ドライアイスの費用相場|1日あたりの単価と延びたときの増額
1日あたり1万円前後が目安です。何日分で見積もられているかを、先に確かめてください
見積書に「ドライアイス 3日分」と書かれている。これは何の費用なのか。
ご遺体の状態を保つための費用です。1日あたり1万円前後が目安で、日数が延びるとそのまま増えます。
確かめるのは1つだけです。何日分で計算されているか。そして、延びたときにいくら増えるか。ここを聞いておけば、後から驚きません。
何のための費用か
ご遺体は、時間の経過とともに変化します。それを遅らせるために、ドライアイスを使います。
胸やお腹のあたりに当て、1日1回程度交換します。交換のたびに費用がかかる仕組みです。
日本では、亡くなってから火葬までに一定の時間が必要とされています。その間の処置として使われます。
根拠となる条文 — 火葬までの時間
埋葬または火葬は、原則として死亡または死産の時から24時間を経過した後でなければ行ってはならないとされています(墓地、埋葬等に関する法律3条)。
火葬を行うには、市町村長の許可を受ける必要があります(同法5条1項)。この許可証がないと火葬できません。
そのため、亡くなった当日に火葬することはできません。少なくとも1日は安置することになり、その間の処置が必要になります。
つまり、ドライアイスの費用は避けにくい性質のものです。問題になるのは、日数と単価が示されているかどうかです。
1日あたりの目安
金額は会社によって違います。おおよその幅を知っておいてください。
| 区分 | 目安 |
|---|---|
| 1日あたりの単価 | 5,000円〜1万5,000円 |
| 標準的な見積もり | 1万円前後 |
| 夏場・気温が高い時期 | 使用量が増えて高くなることがある |
株式会社鎌倉新書の「第7回 お葬式に関する全国調査」(2026年)によると、葬儀の総額平均は96.73万円、うち基本料金の平均は72.02万円でした。
ドライアイスは、この基本料金に一定日数分が含まれていることが多くあります。何日分が含まれるかを確かめてください。
含まれる日数を超えると、超過分が加算されます。ここが増額の入口です。
「追加料金なし」とうたうプランでも、日数の超過は別扱いになっていることがあります。約款を確かめてください。
見積書での書かれ方
見積書には、次のような形で書かれます。書き方によって、確かめる点が変わります。
- 「ドライアイス 3日分 30,000円」→ 日数と金額が明示されている
- 「ドライアイス 一式」→ 何日分か不明。確かめる必要がある
- 「基本料金に2日分含む」→ 超過分の単価を確かめる
「一式」とだけ書かれている場合は、日数と単価を書き足してもらってください。断られる理由はありません。
聞き方は簡単です。「ドライアイスは何日分ですか。1日増えるといくらですか」の2つで足ります。
答えをメモに残しておけば、請求書が届いたときに突き合わせられます。
打ち合わせの場で聞きにくいと感じるかもしれません。ただ、金額の確認は担当者にとっても日常の業務です。
聞かれて困る会社は、そもそも数字を持っていない会社です。答えが返ってくるかどうかも判断材料になります。
日数が延びる原因
延びるのは、たいてい次の3つです。自分で選べない事情が多くあります。
| 原因 | 内容 |
|---|---|
| 火葬場の予約が取れない | 都市部で起きやすい。数日待つことがある |
| 友引や年末年始 | 休場の火葬場が多く、日程が後ろにずれる |
| 遠方の親族の到着待ち | 日程を合わせるために延びる |
厚生労働省の衛生行政報告例によると、火葬の件数は増加が続いています。予約が取りにくい地域があることは、行政の資料からも読み取れます。
日程を決めるときに、「この日程だと安置は何日分になりますか」と聞いてください。総額の見通しが立ちます。
1日延びると、ドライアイスと安置料を合わせて2万円前後が増えることがあります。日程は費用の問題でもあります。
保冷施設という選択肢
ドライアイス以外の方法もあります。安置施設に保冷設備がある場合です。
保冷室に安置すると、ドライアイスの使用量を減らせることがあります。その分、施設の使用料がかかります。
- 保冷設備のある安置室は、1日あたりの使用料が高めになることがある
- ドライアイスの費用と合わせて、どちらが安いかを比べる
- 面会できるかどうかも、施設によって違う
面会の可否は、費用と同じくらい大切な点です。毎日会いに行きたい場合は、確かめてください。
自宅で安置する場合は、施設の使用料はかかりません。ただし、ドライアイスの交換で担当者が訪問します。
自宅安置ができるかどうかは、部屋の広さや搬入経路によります。集合住宅では難しいこともあります。
安置場所によって費用が変わります
ドライアイスの費用は、どこに安置するかとセットで考えてください。組み合わせで総額が決まります。
| 安置場所 | 施設使用料 | 面会 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 自宅 | かからない | いつでも | 部屋の広さと搬入経路の確認が要る |
| 葬儀社の安置室 | 1日1万円前後 | 制限があることが多い | 費用は分かりやすい |
| 保冷設備のある安置室 | 高めになることがある | 施設による | ドライアイスを減らせることがある |
| 式場に併設された安置室 | 式場の利用と一体のことがある | 施設による | 搬送の回数を減らせる |
自宅に安置すると、施設の使用料はかかりません。ドライアイスの費用だけで済みます。
一方、集合住宅ではエレベーターや通路の関係で難しいことがあります。事前に確かめてください。
安置室が式場と別の場所にあると、搬送が1回増えます。搬送費も合わせて比べてください。
面会のたびに立ち会い料がかかる施設もあります。何回まで無料かを聞いておくと安心です。
夏場と冬場の違い
気温によって、使用量が変わることがあります。夏場は多めに必要になります。
見積もりの段階では、標準的な量で計算されているのが通常です。実際の使用量で精算する会社もあります。
- 夏場は交換の回数が増えることがある
- 冷房を効かせた部屋では、使用量を抑えられることがある
- 自宅安置の場合、部屋の温度管理を頼まれることがある
自宅で安置する場合は、部屋の冷房を切らないよう案内されます。電気代はかかりますが、その分の費用は抑えられます。
夏場に日数が延びると、費用も状態も難しくなります。日程が読めない場合は、保冷設備のある施設を検討してください。
エンバーミングとの違い
長期間の安置が必要な場合、エンバーミングという方法があります。費用の性質が違います。
エンバーミングは、遺体を保存処置する技術です。海外への搬送や、長期の安置が必要な場合に選ばれます。
| 方法 | 費用の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| ドライアイス | 1日あたり1万円前後 | 日数で増える |
| エンバーミング | 15万〜25万円程度 | 1回の費用。日数では増えない |
安置が1週間を超えるような場合は、総額でエンバーミングのほうが安くなることがあります。
ただし、費用だけで決める話ではありません。家族の考え方や、宗教上の理由もあります。
処置を行う施設が近くにあるかどうかも、判断の材料になります。葬儀社に確かめてください。
海外で亡くなった方を日本へ搬送する場合は、処置が求められることがあります。航空会社の条件によります。
必要かどうかは、状況によります。すすめられた場合は、理由を聞いてから決めてください。
請求書が届いたら
葬儀が終わった後、見積書と請求書を並べて確かめます。ドライアイスは、増えやすい費目の1つです。
安置日数は、病院を出た日から火葬の日までで数えられるのが通常です。数え方も確かめてください。
日数が延びた理由が火葬場の予約であれば、増額は自然です。事前に説明があったかどうかは、別に確かめられます。
数量が合っているのに単価が上がっている場合は、理由を聞いてください。ここは説明が必要な部分です。
見積書の写しが手元にない場合は、葬儀社に再発行を頼めます。契約時の書面は、必ず受け取ってください。
説明がないまま増えていたとき
事前の説明がないまま増えている場合の考え方です。
根拠となる条文 — 説明されていなかった場合
消費者契約について、事業者が重要事項について事実と異なることを告げ、消費者が誤認して契約したときは、その意思表示を取り消すことができます(消費者契約法4条1項1号)。
消費者に利益となることだけを告げ、不利益となる事実を故意または重大な過失により告げなかった場合も、取消しの対象になります(同条2項)。
また、事業者は、契約の内容が消費者にとって明確かつ平易なものになるよう配慮し、必要な情報を提供するよう努めることとされています(同法3条1項)。日数と単価の説明は、この趣旨に沿うものです。
実際に処置が行われている以上、費用がまったく発生しないとは言いにくいところです。
一方、説明がなかった点は話し合いの材料になります。全額を止めず、争いのある行だけを保留してください。
国民生活センターが2026年6月3日に公表した資料によると、葬儀サービスに関する相談は2025年度に917件で、うち52.6%が料金に関するものでした。
確かめる順番
契約の前に聞いておくと、後から驚きません。3つで足ります。
- ドライアイスは何日分が含まれていますか
- 1日増えると、ドライアイスと安置料を合わせていくら増えますか
- 火葬の日程は、いまの見込みでいつになりますか
3つ目が分かれば、日数の見当がつきます。予約が取れていない段階では、幅で聞いてください。
「早ければ何日、遅ければ何日」という答えが返ってくれば、それで判断できます。
幅の上限で計算しておくと、後から増えても慌てません。予算は多めに見ておくのが安心です。
日程が確定したら、見積書を出し直してもらってください。総額が変わっているはずです。
まとめ
ドライアイスは、日数で動く費用です。確かめる点は決まっています。
- 見積書で「何日分」かを確かめる
- 1日増えたときの増額を、安置料と合わせて聞く
- 請求書が届いたら、実際の日数と照らす
日程は費用に直結します。決める前に、必ず増額の見込みを聞いてください。
