国民健康保険の葬祭費はいくらか|金額の目安と申請の手順

東京23区は7万円。金額は市区町村ごとに違います。申請しないと支給されません

葬儀が終わった後、市区町村に申請すると受け取れるお金があります。葬祭費です。

自動では振り込まれません。申請した人にだけ支給されます。期限は葬儀の日の翌日から2年です。

金額は自治体によって違います。東京23区は7万円、それ以外の市区町村では3万円から5万円の例が多く見られます。

葬祭費 — 対象・金額・期限
葬祭費 — 対象・金額・期限(作図: 弁護士による葬儀ガード)

どういう制度か

国民健康保険に加入していた人が亡くなったとき、葬儀を行った人に支給されるお金です。

医療費とは別の給付で、葬儀の費用を助ける趣旨があります。使い道は限定されていません。

根拠となる条文 — 葬祭費の支給

市町村および特別区が行う国民健康保険では、被保険者の死亡に関して、条例の定めるところにより葬祭費の支給または葬祭の給付を行うものとされています(国民健康保険法58条1項)。

金額が条例で定められているため、市区町村ごとに違いが生じます。同じ都道府県内でも、額が異なることがあります。

保険給付を受ける権利は、2年を経過したときに時効によって消滅します(同法110条1項)。申請には期限があります。

条例で決めるという仕組みが、金額差の理由です。国が一律に決めているわけではありません。

そのため、隣の市に住んでいた人と金額が違うことがあります。制度の不備ではなく、仕組みの結果です。

金額を確かめるときは、必ず故人が住民登録していた市区町村を見てください。自分の住所地ではありません。

金額の目安

金額は、住んでいた市区町村によって決まります。故人が住民登録していた自治体です。

自治体の例金額
東京23区7万円
多くの市町村3万円〜5万円
一部の自治体1万円〜2万円のところもある

正確な額は、市区町村のウェブサイトか、国民健康保険の窓口で確かめられます。「葬祭費」で検索すると出てきます。

株式会社鎌倉新書の「第7回 お葬式に関する全国調査」(2026年)によると、葬儀の総額平均は96.73万円でした。葬祭費だけで賄える額ではありません。

それでも、申請しなければ受け取れないお金です。手続きは1回で済みます。

金額の差は、財政の状況や制度の沿革によるものです。高いから手厚い、と単純には言えません。

引っ越しを予定している場合でも、支給の基準になるのは亡くなった時点の住所地です。

誰が申請できるか

申請できるのは、葬儀を行った人です。実務では喪主として扱われます。

  • 喪主を務めた人
  • 実際に葬儀を執り行い、費用を負担した人
  • 相続人であるかどうかは、原則として問われない

相続放棄をした人でも、葬儀を行っていれば申請できるのが通常です。給付は故人の財産ではないためです。

ただし、自治体によって運用が異なることがあります。放棄を予定している場合は、窓口で確かめてください。

領収書の宛名が誰になっているかが確かめられます。申請する人の名義でそろえておくと、手続きが早く済みます。

宛名が違う場合でも、事情を説明すれば受け付けてもらえることがあります。まず窓口に相談してください。

葬儀社に頼めば、宛名を書き換えてもらえることもあります。早めに伝えるほど対応してもらいやすくなります。

必要な書類

自治体によって多少違いますが、おおむね共通しています。窓口で確かめてから行くと確実です。

書類補足
葬祭費支給申請書窓口またはウェブサイトにある
故人の被保険者証返却も同時に行う
葬儀を行ったことが分かる書類領収書、会葬礼状など
申請者の本人確認書類運転免許証など
申請者名義の口座が分かるもの通帳、キャッシュカード
印鑑不要な自治体も増えている

領収書は、宛名が申請者になっているものが求められます。葬儀社の請求書と一緒に保管してください。

会葬礼状でも認められることが多くあります。直葬で会葬礼状がない場合は、火葬許可証の写しなどで対応できることがあります。

書類がそろわない場合は、窓口に相談してください。代わりの書類で受け付けてもらえることがあります。

郵送で受け付ける自治体も増えています。遠方に住んでいる場合は、送付先と必要書類を電話で確かめてください。

マイナンバーカードを保険証として使っていた場合、返却する保険証がないこともあります。窓口で扱いを聞いてください。

図で整理: 申請から振込までの流れ
図で整理: 申請から振込までの流れ(作図: 弁護士による葬儀ガード)

申請の手順

手続き自体は簡単です。他の手続きと一緒に済ませるのが効率的です。

振込までの期間は、おおむね2週間から2か月程度です。自治体によって違います。

世帯主変更届や介護保険の資格喪失届など、他の手続きも同じ窓口で扱っていることがあります。まとめて行くと1回で済みます。

窓口へ行く前に電話して、必要書類を確かめてください。二度手間を防げます。

混み合う時間帯を避けると、待たずに済みます。午前の早い時間か、午後の遅い時間が比較的空いています。

健康保険の埋葬料との違い

故人がどの制度に加入していたかで、申請先も名称も変わります。ここを間違えると手続きが止まります。

故人の加入制度の名称申請先金額
国民健康保険葬祭費市区町村自治体による
後期高齢者医療葬祭費広域連合(窓口は市区町村)自治体による
健康保険(会社員など)埋葬料・埋葬費協会けんぽ・健康保険組合5万円

75歳以上の方は、後期高齢者医療制度に加入しています。国民健康保険ではありません。

会社を退職して間もない場合は、任意継続や家族の扶養に入っていることがあります。保険証を確かめてください。

在職中に亡くなった場合は、勤務先の健康保険から埋葬料が支給されます。会社の担当部署に連絡してください。

期限は2年です

申請できる期間は決まっています。過ぎると受け取れません。

葬祭費の時効は、葬儀を行った日の翌日から2年です。埋葬料は、亡くなった日の翌日から2年です。

  • 起算日が制度によって違う点に注意する
  • 2年は長いようで、忘れたまま過ぎることが多い
  • 気づいた時点で、まず窓口に電話する

期限が迫っている場合でも、まず相談してください。書類がそろっていれば、その場で受け付けてもらえることがあります。

過ぎてしまった場合は、原則として支給されません。他に使える給付がないかを窓口で確かめてください。

高額療養費や未支給年金など、期限のある手続きは他にもあります。まとめて確かめておくと安心です。

葬儀が終わった直後は動けないものです。四十九日を過ぎたころに、一度リストを作って確かめてください。

税金の扱い

受け取った葬祭費に税金はかかりません。所得として扱われないためです。

一方、相続税の申告で葬式費用を控除する場合は、扱いに注意が必要です。

国税庁のタックスアンサーNo.4129によると、葬式費用として控除できるのは、通夜や葬式にかかった費用、火葬や埋葬の費用、読経料などです。

香典返しの費用や、初七日以降の法要の費用は含まれません。領収書は分けて保管してください。

葬祭費として受け取った金額を、控除する葬式費用から差し引く必要はないのが通常です。判断に迷う場合は税務署に確かめてください。

直葬・火葬式でも受け取れます

「葬儀をしていないから対象外では」と考える人がいますが、そうではありません。

火葬のみを行った場合でも、葬祭を行ったものとして支給されるのが通常です。

  • 直葬・火葬式でも申請できる自治体が多い
  • 会葬礼状がない場合は、火葬に関する書類で代替できることがある
  • 判断が分かれることもあるため、窓口で確かめる

火葬許可証は、火葬後に火葬済みの証印が押されて返されます。この写しが資料として使えることがあります。

葬儀社の領収書があれば、それで足りるのが通常です。捨てずに保管してください。

火葬料の領収書しかない場合も、窓口に持って行ってください。判断は自治体によって分かれます。

「うちは対象になりますか」と電話で聞くのが、一番早い確認方法です。数分で終わります。

亡くなった後の手続きと一緒に進める

葬祭費だけのために窓口へ行くのは、もったいない使い方です。同じ日にまとめて済ませてください。

市区町村の窓口で扱う手続きは、次のように重なっています。

手続き期限の目安
死亡届の提出死亡を知った日から7日以内
世帯主変更届14日以内(該当する場合)
国民健康保険の資格喪失・保険証の返却14日以内
介護保険の資格喪失届・被保険者証の返却14日以内
葬祭費の申請葬儀の日の翌日から2年以内

順番としては、死亡届を出した後に、他の手続きへ進みます。死亡届は葬儀社が代行することも多くあります。

窓口へ行くときは、故人の保険証、印鑑、本人確認書類、口座の分かるものを持って行ってください。

自治体によっては、亡くなった後の手続きをまとめて案内する窓口を設けています。予約が必要なこともあります。

高齢の家族が申請する場合は、代理人が手続きすることもできます。委任状の要否を、事前に確かめてください。

つまずきやすい点

実際に相談の多い場面を挙げます。事前に知っておくと避けられます。

  1. 保険証を返してしまい、加入していた制度が分からなくなる
  2. 領収書の宛名が申請者と違う
  3. 引っ越し直後で、どの自治体に申請するか迷う
  4. 相続放棄との関係で受け取ってよいか分からない
  5. 2年を過ぎてしまった

3つ目は、亡くなった時点で住民登録していた市区町村が窓口になります。転居直後は特に確かめてください。

4つ目については、葬祭費は故人の財産ではなく制度に基づく給付です。放棄との関係で問題になりにくい部分です。

とはいえ、判断に迷う場合は受け取る前に確かめてください。順番を変えるだけで避けられる問題です。

国民生活センターが2026年6月3日に公表した資料によると、葬儀サービスに関する相談は2025年度に917件で、うち52.6%が料金に関するものでした。使える給付は、確実に受け取ってください。

葬祭費の申請 — 窓口へ行く前の確認項目
葬祭費の申請 — 窓口へ行く前の確認項目(作図: 弁護士による葬儀ガード)

まとめ

申請しなければ受け取れないお金です。忘れずに手続きしてください。

  • 金額は市区町村による。東京23区は7万円
  • 申請できるのは、葬儀を行った人
  • 期限は、葬儀の日の翌日から2年

保険証の返却など、他の手続きと一緒に窓口で済ませてください。1回で終わります。