公営火葬場の火葬料|住民は無料になることがあります

火葬料は住んでいた自治体で決まります。区域外だと数万円変わることがあります

見積書に「火葬料」がない。あるいは、思っていたより高い。

火葬料は、どこの火葬場を使うかで大きく変わります。住んでいた自治体の公営火葬場なら、無料または数千円のことがあります。

一方、区域外の住民は数万円になります。民営の火葬場では、さらに高くなることがあります。まず、どの区分かを確かめてください。

火葬料はどこで決まるのか
火葬料はどこで決まるのか(作図: 弁護士による葬儀ガード)

火葬場には2種類あります

まず、使う火葬場の運営主体を確かめてください。ここで料金の考え方が変わります。

区分運営料金の決まり方
公営市区町村、一部事務組合条例で定める。住民は低額
民営民間の事業者事業者が定める

全国では公営が多数を占めます。一方、東京23区では民営の火葬場が中心で、事情が異なります。

どちらを使うかは、地域によって選択の余地がないこともあります。まず、地域の火葬場を確かめてください。

複数の火葬場が使える地域では、料金と空き状況を比べられます。葬儀社に一覧を出してもらってください。

搬送の距離も変わるため、火葬料だけで判断しないほうが確実です。合計で比べてください。

根拠となる条文 — 火葬場の設置と使用料

墓地、納骨堂または火葬場を経営しようとする者は、都道府県知事(市又は特別区にあっては市長または区長)の許可を受けなければなりません(墓地、埋葬等に関する法律10条1項)。

火葬を行うには、市町村長の許可を受ける必要があります(同法5条1項)。この許可証が火葬許可証です。

公営火葬場の使用料は、公の施設の使用料として条例で定めることとされています(地方自治法225条、228条1項)。住民と区域外の住民で額が異なるのは、この条例による定めに基づきます。

住民か、区域外かで変わります

公営火葬場では、その自治体の住民かどうかで料金が分かれます。差は数万円になることがあります。

区分金額の目安
住民(大人)無料〜1万円程度
区域外の住民(大人)3万〜8万円程度
12歳未満大人より低く設定されることが多い

基準になるのは、亡くなった人の住民登録です。喪主の住所ではないのが通常です。

ただし、自治体によって扱いが違います。喪主が住民であれば住民料金とする例もあります。窓口で確かめてください。

引っ越しの直後は、特に確かめる価値があります。数万円が動く可能性があります。

病院で亡くなった場合、病院の所在地ではなく、故人の住所地が基準になるのが通常です。

住民票の写しや戸籍で確かめられます。判断に迷うときは、火葬場を管理する自治体に直接聞いてください。

民営火葬場の場合

民営の火葬場では、事業者が料金を定めています。住民かどうかによる区分は、原則としてありません。

東京23区では民営の火葬場が中心です。火葬料は数万円から、10万円近くになる例もあります。

近年は値上げも行われており、金額は変動しています。最新の額は、火葬場のウェブサイトか葬儀社に確かめてください。

また、待合室の使用料や、休憩室、火葬中の飲食が別に加算されることがあります。何が含まれるかを聞いてください。

株式会社鎌倉新書の「第7回 お葬式に関する全国調査」(2026年)によると、葬儀の総額平均は96.73万円でした。火葬料の差は、この総額に直接効いてきます。

見積書に入っているか確かめる

一番の確認点です。火葬料は、見積書に含まれていないことがよくあります。

  • 「別途」と書かれた行がないかを見る
  • 「実費」と書かれている場合は、金額の目安を聞く
  • 総額に含まれるかどうかを、はっきり確かめる

含まれていない場合、総額はその分だけ増えます。2社を比べるときも、条件がそろわなくなります。

聞き方は簡単です。「火葬料はこの見積書に入っていますか」の一言で足ります。

入っていない場合は、金額を書き足してもらってください。総額で比べられる形にします。

式場使用料も、同じように別立てになっていることがあります。あわせて確かめてください。

この2つが入っているかどうかで、総額は10万円以上変わることがあります。

図で整理: 火葬料の確かめ方
図で整理: 火葬料の確かめ方(作図: 弁護士による葬儀ガード)

火葬までの待ち日数

料金と同じくらい大切なのが、いつ火葬できるかです。ここが費用に効いてきます。

都市部では、火葬場の予約が取れず数日待つことがあります。その間、安置の費用がかかり続けます。

増える費目1日あたりの目安
安置施設の使用料1万円前後
ドライアイス1万円前後

2日延びれば、それだけで数万円が増えます。火葬料の差より大きくなることもあります。

厚生労働省の衛生行政報告例によると、火葬の件数は増加が続いています。待ちが生じる地域があることは、行政資料からも読み取れます。

日程を決めるときは、「この日程だと安置は何日分になりますか」と聞いてください。総額の見通しが立ちます。

火葬許可証が必要です

火葬には、市区町村長が交付する火葬許可証が必要です。これがないと火葬できません。

死亡届と火葬許可の手続きは、葬儀社が代行することが多くあります。任せる場合も、控えを受け取ってください。

火葬後は、火葬済みの証印が押されて返されます。これが納骨の際に必要になります。

紛失すると再交付の手続きが要ります。骨壺の箱に入れたまま、なくさないよう保管してください。

火葬場でかかる、その他の費用

火葬料のほかにも、当日その場で発生する費用があります。あらかじめ知っておくと慌てません。

費目内容目安
待合室の使用料火葬の間に使う個室数千円〜2万円程度
飲食・茶菓待合室で出すもの人数分
骨壺・骨箱火葬場で購入する場合数千円〜数万円
収骨容器の大きさ地域によって異なる地域差がある

待合室は、使わない選択もできます。ロビーで待つ形にすれば、その分の費用はかかりません。

飲食も、必ず用意しなければならないものではありません。人数が多い場合は、まとまった金額になります。

骨壺は、葬儀社のプランに含まれていることが多くあります。二重に用意しないよう、確かめてください。

地域によって、遺骨をすべて収める全収骨と、一部だけを収める部分収骨があります。骨壺の大きさもそれに応じて変わります。

火葬場の予約はどう取るか

予約は、葬儀社が代行するのが一般的です。自分で取ることもできます。

公営の火葬場では、インターネットで空き状況を公開している自治体もあります。日程の見当を付けられます。

  • 友引を休場としている火葬場が多い
  • 年末年始は休場になることがある
  • 午前と午後で料金が変わる火葬場もある

友引の翌日は混み合う傾向があります。日程が動かせるなら、その点も考えてください。

複数の火葬場が使える地域では、空いているほうを選ぶことができます。移動の距離と、搬送費を合わせて考えてください。

葬儀社に「他の火葬場なら早く取れますか」と聞いてみてください。選択肢が出てくることがあります。

費用を抑えたいとき

火葬に関わる費用を抑える方法は、いくつかあります。

  • 住んでいた自治体の公営火葬場を使う
  • 市民葬・区民葬の制度があるかを確かめる
  • 待ち日数が短い日程を選ぶ
  • 待合室や飲食の利用を絞る

市民葬・区民葬は、自治体が葬儀社と協定を結び、低額で施行する制度です。設けていない自治体もあります。

内容は最低限に絞られていることが多く、追加すると通常の料金になります。範囲を確かめてから使ってください。

自治体の窓口か、ウェブサイトで「市民葬」「区民葬」と検索すると分かります。

利用できるのは、その自治体に住民登録がある場合に限られるのが通常です。条件を確かめてください。

指定された葬儀社に依頼する形になります。自由に選べない点は、あらかじめ知っておいてください。

費用の支払いと相続の関係

火葬料を故人の預貯金から払う場合は、注意が必要です。

根拠となる条文 — 相続放棄を考えている場合

相続人が相続財産の全部または一部を処分したときは、単純承認をしたものとみなされます(民法921条1号)。放棄や限定承認は、原則として自分のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内にしなければなりません(同法915条1項)。

葬儀費用については、大阪高等裁判所平成14年7月3日決定(家庭裁判月報55巻1号82頁)が、身分相応の葬儀費用を相続財産から支出したことは処分にあたらないと判断しました。

もっとも、範囲を超えれば評価は変わり得ます。相続放棄を考えている場合は、支払う前に確かめてください。

火葬料は、葬儀費用の中でも避けられない性質の支出です。領収書は必ず保管してください。

公営火葬場では、その場で支払う形が多くあります。現金しか使えない施設もあるため、事前に確かめてください。

葬儀社が立て替えて、後日まとめて請求する形もあります。その場合は、請求書に火葬料の行が入ります。

相続税の申告では、火葬や埋葬の費用を葬式費用として控除できます。国税庁のタックスアンサーNo.4129に扱いが示されています。

確かめる順番

まとめて確かめられるよう、順に並べます。すべて事前に聞けます。

  1. どこの火葬場を使うか
  2. その火葬場は公営か民営か
  3. 故人の住民登録は、その自治体にあるか
  4. 火葬料はいくらか。見積書に含まれているか
  5. 待合室や飲食は別料金か
  6. 火葬の日程はいつか。安置は何日分になるか

6つを聞けば、火葬に関する費用はほぼ確定します。数分で済みます。

答えをメモに残しておくと、請求書が届いたときの突き合わせに使えます。日付と担当者名も書いてください。

国民生活センターが2026年6月3日に公表した資料によると、葬儀サービスに関する相談は2025年度に917件で、うち52.6%が料金に関するものでした。含まれない費目の確認は、その多くを防ぎます。

火葬料 — 契約の前に確認する項目
火葬料 — 契約の前に確認する項目(作図: 弁護士による葬儀ガード)

まとめ

火葬料は、住んでいた場所で決まります。まずそこを確かめてください。

  • 公営か民営か、住民か区域外かを確かめる
  • 見積書に火葬料が含まれているかを聞く
  • 待ち日数が延びたときの増額を、先に確かめる

数万円が動く部分です。総額を比べる前に、条件をそろえてください。