一日葬とは|流れとデメリット

通夜を省く形式です。減るのは飲食費だけで、式場代と安置料は残ります

一日葬とは|流れとデメリット

一日葬は、通夜を行わず、告別式と火葬を一日で済ませる形式です。

平均費用は74.43万円。家族葬(96.39万円)より約22万円低くなります。

ただし、通夜を省いた分だけ半額になるわけではありません。省けるのは通夜にかかる変動費だけで、式場や祭壇といった費用はそのまま残ります。

そしてもうひとつ。式場使用料が二日分計上されていることがあります。ここが見落とされやすいところです。

一日葬とはの全体像。判断が分かれる点を一枚で示す
一日葬とはの全体像。判断が分かれる点を一枚で示す(作図: 弁護士による葬儀ガード)

当日の流れ

通夜がないだけで、当日の進み方は告別式と同じです。

いつ何をするか
前日まで搬送・安置、納棺、死亡届と火葬許可申請
当日の朝安置場所から式場へ移し、供花や遺影を設置
告別式1時間前後。読経、焼香、弔辞など
出棺・火葬火葬場へ移動し、火葬と収骨
精進落とし式場や別会場で行う場合と、省略する場合がある

朝から始めて、午後には終わる日程が一般的です。

遠方の親族や高齢の参列者の負担が小さいことが、最大の利点です。宿泊を伴わずに参列できます。

なお、手続きの期限は他の形式と変わりません。

根拠となる条文 — 死亡届と火葬の手続き

死亡の届出は、届出義務者が死亡の事実を知った日から7日以内にしなければなりません(戸籍法86条1項)。国外で死亡した場合は3か月以内です。

火葬には市町村長の許可が必要で、許可を受けると火葬許可証が交付されます(墓地、埋葬等に関する法律5条1項、8条)。

火葬は、死亡または死産後24時間を経過した後でなければ行えません(同法3条)。火葬場は、火葬許可証を受理した後でなければ火葬を行えません(同法14条3項)。

費用が思ったほど下がらない理由

株式会社鎌倉新書の「第7回 お葬式に関する全国調査」(2026年)によると、一日葬の平均費用は74.43万円、実施割合は11.9%でした。

同じ調査は、葬儀費用を3つに分けています。

区分平均通夜を省くと
基本料金72.02万円ほぼ変わらない
飲食費11.67万円通夜振る舞いの分が減る
返礼品費13.03万円通夜の分が減る

一日葬で確実に減るのは、通夜振る舞いの飲食費と、通夜の返礼品費です。それ以外は残ります。

通夜の有無にかかわらずかかるのは、次のものです。

  • 祭壇、棺、遺影、骨壺などの物品
  • 霊柩車と寝台車の費用
  • 遺体の搬送・安置料とドライアイス代
  • 火葬料
  • お布施

安置料は、通夜をするかどうかとは関係ありません。火葬までの日数で決まります。通夜を省いても、火葬場の予約が数日先なら、その分の安置料はかかります。

式場使用料が二日分になっていないか

ここが、一日葬でいちばん見落とされる点です。

式場によっては、通夜を行わなくても前日から場所を押さえる必要があります。

その場合、二日分の使用料が請求される契約になっていることがあります。

「一日しか使わないから一日分」とは限りません。見積書に、式場使用料が何日分で計上されているかを確認してください。

同じことが、祭壇の設営費にも当てはまります。前日に設営する場合、その日から費用が発生することがあります。

一日葬を選んだのに家族葬とあまり変わらなかった、という相談の多くは、この二日分の計上が原因です。

一日葬のデメリット

利点と裏表の関係で、次のような点が指摘されます。

参列できない人が出ます。通夜は夕方以降に行われるため、仕事のある人が参列しやすい枠でした。これがないと、日中に来られない人は機会を失います。

お別れの時間が短くなります。故人と過ごす最後の夜がなくなります。遺族自身が後から「もう少し時間がほしかった」と感じる例があります。

菩提寺の理解が必要です。宗派や寺院によっては、通夜と告別式を一連の儀式として位置づけていることがあります。事前に相談せずに決めると、日程や読経の内容で調整が必要になります。

後日の弔問が増えます。参列できなかった人が個別に自宅を訪れ、四十九日まで対応が続くことがあります。

このうち菩提寺との関係は、事前連絡の有無で進み方が大きく変わります。形式を決める前に、一度電話を入れておいてください。

図で整理: 家族葬・直葬との使い分け
図で整理: 家族葬・直葬との使い分け(作図: 弁護士による葬儀ガード)

家族葬・直葬との使い分け

3つの形式は、省くものが違います。

形式省くもの平均
家族葬参列者の範囲を狭める96.39万円
一日葬通夜を行わない74.43万円
直葬儀式そのものを行わない49.56万円

家族葬は、通夜も告別式も行います。参列者を身内に限るだけです。

一日葬は、参列者は限定せず、通夜だけを省きます。

ですから、「家族葬かつ一日葬」という組み合わせもあり得ます。実際、そうしたプランを用意している葬儀社もあります。

選ぶときの目安は、参列してほしい人が日中に集まれるかどうかです。

こういう場合向いている形式
遠方の親族が多く、宿泊を伴う一日葬(移動と宿泊の負担が減ります)
故人の交友関係が広く、平日日中の参列が難しい人が多い通夜を残す形式
参列者を身内に限りたい家族葬

後者の場合、通夜を省くと、後日の弔問対応がかえって増えることがあります。

参列できない人への配慮

通夜がないことで参列の機会を失う人が出ます。訃報の伝え方を工夫すると、後の対応が楽になります。

日程を知らせるときに、次のように明記してください。

「通夜は行わず、告別式のみを執り行います」

こう書いておけば、参列を希望する人が予定を調整しやすくなります。

参列できないことが分かっている人には、次の2つもあわせて伝えてください。

  1. 後日の弔問を受け付けるかどうか
  2. 香典・供花を辞退するかどうか

伝えておくと、個別の問い合わせが減ります。会社関係への連絡でも同じです。伝えないと、供花の手配が自動的に動くことがあります。

契約前に確認したいこと

一日葬の見積書を受け取ったら、次の点を書面で確かめてください。

これらは口頭説明では記憶に残りません。後から「聞いていない」という食い違いが起きやすい項目です。

見積書の同じ行に、数量と単価が書かれているかを見てください。それだけで、多くは判断できます。

「葬儀一式」としか書かれていない場合は、明細を求めてください。支払う側が明細を求めるのは、法律上も認められた正当な要求です。

受け取った見積書は、その場でスマホで撮っておいてください。後から内容が変わったときに、いつ・どの内容で受け取ったのかを示せます。

実質の負担を出しておく

総額が出たら、そこから引けるものを引いてください。

差し引くもの内容
香典喪主に渡された贈り物。遺産には入りません
葬祭費国民健康保険・後期高齢者医療。東京23区は7万円
埋葬料健康保険。5万円

葬祭費と埋葬料は、申請しないともらえません。期限は2年です。

なお、上の平均額にお布施は含まれていません。20万〜50万円が中心とされていますので、別枠で現金を用意してください。

数字を出してみると、判断が変わることがあります。式場使用料が二日分なら、家族葬との差は思ったほど大きくないかもしれません。

一日葬とは — 支払う前・動く前に確認しておきたい項目
一日葬とは — 支払う前・動く前に確認しておきたい項目(作図: 弁護士による葬儀ガード)

前日の夜をどう過ごすか

通夜がないと、前日の夜が空きます。ここをどう過ごすかは、遺族の気持ちに関わる部分です。

安置場所によって、できることが変わります。

安置場所前夜の過ごし方
自宅家族だけで自由に付き添える
葬儀社の安置施設面会時間が決まっていることが多い
式場の安置室付き添い可の施設と、不可の施設がある

自宅に安置できる住環境であれば、費用も抑えられます。ただし、ドライアイスの交換で人の出入りがあります。

葬儀社の施設に安置する場合は、面会できる時間帯を確認してください。「いつでも会える」と思っていたら、夜間は入れなかったという行き違いが起きます。

付き添いを希望する場合は、その旨を先に伝えておいてください。対応できる施設もあります。

後から「もう少し一緒にいたかった」と感じる方は少なくありません。費用の話とは別に、この点も決めておいてください。

訃報を伝えるときの型

一日葬では、伝え方ひとつで後の手間が変わります。そのまま使える型を挙げておきます。

父〇〇が〇月〇日に永眠いたしました。 葬儀は通夜を行わず、〇月〇日〇時より告別式のみを執り行います。 場所は〇〇です。 誠に勝手ながら、ご香典・ご供花はご辞退申し上げます。

入れておくべき要素は4つです。

  1. 誰が、いつ亡くなったか
  2. 通夜は行わないこと
  3. 告別式の日時と場所
  4. 香典・供花を辞退するかどうか

2番目を書き忘れる方が多くいます。書いていないと、前日の夜に式場を訪ねてくる方が出ます。

4番目も大切です。辞退するなら、はっきり書いてください。曖昧にすると、相手が判断に困ります。

会社関係には、これに加えて「参列を辞退していただきたい」旨を伝えるかどうかを決めてください。会社として弔電や供花を出す規定があることが多く、伝えないと自動的に手配されます。

連絡の手段は、電話でもメールでも構いません。ただし、日時と場所は文字で送っておくほうが確実です。電話だけだと、聞き間違いが起きます。

まとめ

一日葬について、覚えておくことは3つです。

  1. 減るのは通夜分だけ。祭壇・霊柩車・火葬料は変わりません
  2. 式場使用料の日数を確認する。二日分になっていることがあります
  3. 参列できない人が出る。訃報に「通夜は行いません」と明記してください

平均費用は74.43万円、実施割合は11.9%です。

式場使用料が二日分計上されていないか、安置料が何日分か。この2つを確認すれば、金額のずれはかなり防げます。

菩提寺への事前連絡も含めて先に済ませておくと、後から調整に追われる場面を減らせます。見積書に迷いが残るときは、契約の前に相談してください。