葬儀でもらえる給付金の申請方法|加入していた制度で決まります

もらえるかどうかは、故人が入っていた健康保険で決まります。まずそこを確かめてください

葬儀が終わったあと、受け取れるお金があります。ただし、自動では振り込まれません。申請しないと支給されないのが原則です。

もらえる金額と申請先は、故人が入っていた健康保険で決まります。まず、そこを確かめてください。

保険証が手元にあれば、種類はすぐ分かります。

加入していた保険で、申請先が決まります
加入していた保険で、申請先が決まります(作図: 弁護士による葬儀ガード)

まず、どの制度に入っていたかを確かめる

保険証の名称で判断できます。手元になければ、勤務先や市区町村に問い合わせてください。

保険証の種類給付の名称申請先
国民健康保険葬祭費市区町村の窓口
後期高齢者医療葬祭費市区町村の窓口
協会けんぽ埋葬料・埋葬費協会けんぽの支部
健康保険組合埋葬料・埋葬費各健康保険組合
共済組合埋葬料など各共済組合

75歳以上の方は、後期高齢者医療制度に加入しています。会社勤めをしていた方が退職後に国民健康保険へ移っていることも多くあります。

分からない場合は、市区町村の国民健康保険の窓口で確かめられます。加入記録が残っています。

亡くなった時点でどの制度に入っていたかが基準です。過去に加入していた制度ではありません。

ただし例外があります。会社を辞めてから3か月以内に亡くなった場合は、在職中の健康保険から支給されることがあります。

退職の時期が近い場合は、元の勤務先の保険者にも確かめてください。二重に受け取ることはできませんが、どちらが該当するかは確かめる価値があります。

分からないまま放置すると、期限だけが過ぎていきます。まず電話で聞くところから始めてください。

国民健康保険・後期高齢者医療の葬祭費

市区町村が支給します。金額は自治体によって異なります。

東京23区では7万円です。他の自治体では1万円から5万円という例もあります。お住まいの市区町村で確かめてください。

根拠となる条文 — 葬祭費の支給

市町村および特別区は、被保険者の死亡に関しては、条例の定めるところにより、葬祭費の支給または葬祭の給付を行うものとされています(国民健康保険法58条1項)。

後期高齢者医療制度についても、後期高齢者医療広域連合が条例の定めるところにより葬祭費の支給等を行うものとされています(高齢者の医療の確保に関する法律86条1項)。

金額が条例で定められるため、自治体によって差が生じます。給付を受ける権利は、2年を経過したときに時効によって消滅します(国民健康保険法110条1項)。

申請できるのは、実際に葬儀を行った人(喪主)です。故人の相続人であることは条件ではありません。

必要な書類は、次のとおりです。

  • 申請書(窓口にある)
  • 故人の保険証
  • 葬儀を行ったことが分かるもの(会葬礼状、葬儀の領収書)
  • 喪主の本人確認書類
  • 振込先の口座が分かるもの

領収書は、喪主の名前で発行されたものが必要になることが多くあります。葬儀社に依頼するときに、宛名を確かめてください。

自治体によっては、火葬許可証の写しや埋火葬許可証で足りることもあります。何が使えるかは窓口によって違います。

マイナンバーの記載を求められることもあります。故人と申請者の両方の番号が必要になる場合があります。

出向く前に、必要書類を電話で確かめてください。一度で済めば、負担が減ります。

会社の健康保険の埋葬料

協会けんぽや健康保険組合に加入していた場合は、埋葬料が支給されます。

根拠となる条文 — 埋葬料と埋葬費

被保険者が死亡したときは、その者により生計を維持していた者であって埋葬を行うものに対し、埋葬料として政令で定める金額を支給するとされています(健康保険法100条1項)。政令で定める額は5万円です。

埋葬料の支給を受けるべき者がいない場合は、埋葬を行った者に対し、埋葬料の金額の範囲内で埋葬に要した費用が支給されます(同条2項)。これが埋葬費です。

保険給付を受ける権利は、2年を経過したときに時効によって消滅します(健康保険法193条1項)。

埋葬料は5万円の定額です。生計を維持されていた家族が受け取ります。

該当する人がいない場合は、実際に埋葬を行った人が、かかった費用の実費を上限5万円まで受け取れます。これが埋葬費です。

  • 埋葬料 — 5万円の定額。生計維持関係のある人が受け取る
  • 埋葬費 — 実費で上限5万円。埋葬を行った人が受け取る

埋葬費では、費用が5万円に満たない場合、満額を受け取れません。領収書の添付が必要になります。

退職後3か月以内に亡くなった場合も、支給の対象になることがあります。在職中の保険から支給される仕組みです。

被扶養者が亡くなった場合には、家族埋葬料として同額が支給されます。配偶者や子が亡くなったときが該当します。

この場合の申請者は、被保険者本人です。会社を通じて手続きすることが多くなります。

勤務先の担当部署に、まず連絡してください。書式や手続きの流れを案内してもらえます。

仕事中・通勤中の死亡なら労災の葬祭料

業務上または通勤による死亡の場合は、労災保険から葬祭料(通勤災害の場合は葬祭給付)が支給されます。

厚生労働省の案内によると、315,000円に給付基礎日額の30日分を加えた額です。その額が給付基礎日額の60日分に満たない場合は、60日分が支給されます。

申請先は、勤務先を管轄する労働基準監督署です。健康保険の給付とは別の制度なので、両方を受けられるわけではありません。

労災の認定を受けるには、業務との関連を示す必要があります。会社が手続きに協力しない場合でも、遺族から直接申請できます。

判断が難しい場合は、労働基準監督署に相談してください。相談だけでも受け付けています。

労災が認められると、葬祭料のほかに遺族補償給付も支給されます。金額の規模が大きく変わります。

在職中に亡くなった場合、業務との関連を疑う事情があるなら、健康保険の給付だけで済ませないでください。

判断には資料が必要です。勤務記録や健康診断の記録を、早めに集めておいてください。

図で整理: 制度ごとの金額と申請先
図で整理: 制度ごとの金額と申請先(作図: 弁護士による葬儀ガード)

支払いが難しい場合の葬祭扶助

生活保護を受けている方が亡くなった場合や、葬儀を行う人に費用を支払う能力がない場合、葬祭扶助という制度があります。

根拠となる条文 — 葬祭扶助

葬祭扶助は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者に対して、検案、死体の運搬、火葬または埋葬、納骨その他葬祭のために必要なものの範囲内において行われます(生活保護法18条1項)。

被保護者が死亡した場合において、その者の葬祭を行う扶養義務者がないときは、その葬祭を行う者に対して葬祭扶助を行うことができるとされています(同条2項)。

支給される範囲は、火葬を中心とした最低限のものに限られます。祭壇や読経を伴う式は対象になりません。

重要な点があります。葬儀を行う前に申請する必要があります。

済ませてから申請しても、支給されないのが原則です。費用の支払いが難しいと分かった時点で、福祉事務所に相談してください。

相談先は、故人が住んでいた地域か、葬儀を行う人が住んでいる地域の福祉事務所です。どちらになるかは事情によります。

支給される金額には基準額があり、地域と年齢によって定められています。実際の葬儀費用の全額が出るわけではありません。

葬儀社にも、葬祭扶助での施行に慣れた会社があります。相談の際に、その旨を伝えてください。

申請の期限は2年

どの制度でも、申請できる期間には限りがあります。

給付期限起算点
葬祭費2年葬儀を行った日の翌日
埋葬料2年死亡した日の翌日
埋葬費2年埋葬を行った日の翌日
労災の葬祭料2年死亡した日の翌日

起算点が制度によって違う点に注意してください。埋葬料は死亡日から、葬祭費は葬儀の日から数えます。

2年は長いようで、手続きに追われるうちに過ぎます。四十九日が終わったころに、まとめて確かめるとよいでしょう。

他の手続きにも期限があります。相続放棄は3か月、準確定申告は4か月、相続税の申告は10か月です。

未支給年金の請求は5年です。給付の請求は、期限の長さがそれぞれ違います。

一覧を作って、家族で共有しておくと取りこぼしが減ります。手帳やカレンダーに書き込むだけでも違います。

給付金は相続財産になるのか

受け取った給付金の扱いを気にする方がいます。

葬祭費や埋葬料は、葬儀を行った人に対して支給されるものです。故人の財産ではないため、原則として相続財産には含まれません。

そのため、相続放棄をしても受け取れると考えられます。ただし、判断に迷う場合は、家庭裁判所や弁護士に確かめてください。

相続税の関係では、葬式費用として遺産総額から差し引ける費用があります。国税庁のタックスアンサーNo.4129が、その範囲を整理しています。

給付を受けた分をどう扱うかは、申告の際に税理士に確かめると確実です。

相続税がかかる規模かどうかは、基礎控除の額で決まります。多くの場合、申告が不要なこともあります。

まず、遺産の総額を把握するところから始めてください。判断はその後で構いません。

給付金の受け取りが相続放棄に影響するかを心配する場合は、受け取る前に家庭裁判所か弁護士に確かめてください。

申請の進め方

まとめて動くほうが効率的です。市区町村の窓口では、他の手続きも同時にできます。

市区町村の窓口では、世帯主変更、介護保険の資格喪失、年金の手続きも扱っています。一度に済ませられるか、事前に電話で確かめてください。

振り込みまでは、申請から1〜2か月かかることがあります。葬儀費用の支払期限に間に合わないこともあるため、その点は葬儀社に伝えておいてください。

給付金の申請 — 手元にそろえる書類
給付金の申請 — 手元にそろえる書類(作図: 弁護士による葬儀ガード)

まとめ

給付金は、申請しなければ受け取れません。

  • 故人の保険証で、どの制度かを確かめる
  • 国民健康保険・後期高齢者医療なら市区町村、会社の健康保険なら保険者へ
  • 期限は2年。葬儀の領収書と会葬礼状を残しておく

窓口に電話して必要書類を聞くところから始めてください。