埋葬料の時効は2年|いつから数えるか、過ぎたらどうなるか
起算日は「亡くなった日の翌日」です。埋葬費は数え方が違うので注意してください
「埋葬料は2年で時効」と聞いたけれど、いつから2年なのか分からない。
起算日は制度によって違います。埋葬料は「亡くなった日の翌日」から、埋葬費は「埋葬を行った日の翌日」から数えます。
たった1文字の違いですが、期限が変わります。まず、自分がどちらを申請するのかを確かめてください。
埋葬料と埋葬費は別のものです
まず、この2つを区別してください。金額も、受け取る人も、起算日も違います。
| 給付 | 金額 | 受け取る人 |
|---|---|---|
| 埋葬料 | 5万円の定額 | 故人により生計を維持されていた人 |
| 埋葬費 | 実費で上限5万円 | 実際に埋葬を行った人 |
埋葬料は、生計を維持されていた家族が受け取ります。同居していなくても、仕送りを受けていた場合などは該当し得ます。
該当する人がいないときに、実際に埋葬を行った人が受け取るのが埋葬費です。この場合は、かかった費用の実費が上限5万円まで支給されます。
生計を維持されていた人とは、故人の収入によって暮らしを支えられていた人を指します。同居していなくても該当することがあります。
配偶者や子が該当することが多いものの、必ずしも親族に限られません。判断は保険者が行います。
自分が該当するか分からないときは、状況を説明して確かめてください。該当しなくても、埋葬費として申請できます。
つまり、費用が3万円だったなら3万円です。5万円に満たない場合、満額は受け取れません。
対象になる費用は、埋葬に直接かかったものです。霊柩車代、火葬料、埋葬料、僧侶への謝礼などが挙げられます。
一方、香典返しや飲食の費用は含まれないのが通常です。何が対象になるかは、申請先に確かめてください。
領収書は費目ごとに分かるものが望まれます。「葬儀一式」とだけ書かれていると、内訳の説明を求められることがあります。
時効は2年、起算日が違います
期間はどちらも2年です。数え始める日が違います。
根拠となる条文 — 給付を受ける権利の消滅時効
保険給付を受ける権利は、2年を経過したときは、時効によって消滅するとされています(健康保険法193条1項)。
被保険者が死亡したときは、その者により生計を維持していた者であって埋葬を行うものに対し、埋葬料として政令で定める金額を支給するとされています(同法100条1項)。政令で定める額は5万円です。
埋葬料の支給を受けるべき者がいない場合には、埋葬を行った者に対し、埋葬料の金額の範囲内でその埋葬に要した費用が支給されます(同条2項)。
埋葬料は、死亡によって受給権が発生します。だから、亡くなった日の翌日から数えます。
埋葬費は、埋葬を行って費用が生じてはじめて受給権が発生します。だから、埋葬を行った日の翌日から数えます。
この違いは、埋葬が遅れた場合に効いてきます。納骨まで時間がかかった場合、埋葬費のほうが期限が後ろにずれます。
ただし、埋葬費を申請できるのは、埋葬料を受け取る人がいない場合に限られます。順番があるということです。
生計を維持されていた家族がいるなら、その人が埋葬料を申請します。起算日は亡くなった日の翌日です。
自分がどちらに当たるかを、先に確かめてください。期限の数え方が変わります。
国民健康保険の葬祭費の場合
故人が国民健康保険や後期高齢者医療制度に加入していた場合は、葬祭費です。
こちらも期間は2年です。起算日は、葬儀を行った日の翌日とされているのが通常です。
根拠となる条文 — 葬祭費と時効
市町村および特別区は、被保険者の死亡に関して、条例の定めるところにより葬祭費の支給または葬祭の給付を行うものとされています(国民健康保険法58条1項)。
後期高齢者医療制度についても、広域連合が条例の定めるところにより葬祭費の支給等を行うものとされています(高齢者の医療の確保に関する法律86条1項)。
保険給付を受ける権利は、2年を経過したときは時効によって消滅します(国民健康保険法110条1項)。
金額は自治体によって異なります。東京23区は7万円ですが、1万円から5万円という例もあります。
どの制度に該当するかは、故人の保険証で分かります。手元にない場合は、市区町村の窓口で確かめられます。
葬祭費の起算日は、条例や運用によって異なることがあります。「葬祭を行った日の翌日」とされているのが一般的です。
火葬のみを行った場合も、葬祭を行ったものとして扱われるのが通常です。念のため窓口で確かめてください。
申請できるのは、葬儀を行った人です。相続人でなくても構いません。
期限が近いときの動き方
書類がそろわないうちに期限が来そうな場合、待たないでください。
まず窓口に電話し、状況を説明します。「期限が近いのですが、どうすればよいですか」と聞けば、対応を教えてもらえます。
- 先に申請書だけ提出できないか確かめる
- 不足書類を後から出す方法があるか聞く
- 郵送で受け付けてもらえるか確かめる
窓口によって運用が異なります。だから、自分で判断せず、電話で確かめることが確実です。
期限の直前に慌てないよう、四十九日が終わったころに一度確かめておくとよいでしょう。
郵送で申請する場合は、消印の日付が問題になることがあります。期限が迫っているときは、窓口へ持参するほうが確実です。
申請書は、協会けんぽや健康保険組合のウェブサイトから入手できることが多くあります。事前に印刷して記入しておけば、窓口での時間が短くて済みます。
記入方法で迷ったら、空欄のまま持参してください。窓口で教えてもらえます。
期限を過ぎてしまったら
原則として、時効の経過後は受け取れません。2年という期間は、法律で定められています。
ただし、あきらめる前に確かめてほしいことがあります。
- 起算日の数え方が正しいか(埋葬料か埋葬費か)
- 埋葬が遅れていた場合、埋葬費として申請できないか
- 労災に該当する死亡ではないか(別の制度の給付がある)
とくに1つ目と2つ目は、実際に扱いが変わることがあります。納骨がまだ済んでいなかった場合などです。
窓口に相談してみる価値はあります。判断は窓口が行いますが、確かめずにあきらめる必要はありません。
時効の主張をするかどうかは、保険者の判断によります。事情によって、受け付けられることがないとは言い切れません。
問い合わせるときは、亡くなった日、埋葬を行った日、葬儀を行った日をすべて伝えてください。日付がそろっていれば、判断が早く出ます。
書類が手元になくても、電話で相談できます。まず連絡することが大切です。
申請に必要なもの
申請先は、協会けんぽの支部か、加入していた健康保険組合です。
| 書類 | 埋葬料 | 埋葬費 |
|---|---|---|
| 申請書 | 必要 | 必要 |
| 死亡の事実が分かる書類 | 必要 | 必要 |
| 生計維持関係が分かる書類 | 必要な場合がある | 不要 |
| 埋葬費用の領収書 | 不要 | 必要 |
| 振込先の口座 | 必要 | 必要 |
死亡の事実は、事業主の証明があれば足りることがあります。会社に在職中に亡くなった場合です。
退職後の場合は、死亡診断書の写しや戸籍の記載が必要になります。何が使えるかは、事前に電話で確かめてください。
埋葬費の場合、領収書は必須です。金額が支給額を決めるからです。
領収書を紛失した場合は、葬儀社に再発行を頼んでください。控えが残っているのが通常です。
宛名が故人の名前になっている場合は、実際に負担した人の名前に直してもらえるか相談してください。
再発行が難しい場合は、振込の記録やクレジットカードの明細が代わりになることもあります。窓口に確かめてください。
退職後に亡くなった場合
会社を辞めた後でも、支給の対象になることがあります。
- 資格を失ってから3か月以内に亡くなったとき
- 傷病手当金や出産手当金を受けている間に亡くなったとき
- それらの給付が終わってから3か月以内に亡くなったとき
いずれも、在職中に加入していた健康保険から支給されます。申請先は、その保険者です。
退職してから国民健康保険に加入していた場合、どちらに申請するかで迷います。両方から受け取ることはできません。
一般には、退職後3か月以内であれば元の健康保険が優先されます。金額が異なる場合もあるため、確かめる価値があります。
たとえば、東京23区の葬祭費は7万円です。埋葬料の5万円より高いことになります。
どちらに申請できるかを確かめたうえで、選べる場合は金額も比べてください。
この場合は、まず元の健康保険の保険者に電話して確かめてください。該当しなければ、市区町村の葬祭費を申請します。
問い合わせるときは、退職日と死亡日を伝えてください。その2つで判断できます。
被扶養者として家族の健康保険に入っていた場合は、家族埋葬料として支給されます。申請者は被保険者本人です。
どの制度に当たるかが分かれば、あとは書類をそろえるだけです。まず一本、電話をかけてください。
他の期限とあわせて確認する
期限のある手続きは、埋葬料だけではありません。まとめて確かめておくと、取りこぼしが減ります。
| 手続き | 期限 |
|---|---|
| 死亡届 | 死亡を知った日から7日以内 |
| 世帯主変更届 | 14日以内 |
| 年金の受給停止 | 厚生年金は10日、国民年金は14日以内 |
| 相続放棄・限定承認 | 3か月以内 |
| 準確定申告 | 4か月以内 |
| 相続税の申告 | 10か月以内 |
| 埋葬料・葬祭費 | 2年 |
| 未支給年金の請求 | 5年 |
2年という期限は、この中では長いほうです。だからこそ、忘れやすい手続きでもあります。
カレンダーに書いておく、家族で共有しておくといった工夫が有効です。
期限の短いものから順に片付けると、取りこぼしが減ります。死亡届と年金の手続きが最初に来ます。
相続放棄を検討している場合は、3か月の期限が最優先です。給付の申請より先に判断してください。
迷ったときは、市区町村の窓口で「他に期限のある手続きはありますか」と聞いてください。一覧で案内してもらえることがあります。
まとめ
期限を数え間違えないことが大切です。
- 埋葬料は「亡くなった日の翌日」、埋葬費は「埋葬を行った日の翌日」から2年
- 国民健康保険の葬祭費は「葬儀を行った日の翌日」から2年
- 期限が近いときは、書類がそろう前に窓口へ電話する
2年は長いようで、手続きに追われるうちに過ぎます。早めに確かめてください。
