後期高齢者医療制度の葬祭費|対象者・金額・申請先

75歳以上の方が亡くなったときの給付です。窓口は市区町村ですが、制度は国保とは別です

75歳以上の家族が亡くなった。国民健康保険の葬祭費を調べたが、加入していたのは別の制度だった。

75歳になると、それまでの健康保険から後期高齢者医療制度へ移ります。だから、申請する制度も変わります。

窓口は市区町村ですが、制度を運営しているのは都道府県ごとの広域連合です。金額も都道府県によって違います。

後期高齢者医療の葬祭費 — 対象・金額・期限
後期高齢者医療の葬祭費 — 対象・金額・期限(作図: 弁護士による葬儀ガード)

どういう制度か

後期高齢者医療制度は、75歳以上の人が加入する医療保険の制度です。それまでの保険から自動的に移ります。

運営しているのは、都道府県ごとに設けられた広域連合です。市区町村は、窓口の業務を担当します。

亡くなったときには、葬祭費が支給されます。国民健康保険の葬祭費と同じ性質の給付です。

根拠となる条文 — 葬祭費の支給

後期高齢者医療広域連合は、被保険者の死亡に関し、条例の定めるところにより葬祭費の支給または葬祭の給付を行うものとされています(高齢者の医療の確保に関する法律86条1項)。

条例で定めるため、金額は広域連合ごとに異なります。同じ都道府県内であれば、市区町村が違っても同じ額です。

保険給付を受ける権利は、2年を経過したときに時効によって消滅します(同法160条1項)。申請には期限があります。

国民健康保険は市区町村ごとの条例、後期高齢者医療は広域連合の条例で決まります。ここが金額差の理由です。

対象になる人

対象は、亡くなった時点で後期高齢者医療制度の被保険者だった人です。

  • 75歳以上のすべての人
  • 65歳以上75歳未満で、一定の障害がある人(申請して認定を受けた場合)

保険証を見れば分かります。「後期高齢者医療被保険者証」と書かれていれば、この制度の対象です。

75歳の誕生日を境に切り替わるため、亡くなった時期によって申請先が変わります。誕生日の前後は確かめてください。

生活保護を受けている人は、この制度の被保険者にはなりません。葬祭扶助という別の仕組みで対応します。

保険証が手元にない場合は、市区町村の窓口で加入していた制度を確かめられます。氏名と生年月日で照会できます。

マイナンバーカードを保険証として使っていた場合も、加入していた制度は窓口で分かります。

金額の目安

金額は、都道府県ごとの広域連合が定めています。全国で一律ではありません。

地域金額の例
東京都7万円
多くの県5万円
一部の地域3万円程度

正確な額は、市区町村のウェブサイトか、広域連合のウェブサイトで確かめられます。「葬祭費」で検索すると出てきます。

株式会社鎌倉新書の「第7回 お葬式に関する全国調査」(2026年)によると、葬儀の総額平均は96.73万円でした。葬祭費で賄える額ではありません。

それでも、申請すれば確実に受け取れるお金です。手続きは1回で終わります。

同じ都道府県内であれば、住んでいた市区町村が違っても金額は同じです。国民健康保険とは、この点が違います。

だから、県境をまたいで転居していた場合は、亡くなった時点の住所地で確かめてください。

引っ越しの直後は、住民登録の状況によって扱いが変わることがあります。窓口に事情を伝えてください。

誰が申請できるか

申請できるのは、葬儀を行った人です。実務では喪主として扱われます。

相続人であるかどうかは、原則として問われません。給付は故人の財産ではなく、制度に基づくものだからです。

  • 喪主を務めた人が申請する
  • 領収書の宛名が申請者になっていると手続きが早い
  • 相続放棄をしていても、申請できるのが通常

相続放棄を予定している場合は、念のため窓口で確かめてください。自治体によって説明が異なることがあります。

葬儀社の領収書は、必ず保管してください。申請の際に、葬儀を行ったことの確認に使われます。

必要な書類

必要書類は、国民健康保険の葬祭費とほぼ同じです。窓口で確かめてから行くと確実です。

書類補足
葬祭費支給申請書窓口またはウェブサイトにある
後期高齢者医療被保険者証返却も同時に行う
葬儀を行ったことが分かる書類領収書、会葬礼状など
申請者の本人確認書類運転免許証など
申請者名義の口座が分かるもの通帳、キャッシュカード

保険証は返却が必要です。限度額適用・標準負担額減額認定証を持っていた場合は、それも一緒に返します。

領収書の宛名が申請者と違う場合は、事情を説明してください。受け付けてもらえることがあります。

直葬や火葬式で会葬礼状がない場合も、葬儀社の領収書があれば足りるのが通常です。

図で整理: 申請から振込までの流れ
図で整理: 申請から振込までの流れ(作図: 弁護士による葬儀ガード)

申請の手順

他の手続きと一緒に進めるのが効率的です。同じ窓口で扱っていることが多くあります。

振込までの期間は、おおむね1か月から2か月程度です。地域によって違います。

郵送で受け付ける自治体も増えています。遠方に住んでいる場合は、電話で確かめてください。

代理人が申請する場合は、委任状が必要になることがあります。あわせて確かめておいてください。

国民健康保険・健康保険との違い

制度を取り違えると、手続きが止まります。故人の保険証で確かめてください。

故人の加入制度申請先金額
後期高齢者医療葬祭費市区町村(広域連合の給付)3万〜7万円
国民健康保険葬祭費市区町村自治体による
健康保険(会社員など)埋葬料・埋葬費協会けんぽ・健康保険組合5万円

75歳以上でも、働いていて健康保険に加入し続けている場合があります。保険証の名称を必ず確かめてください。

健康保険の被扶養者だった人が75歳になると、後期高齢者医療の被保険者になります。扶養から外れる仕組みです。

このとき、家族の健康保険から埋葬料が出るわけではありません。後期高齢者医療の葬祭費を申請します。

期限は2年です

申請できるのは、葬儀の日の翌日から2年間です。過ぎると受け取れません。

  • 起算日は「葬儀を行った日の翌日」
  • 2年は長いようで、忘れたまま過ぎることが多い
  • 気づいた時点で、まず窓口に電話する

期限が迫っている場合でも、まず相談してください。書類がそろっていれば、受け付けてもらえることがあります。

高額療養費や未支給年金など、期限のある手続きは他にもあります。まとめて確かめておくと安心です。

四十九日を過ぎたころに、手続きの一覧を作って確かめる方法をおすすめします。落ち着いてから動けます。

期限の短い手続きから順に並べると、抜けが減ります。14日以内のものを先に片づけてください。

高額療養費もあわせて確認する

亡くなる前の医療費が高額だった場合、高額療養費が戻ることがあります。葬祭費と一緒に確かめてください。

自己負担限度額を超えた分が払い戻される仕組みです。相続人が受け取ることになります。

  • 支給の対象になっているかは、市区町村から通知が届くことがある
  • 通知が届かない場合も、窓口で確かめられる
  • 申請の期限は、診療を受けた月の翌月1日から2年

亡くなった後に届いた通知は、開封して内容を確かめてください。手続きが必要なものが含まれています。

医療費の還付は、相続財産として扱われます。相続放棄を考えている場合は、受け取る前に確かめてください。

葬祭費とは性質が違う点に注意してください。葬祭費は葬儀を行った人への給付で、故人の財産ではありません。

同じ窓口で扱っていても、判断の分かれ目が違います。迷ったら、窓口で「相続放棄を考えている」と伝えてください。

保険料の精算も忘れずに

亡くなった後、保険料の精算が生じます。払い過ぎていれば還付され、不足があれば納付を求められます。

後期高齢者医療の保険料は、年金からの天引き(特別徴収)か、納付書や口座振替(普通徴収)で納めます。

天引きの場合、年金の支給と保険料の徴収に時間差があります。そのため、亡くなった後に精算が必要になります。

状況生じること
払い過ぎていた相続人に還付される。請求書が届く
不足していた相続人に納付を求められる

還付金は相続財産として扱われます。相続放棄を考えている場合は、受け取る前に確かめてください。

還付の通知は、亡くなってから数か月後に届くことがあります。故人あての郵便は、しばらく確認を続けてください。

不明な点は、市区町村の後期高齢者医療の担当課に聞けば答えてもらえます。葬祭費の申請と同じ窓口です。

世帯の他の人への影響

同じ世帯に、後期高齢者医療や国民健康保険に加入している人が残る場合、影響が出ることがあります。

世帯主が亡くなった場合、保険料の納付義務者が変わります。世帯主変更届と一緒に手続きが必要です。

また、保険料は世帯の所得によって決まる部分があります。世帯の構成が変われば、翌年度の保険料も変わります。

  • 世帯主変更届は14日以内に提出する
  • 残る家族の保険証の記載も変わることがある
  • 減額の対象になるかは、窓口で確かめられる

高額療養費の自己負担限度額も、世帯の所得区分によって変わります。あわせて確かめておいてください。

手続きが多く感じられますが、窓口ではまとめて案内してもらえます。1回で聞いてしまうのが早いです。

つまずきやすい点

実際に相談の多い場面です。事前に知っておくと避けられます。

  1. 国民健康保険の窓口へ行き、担当が違うと言われる
  2. 保険証を先に返してしまい、加入していた制度が分からなくなる
  3. 領収書の宛名が申請者と違う
  4. 転居直後で、どの市区町村に申請するか迷う
  5. 2年を過ぎてしまった

4つ目は、亡くなった時点で住民登録していた市区町村が窓口です。広域連合も、その都道府県のものになります。

国民生活センターが2026年6月3日に公表した資料によると、葬儀サービスに関する相談は2025年度に917件で、うち52.6%が料金に関するものでした。受け取れる給付は、確実に受け取ってください。

葬祭費の申請 — 窓口へ行く前の確認項目
葬祭費の申請 — 窓口へ行く前の確認項目(作図: 弁護士による葬儀ガード)

まとめ

75歳以上の方が亡くなったときは、後期高齢者医療の葬祭費を申請してください。

  • 窓口は市区町村。制度は都道府県の広域連合が運営している
  • 金額は3万円から7万円程度。地域によって違う
  • 期限は、葬儀の日の翌日から2年

保険証の返却と一緒に、同じ窓口で手続きできます。1回で済ませてください。