改葬許可申請の手続き|お墓を移すときの書類と順番

順番を間違えると止まります。新しい納骨先を先に決めてから動いてください

遠方にあるお墓を、近くに移したい。あるいは、墓じまいをして永代供養墓に移したい。

この手続きを改葬といいます。市町村長の許可が必要です。

手順には順番があります。新しい納骨先を先に決めるところから始めてください。逆から進めると、途中で止まります。

改葬の手順は、新しい納骨先から始まります
改葬の手順は、新しい納骨先から始まります(作図: 弁護士による葬儀ガード)

改葬とは何か

改葬は、埋葬された遺体や、納められた焼骨を、別の墓地や納骨堂に移すことです。

根拠となる条文 — 改葬の許可

埋葬した死体を移して他の墳墓に埋葬し、または埋蔵し、もしくは収蔵した焼骨を、他の墳墓または納骨堂に移すことを改葬といいます(墓地、埋葬等に関する法律2条3項)。

改葬を行おうとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、市町村長の許可を受けなければなりません(同法5条1項)。この許可は、死体または焼骨の現に存する地の市町村長が行います(同条2項)。

墓地または納骨堂の管理者は、改葬の求めを受けたときは、正当の理由がなければ、これを拒んではならないとされています(同法13条)。

許可を出すのは、今お墓がある場所の市区町村です。移す先ではありません。

遠方のお墓を移す場合、その地域の役所に申請することになります。郵送でできることが多くあります。

まず電話して、郵送で受け付けてもらえるかを確かめてください。様式も送ってもらえます。

返信用封筒と切手を同封する形が一般的です。往復で2週間程度かかることがあります。

急ぐ手続きではないため、余裕を持って進めてください。順番を守ることのほうが大切です。

手続きの順番

順番が大切です。逆から進めると、途中で止まります。

順番やること
1新しい納骨先を決め、契約する
2新しい納骨先から、受入証明書をもらう
3現在の墓地の管理者に、改葬の意向を伝える
4現在の墓地の管理者から、埋蔵証明をもらう
5市区町村に改葬許可を申請する
6改葬許可証を受け取る
7遺骨を取り出し、新しい納骨先へ移す
8元の墓を撤去し、土地を返す(墓じまい)

1番目が先です。受入証明書がないと、申請できません。

3番目で、話し合いが必要になることがあります。ここが最も時間のかかる部分です。

新しい納骨先を決める前に、現在の管理者に相談する順番も考えられます。関係を重視する場合です。

ただし、その場合も「どこに移すのか」を聞かれます。候補を決めてから相談するほうが、話が進みます。

いずれにしても、書類の順番は変わりません。受入証明書が先に必要です。

必要書類

申請に必要なものを整理します。

  • 改葬許可申請書(市区町村の様式。遺骨1体につき1枚)
  • 埋蔵証明書(現在の墓地の管理者が発行)
  • 受入証明書(新しい納骨先が発行)
  • 申請者の本人確認書類
  • 墓地の使用者と申請者が異なる場合は、承諾書

申請書の様式は、市区町村によって異なります。ウェブサイトからダウンロードできることが多くあります。

埋蔵証明書は、申請書の一部として管理者が記入する形式のこともあります。様式を先に取り寄せてから、管理者に依頼してください。

手数料は、無料または数百円が一般的です。自治体によって異なります。

申請できるのは、原則として墓地の使用者です。使用者が亡くなっている場合は、承継の手続きが先に必要になることがあります。

使用者の名義が誰になっているかを、管理料の領収書や使用許可証で確かめてください。

名義変更が必要な場合は、その手続きから始めます。管理者に確かめてください。

遺骨1体ごとに許可が必要

見落とされやすい点です。

先祖代々のお墓を移す場合、中に複数の遺骨が納められていることがあります。その数だけ申請が必要になるのが通常です。

  • 誰の遺骨が何体入っているかを、先に確かめる
  • 記録が残っていない場合は、管理者に確認する
  • 古い遺骨で氏名が不明な場合の扱いも、窓口で確かめる

墓誌に刻まれた名前が手がかりになります。ただし、実際に納められている数と一致しないこともあります。

墓を開けてみないと分からない場合もあります。石材店に相談してください。

古い墓では、遺骨が土に還っていることもあります。その場合の扱いは、市区町村の窓口で確かめてください。

判明した数と申請書の数が合わないと、手続きが止まります。事前の確認が大切です。

分からないまま進めず、窓口に相談してください。柔軟に対応してもらえることがあります。

現在の墓地の管理者との話し合い

寺院墓地の場合、ここが最も重要な段階になります。

改葬は、その寺院との関係を終える(離檀する)ことを意味することが多くあります。感情の問題が生じやすい場面です。

伝え方には、順序があります。

書面や電話だけで済ませようとすると、行き違いが深まりがちです。訪問して事情を伝えるほうが早いことが多くあります。

離檀料を求められることがあります。法律上の根拠が明確な費用ではありませんが、慣習として支払う例もあります。

金額に納得できない場合は、その根拠を確かめてください。話し合いが進まない場合は、弁護士に相談する方法もあります。

やり取りの内容は、日時と相手を記録してください。後で経緯を説明するときに使います。

一度で結論を出そうとしないほうが、結果的に早くまとまります。持ち帰って家族と相談する形にしてください。

感情の問題が絡む場面です。責める姿勢ではなく、確かめる姿勢で臨んでください。

図で整理: 書類の流れと依頼先
図で整理: 書類の流れと依頼先(作図: 弁護士による葬儀ガード)

墓じまいの工事

遺骨を取り出した後、元の墓石を撤去し、土地を更地にして返します。

工事は石材店が行います。費用は、区画の広さ、石の量、搬出経路によって変わります。

確かめること内容
業者の指定指定石材店の制度があるか
見積もりの範囲撤去・処分・整地が含まれるか
追加費用の条件掘ってみないと分からない部分の扱い
工事の日程遺骨の取り出しと合わせられるか

指定石材店の制度がある霊園では、業者を選べないことがあります。使用規則で確かめてください。

制度がなければ、複数の石材店から見積もりを取れます。現地を見てもらったうえで出してもらってください。

見積もりを比べるときは、含まれる範囲をそろえてください。撤去だけか、処分と整地まで含むかで金額が変わります。

搬出経路が狭い場所や、山の斜面にある墓では、費用が上がります。現地を見ないと出せない部分です。

「この見積もりに入っていない費用は何ですか」と聞いてください。追加の条件も確かめられます。

遺骨を取り出す際に、閉眼供養(魂抜き)を行うことがあります。宗派や慣習によります。管理者に確かめてください。

新しい納骨先では、開眼供養を行うことがあります。こちらも宗派によります。

いずれも、お布施が必要になります。金額の目安を、事前に聞いておいてください。

「お気持ちで」と言われた場合は、「他の方はどのくらいでしょうか」と聞き直してかまいません。

新しい納骨先の選び方

移す先の選択肢は、いくつかあります。

  • 公営墓地 — 宗教を問わないことが多い。募集時期が限られる
  • 民営霊園 — 宗教を問わない区画がある
  • 納骨堂 — 屋内。承継者がいなくても利用しやすい
  • 樹木葬 — 自然葬。永代供養が付くことが多い
  • 永代供養墓 — 寺院や霊園が管理を続ける

承継者がいるかどうかで、選び方が変わります。将来にわたって管理できるかを考えてください。

複数の遺骨を移す場合、まとめて納められる形式かも確かめます。個別の区画が必要か、合祀でよいかで費用が変わります。

契約の前に、年間の管理料と、その支払いがいつまで続くかを確かめてください。

永代供養墓では、一定期間の後に合祀される形が多くあります。個別に安置される期間を確かめてください。

合祀されると、後から遺骨を取り出すことはできません。この点は、契約の前に家族で共有してください。

「永代」という言葉の意味も、契約ごとに違います。何年間、何をしてもらえるのかを書面で確かめてください。

費用の全体像

改葬にかかる費用は、複数の項目に分かれます。

費目内容
改葬許可申請の手数料無料〜数百円
埋蔵証明書の発行手数料数百円〜数千円
墓じまいの工事費区画の広さと立地による
閉眼供養のお布施依頼する場合
離檀料求められる場合
新しい納骨先の費用永代使用料・管理料
遺骨の運搬費距離による

新しい納骨先の費用が、最も大きくなることが多くあります。契約の前に、総額を確かめてください。

複数の見積もりを取って比べられます。急ぐ手続きではないため、時間をかけて選んでかまいません。

家族の間で意見が割れることもあります。費用と、将来の管理の両方を並べて話してください。

承継者がいない場合は、永代供養が付く形式が現実的です。管理料の支払いが続かない仕組みを選びます。

決めた内容は、家族で共有してください。後から不満が出にくくなります。

話し合いが進まないとき

埋蔵証明書を発行してもらえない、離檀料が高すぎるといった場合です。

墓地の管理者は、正当の理由がなければ、改葬の求めを拒んではならないとされています。この規定が根拠になります。

ただし、何が正当の理由にあたるかは、事案によって判断が分かれます。

相談できる窓口を挙げます。

窓口できること
市区町村の生活衛生担当課改葬の手続きに関する案内
消費生活センター(188)契約・費用に関する相談
弁護士使用契約や費用請求についての判断

墓地の使用は契約に基づくものなので、法的な整理ができる場面もあります。使用許可証、管理料の領収書、規則をそろえて相談してください。

やり取りの記録も持参してください。いつ、誰に、何を伝えたかが分かる形にします。

宗教上の判断そのものに立ち入ることはできませんが、契約と費用の面では整理がつくことが多くあります。

相談は無料でできる窓口もあります。一人で抱え込まないでください。

改葬の手続き — 確認する項目
改葬の手続き — 確認する項目(作図: 弁護士による葬儀ガード)

まとめ

改葬は、順番を守れば進みます。

  • 新しい納骨先を先に決め、受入証明書をもらう
  • 現在の墓地の管理者に伝え、埋蔵証明をもらう
  • 今お墓がある場所の市区町村に、遺骨1体ごとに申請する

話し合いが最も時間のかかる部分です。訪問して事情を伝えることから始めてください。