一日葬とは|流れとデメリット

通夜を省く形式。減るのは飲食費で、安置料と固定費は残る

一日葬とは、通夜を行わず、告別式と火葬を一日で済ませる形式です。鎌倉新書の「第7回 お葬式に関する全国調査」(2026年)では実施割合11.9%、平均費用74.43万円でした。家族葬(96.39万円)より約22万円低い一方、通夜を省いた分だけ半額になるわけではありません。省けるのは通夜にかかる変動費だけで、式場や祭壇といった固定費はそのまま残るためです。この構造を先に理解しておくと、見積書の判断がしやすくなります。

一日葬の一日の流れ

通夜がないだけで、当日の進み方は告別式と同じです。

  • 前日まで。 ご遺体の搬送と安置、納棺、死亡届と火葬許可申請を済ませます。死亡届は死亡の事実を知った日から7日以内が期限です(戸籍法86条1項)。
  • 当日の朝。 安置場所から式場へご遺体を移し、供花や遺影を設置します。
  • 告別式。 一般に1時間前後です。宗教者による読経、焼香、弔辞などを行います。
  • 出棺・火葬。 火葬場へ移動し、火葬と収骨を行います。火葬は死亡または死産後24時間を経過した後でなければ行えません(墓地、埋葬等に関する法律3条)。火葬場は火葬許可証を受理した後でなければ火葬を行えません(同法14条3項)。
  • 精進落とし。 式場や別会場で行う場合と、省略する場合があります。

朝から始めて午後には終わる日程が一般的で、遠方の親族や高齢の参列者の負担が小さいことが最大の利点です。全体の流れの比較は葬儀の流れ|臨終から通夜・告別式・火葬までで確認できます。

費用が思ったほど下がらない理由

一日葬で確実に減るのは、通夜振る舞いの飲食費と、通夜の返礼品費です。前述の全国調査は葬儀費用を基本料金(平均72.02万円)、飲食費(同11.67万円)、返礼品費(同13.03万円)に分けていますが、一日葬で削れるのは後ろ二つの一部にとどまります。

一方で、次の費用は通夜の有無にかかわらず発生します。

  • 祭壇、棺、遺影、骨壺などの物品
  • 霊柩車と寝台車の費用
  • ご遺体の搬送・安置料とドライアイス代
  • 火葬料
  • 宗教者へのお布施

さらに注意したいのが式場使用料です。式場によっては、通夜を行わなくても前日から場所を押さえる必要があり、二日分の使用料が請求される契約になっていることがあります。「一日しか使わないから一日分」とは限らないため、見積書に式場使用料が何日分で計上されているかを確認してください。金額の内訳は一日葬の費用相場|一般葬・家族葬との違い葬儀費用の内訳|固定費と変動費の見分け方で整理しています。

一日葬のデメリット

利点と裏表の関係で、次のような点が指摘されます。

  • 参列できない人が出る。 通夜は夕方以降に行われるため、仕事のある人が参列しやすい枠でした。これがないと、日中に来られない人は参列の機会を失います。
  • お別れの時間が短い。 故人と過ごす最後の夜がなくなります。遺族自身が後から「もう少し時間がほしかった」と感じる例があります。
  • 菩提寺の理解が必要。 宗派や寺院によっては、通夜と告別式を一連の儀式として位置づけていることがあります。事前に相談せずに決めると、日程や読経の内容で調整が必要になります。
  • 後日の弔問が増える。 参列できなかった人が個別に自宅を訪れ、四十九日まで対応が続くことがあります。

このうち菩提寺との関係は、直葬ほどではないものの、事前連絡の有無で進み方が大きく変わる部分です。形式を決める前に一度連絡を入れておくことをおすすめします。

家族葬・直葬との使い分け

三つの形式は、省くものが違います。

家族葬は参列者の範囲を狭める形式で、通夜も告別式も行います。一日葬は参列者は限定せず通夜だけを省く形式です。直葬は儀式そのものを行わず火葬のみを行います。したがって「家族葬かつ一日葬」という組み合わせもあり得ますし、実際にそうしたプランを用意している葬儀社もあります。

選ぶ際の目安としては、参列してほしい人が日中に集まれるかどうかが一つの分かれ目になります。遠方の親族が多く宿泊を伴う場合、一日葬は移動と宿泊の負担を減らせます。逆に故人の交友関係が広く、平日日中の参列が難しい人が多いのであれば、通夜を残したほうが後の対応が楽になることがあります。

それぞれの特徴は家族葬とは|メリット・デメリットと費用の実際直葬とは|流れと注意すべき点で扱っています。

参列できない人への配慮

通夜がないことで参列の機会を失う人が出るため、訃報の伝え方に一工夫すると後の対応が楽になります。日程を知らせる際に「通夜は行わず、告別式のみを執り行います」と明記しておけば、参列を希望する人が予定を調整しやすくなります。参列できないことが分かっている人には、後日の弔問を受け付ける旨や、香典を辞退するかどうかもあわせて伝えておくと、個別の問い合わせが減ります。

契約前に確認したいこと

一日葬で見積書を受け取ったら、次の点を書面で確かめてください。

  • 式場使用料が何日分で計上されているか
  • 安置料とドライアイス代が何日分か、一日延びた場合の加算額はいくらか
  • 火葬料が含まれているか、別途か
  • 通夜がない前提の料理・返礼品の数量になっているか
  • プランに人数の上限があるか、超えた場合の追加単価はいくらか

これらは口頭説明では記憶に残りにくく、後から「聞いていない」という食い違いが起きやすい項目です。見積書の同じ行に数量と単価が書かれているかを見れば、多くは判断できます。葬儀社を比較する視点は葬儀社の選び方|契約前に確認すべき5つのことにまとめました。

まとめ

一日葬は通夜を省く形式で、平均費用は74.43万円、実施割合は11.9%です。減るのは通夜分の飲食費と返礼品費で、祭壇・霊柩車・火葬料などの固定費は変わりません。式場使用料が二日分計上されていないか、安置料が何日分かを確認すれば、金額のずれはかなり防げます。参列できない人が出ること、菩提寺への事前連絡が必要になることも含めて検討すると、後から調整に追われる場面を減らせます。見積書の内容に迷いが残るときは、契約前に第三者の確認を受ける方法もあります。