます。

病院で紹介された葬儀社への対応

病院から葬儀社を紹介されることがあります。断りにくい場面です。

ただし、紹介された会社に依頼する義務はありません。また、搬送を頼んだからといって、葬儀の契約を結ぶ義務も生じません。

伝え方は簡単です。

  • 「搬送だけお願いします。葬儀は後で決めます」
  • 「自分で葬儀社を探しますので、少し時間をください」

国民生活センターが2026年6月3日に公表した資料では、病院で紹介された葬儀社を利用した事例が相談として取り上げられています。

自分で決めたい場合は、その旨を病院に伝えてください。院内で待てる時間には限りがあるため、早めに連絡先を調べておくと落ち着いて動けます。

紹介された会社に搬送を頼む場合も、料金を確かめてください。「搬送料はいくらですか」と聞くだけで足ります。

「搬送無料」と言われたら、条件を確かめます。自社で葬儀を行う場合に限る、という条件が付いていることがあります。

条件を確かめずに依頼すると、後から搬送料を請求されることがあります。断るために必要な情報です。

その場で決めなくてよいこと

急いでいると、すべてを今決めなければならない気がします。実際は違います。

決めること急ぐか
搬送先・安置場所急ぐ
火葬場の予約1日以内
葬儀の形式・規模1〜2日の余地がある
祭壇・棺のランク前日まで変更できることが多い
料理・返礼品の数量締切まで調整できる

急ぐのは、上の2つだけです。それ以外は、落ち着いてから決められます。

打ち合わせの席で「今決めないと間に合いません」と言われたら、「今日決めないと何が困りますか」と聞いてください。答えられない項目は、急いでいない項目です。

一人で決めなくても構いません。「家族と相談してから決めます」と伝えれば、その場は止まります。

打ち合わせに家族の誰かに同席してもらうのも有効です。電話をつないだままでも構いません。

決めた内容は、その場でメモに残してください。日時と担当者名も一緒に書いておきます。

家族への連絡

連絡する範囲は、段階を分けると混乱しません。

  1. すぐに知らせる — 同居の家族、兄弟姉妹、子
  2. 日程が決まってから — 親族、親しい友人
  3. 葬儀の後でよい — 会社関係、遠い知人、近隣

すぐに知らせる相手には、亡くなったことだけを伝えれば足ります。日程はまだ決まっていなくて構いません。

家族葬にする場合は、どこまで知らせるかを先に決めてください。知らせた範囲が、そのまま参列者の見込みになります。

参列を遠慮してもらう場合は、その旨をはっきり伝えてください。伝え方が曖昧だと、当日に人数が増えます。

人数が増えると、料理と返礼品が追加になります。費用にも直接影響します。

後日あらためて知らせる方法もあります。葬儀を終えてから、書面で報告する形です。

会社への連絡は、勤務先の総務部門にまとめて伝えるのが確実です。忌引きの手続きも同時に進みます。

故人が勤務していた場合は、その勤務先にも連絡が必要です。給与や退職金、社会保険の手続きが生じます。

会社の弔慰金や、健康保険の埋葬料の手続きも、勤務先を通すことが多くあります。

連絡する相手を一覧にしておくと、抜けが防げます。紙に書き出して、済んだものに印をつけてください。

図で整理: 搬送の依頼と葬儀契約は別のもの
図で整理: 搬送の依頼と葬儀契約は別のもの(作図: 弁護士による葬儀ガード)

自宅や施設で亡くなった場合

病院以外で亡くなった場合は、流れが変わります。

かかりつけ医がいる場合は、まず医師に連絡します。医師が死亡を確認し、死亡診断書を作成します。

かかりつけ医がいない場合や、急な死亡の場合は、警察に連絡することになります。この場合、検視や検案が行われます。

  • 現場をそのままにしておく(動かさない)
  • 警察の指示に従う
  • 死体検案書が交付される(費用がかかる)

検案が済むまでは、搬送も葬儀の準備も進められません。日数がかかることもあります。

死体検案書は、死亡診断書と同じ役割を持ちます。死亡届に添付して提出します。

検案書の費用は、死亡診断書より高くなることがあります。数万円になる例もあります。

警察の対応中は、遺体に触れることができません。搬送も、許可が出てからになります。

この間にできるのは、家族への連絡と、搬送先の検討です。落ち着いて待ってください。

24時間は火葬できません

亡くなってすぐに火葬することはできません。法律で時間が定められています。

根拠となる条文 — 火葬までの時間と許可

埋葬または火葬は、原則として死亡または死産の後24時間を経過した後でなければ行ってはならないとされています(墓地、埋葬等に関する法律3条)。

埋葬または火葬を行おうとする者は、市町村長の許可を受けなければなりません(同法5条1項)。この許可を書面にしたものが火葬許可証です。

墓地の管理者は、埋葬または焼骨の埋蔵の求めを受けたときは、正当の理由がなければ、これを拒んではならないとされています(同法13条)。

実際には、火葬場の予約状況によって、さらに日数がかかります。都市部では数日から1週間以上待つこともあります。

その間の安置費用が発生します。1日あたりいくらかを、契約の段階で確かめておいてください。

費用の見通しを立てる

葬儀の形式を決める前に、総額の目安を知っておくと判断が楽になります。

株式会社鎌倉新書の「第7回 お葬式に関する全国調査」(2026年)による平均は、次のとおりです。

形式平均費用
全体96.73万円
家族葬96.39万円
一日葬74.43万円
直葬・火葬式49.56万円

この金額に、火葬料や宗教者へのお礼が含まれていないことがあります。「この見積もりに入っていない支払いは何ですか」と聞いてください。

予算がはっきりしているなら、金額を先に伝えるのが早道です。「一式で◯◯万円まで」と言えば、その範囲で組んでもらえます。

支払いに不安がある場合は、その時点で伝えてください。形式を見直す、支払期限を相談するといった選択肢が出てきます。

葬祭費や埋葬料は、申請から入金まで1〜2か月かかります。葬儀の支払期限には間に合わないことが多くあります。

その事情も、契約の段階で伝えておいてください。後から言うより、条件を組み替えてもらいやすくなります。

臨終後 — 最初の数時間の確認項目
臨終後 — 最初の数時間の確認項目(作図: 弁護士による葬儀ガード)

まとめ

最初の数時間でやることは、3つだけです。

  • 死亡診断書を受け取り、提出前にコピーを取る
  • 搬送先を決めて、搬送を依頼する
  • 近い家族に連絡する

葬儀の内容と費用は、その場で決めなくて構いません。落ち着いてから決めてください。